京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/05/17
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(改訂版)「加点法主義」をもう一度見直したいです

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 「加点法主義」と「減点法主義」 どんな主義なのですか? どんな物の見方をするのですか? 子どもの成長にとってだけではなく自分自身の成長にとっても是非とも見直してみたいことです。
 2010年6月13日 日本の小惑星探査機「はやぶさ」が7年かけて地球に戻ってきました。日本中に世界中に勇気と感動と元気をあたえてくれました。世界で最初に長さ約600mで幅約300mの小惑星「イトカワ」から砂を持ちかえった探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーだったのが川口淳一郎先生です。先生は「あれできない,これできない」ではなくて,「ああすればできる,こうすればできる」という加点法の発想を大切にしてプロジェクトチームをまとめ成功に導きました。
 先生によると,減点法と加点法の一番の違いは,失敗をカウントするか成功をカウントするかということだそうです。失敗がカウントされるなら失敗を減らすように,成功をカウントするなら成功を増やそうと努めるようになります。また,100点が上限の評価法ではそれ以上の努力は無駄と考えるようになるのだそうです。減点法では「ローリスク・ローリターン」の手堅いプロジェクトしか出てこない傾向があるのに対して,加点法では「ハイリスク・ハイリターン」ですが世界初の新しい技術をいくつも組み合せているプロジェクトが出てきて,それが「はやぶさ」に乗せられていたのだそうです。チームは「こうすればできる」という発想の人ばかりでした。ということを雑誌の対談で語っておられます。加点法の考え方での実践が,世界一の探査機を開発し見事に世界一の成功にまで導いたものでした。
「はやぶさ1」の成功を受けて,2014年12月3日「はやぶさ2」が種子島宇宙センターから打ち上げられました。打ち上げは成功し,2018年6月頃に1999JU3という小惑星直径約920mに到着して土を採収する仕事をするのだそうです。金星と地球の間と地球と火星の間とを楕円軌道している小惑星です。地球帰還は2020年秋だそうです。地球の重力を利用して飛行するので遠回りとなり地球とは約3億kmの距離離れていることになるということです。全飛行距離をネットで調べてみると何と約52億kmとありました。地球から月までは約38万km,地球から太陽までは約1億5000万kmです。地球から火星まででも平均して7800万kmですから,いかに遠い距離を飛行するかということです。光のスピードは1秒間に約30万km地球7周半と言われます。3億kmとか52億kmとかいうと光のスピードでも16分とか4時間30分とかいう距離です。
この「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャーが圀中均先生です。圀中先生は「はやぶさ1」ではやぶさを最後まで動かしていたイオンエンジンの開発リーダーをされていた先生です。この先生の下でのプロジェクトですから,今回も川口先生の言われている加点法主義を引き継がれてきっと成功してくれるだろうと願っています。
 前段のエピソードが長くなりましたが,加点法主義の2つ目のエピソードです。私たちの毎日の言葉に注目してみましょう。
 ごく日常の生活の私事で,こんなことがありました。小学校高学年の時に近所のおばあさんに誉められたことを数十年も経っている今でも思い出し,私の人生で大きな支えとなってくれてきたということを思い返すことがよくあります。
 薄暗くなってきていたある日の夕方,荷物を背負って父と山仕事から帰って来た時に近所のおばあさんの家の前を通りかかりました。外で片付け物をしていたおばあさんが,「こんなに暗くなるまでよく働くねえ,がんばるね,本当にえらいなあ」と褒めてくれたのです。当時は子どもも働き手の一人で誰でも家の仕事をしていましたが,「そう言われてみればこの頃は暗くなるまでよく働いているなあ」と子ども心に納得し,そこのところを見て褒めてくれたおばあさんの一言をとてもうれしく思いました。その褒め言葉は,自分は頑張れるのだ,がんばっているのだという自分の自信に繋がっていったのです。
