3歳児のもも組の保育室では,土粘土遊びをしています。
大きな粘土の塊に,どんどんと思いっきり力をこめたたたいたり,こねこねと丸めたり,自分の好きなものをイメージしてつくったりして遊びました。
「ぼくな,4歳になったしケーキつくったん」
かわいいケーキには,ろうそくが4本立っています。
「わたしのも見て」
「ぼくのん,こんやんやで」
みんなが自分の持っている粘土を見て欲しくてしかたありません。
足でもどんどんしてみたら,これもおもしろかったみたいで,だんだんとたくさんの子どもたちがやりだしました。
粘土を伸ばしたものを足の甲に置いて見ると,これもおもしろいようで,隣から隣へ電波していっています。
粘土は,思い思いのイメージで遊び,つくってはこわし,つくってはこわしして遊べる可塑性があります。
どのように遊んでもよく,正解もなければ間違いもありません。
身体全体で感触を味わい,遊べるよさがあります。
一人一人の発想や気づきを十分に受止め,かえしていくことで,その子らしさを認め伸ばしていきたいと思います。
そして一人でするのではなく,友達と一緒の場ですることにより,隣の子どもがしていることに刺激をもらってやってみようとしたり,自分が考えたことを他の人に見せて楽しさを共感してもらったりすることができます。
そしてなにより『楽しいね』という雰囲気が味わえること,それがとても大きいと思います。
たとえ,この日粘土を触っていなくても,『おもしろそうだな』『今度のときにはちょっとやってみようかな』『あんなして遊ぶんか』と感じることが次の行動へとつながっていきます。
大人が無理やりさせようとしても,『嫌なことさせられた』『気持ち悪い』『二度としたくない』という気持ちばかりが大きくなってしまいます。
3歳児のうちには『自分でしたいよ』と思える気持ちを大切にしたいと考えています。
でも,なにもせずにするようになるまで待つのはなく,手をかえ品をかえ,したくなる気持ちがわきでてくるようにします。
担任の先生は,一人一人の個性や気持ちを見極め,
「この子の心は今したい方に傾いてきている,今がチャンス!ちょっと強めに誘ってみよう」
「この子はまだそこまで気持ちが入っていないからもう少し待とう」
「この子は○○ちゃんと仲良しだから,まず○○ちゃんを誘ってみようかな」
「この子は嫌といったら頑固だから,直接的に声をかけず,自分(先生)が思いっきり楽しんでおもしろさを伝えよう」
など瞬時に考えて声をかけたり援助したりしています。
粘土遊びに限らず,裏には先生方の意図が隠されていても,『自分でやろうと決めたんだ』と思って一歩を踏み出すことを大切にしていきたいと考えています。