 この2つのエピソードは,私たちにとって教育や子育てのヒントを教えてくれます。どちらにも共通するのは加点法でのあり方や声の掛け方だということです。完璧の100点満点から,一つ失敗したから1点減点して99点,二つだから2点減点で98点・・という減点法ではなくて,「できないのではなくて,どうしたらできるだろう」「よくがんばっているね」は,否定ではなくて肯定するというまさに加点法です。
 子どもの教育についても同じことが言えるのではないでしょうか。真っ白で生まれてきて,つまりゼロからの出発の赤ちゃんの頃です。「ハイハイできるようになった,すごい」「1歩あるけたね,今日は赤飯を炊こうね」「トマトもモグモグ食べたね,えらかった」などは全部加点法です。このままの加点法主義で育てられて進んでいくと,子どもは自信をつけていき自分は頑張れるのだ大事な人なのだという自己肯定感を高め発想力も意欲も豊かに大きくなっていくと思われます。しかし,日本の子育てや教育ではどこの時点からか多くのことが,完璧なことから少しでも外れてマイナスがあると「何でできないの」「さっきから言っているでしょ,どうしてしないの」などと,減点法になっていくのです。減点法は「ここはアカンかった」という否定ですから,いつもそのパターンで対応されていると,言われる子どもはだんだんと嫌になります。ふて腐れてきます。減点法は,自分が否定されているということですから,自己肯定感も低くなり「どうせ僕なんか・・」「どうせ私なんか・・」と意欲も発想力も何もなくなって消極的になっていくのではないでしょうか。
 私たち大人もまだまだ未熟です。だからこそ,その子の良いところをたくさん見つけて言っていきたい,その子の1カ月前より・1週間前より伸びたところや良く変容してきたところを見つけて「ここがすごいな,がんばっているな」と加点法でどんどんと語っていきたいと思います。
 子どもの良さを見つけて言葉に出して言うことができるということは,その良さや変容に少しでも気付き感動できているということです。良さや変容に気付き感動できるということは,すごいなあ,がんばっているなあと少しでも思っているということです。すごいと思えるということは,自分もそうなりたいというあこがれであり,同時に自分もそうしよう,マネしよう,そうなりたいという学びでもあります。肯定的に気付いたり感動したりそれを口に出して言っているということは,言っている人,大人ならその大人自身がその時点で学び着実に成長しているということです。素直で柔軟な心の持ち主と言えます。ですから仮に年齢を重ねていっても進化し続ける人ということができます。
 加点法主義は子どものあらゆる可能性を成長させるだけではなくて,言っている人や言っている大人自身をも成長させているということです。私自身もこのことをもう一度よく考えて味わい,自分を振り返って子どもと共に成長できる大人になっていきたいと思います。
 みなさん,ぜひ加点法主義の良さを見直して,毎日の子育てや自分自身の進化の応援団としていこうではありませんか。
 ここまで大変長い文章を読んでいただきいっしょに考えていただきました。自分を振り返ったり「加点法」を考えたりしたのではないでしょうか。きっとそうだと思います。実は,その時点で,もう以前の自分ではなくなっています。1歩も2歩も自分自身が進化しています。このことは間違いありません。約40年間失敗を重ねながら教育に携わってきた者の言葉です。信じて大丈夫です。文章を読み始めた時点で,すでに学びモードに入っています。「なるほど」「そうかもしれないな」「ここはもっとこう考えられるよ」などと思った時点でもう大変な学びをしているのです。そして,自分の知識や経験と重ねて自分独自の加点法主義を実践に持っていこうとしているのです。そう考えたら1歩も2歩も進化していると言えるのではないですか? 子どもと共に私たち大人も進化成長して参りましょう。年齢に関係ありません。人は進化し続けます。大丈夫です。お互いが笑顔で支え合う社会を作り,一人一人みんなが自分を発揮できるようにしていきましょう。
 ご多用な中でここまで共に学び合っていただきました。本当に感謝いたします。誠にどうもありがとうございました。

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