京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/05/30
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「ありがとう」は魔法の言葉          (お詫び訂正です。エピソード3,管長を官長としていました。管長に訂正します)

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「ありがとう」は魔法の言葉?   

 「ありがとう」については,色々な本も出版されていますし,多くの方がその大切さを言っておられます。そんなに言われている「ありがとう」は,一体どういう意味があって,魔法があるとしたら,一体どこが魔法なのでしょうか?
 結論を先に言いますと,「ありがとう」と言える人は,あるいは心の中で言っている人は,
イ どんな物事にも感謝できる人
ロ 心が本当に豊かな人
と言うことができます。
 感謝できる人は,出会う物事すべてに感謝の姿勢で臨みますし,そこでさらに「すごいなあ」「教えてもらったなあ」と学んでいます。ですから,ますます成長し心が豊かになっていきます。自分を見つめる力がますます高まっていきますので,腰も低くなっていきます。「実るほど 頭(こうべ)を垂(た)れる 稲穂(いなほ)かな」です。
 また,「ありがとう」が言える人は心が豊かですから,相手の気持ちも場の空気も読めるようになっていきます。とにかく「ありがとう」を始めていると,心も調ってきますので,上記のイ,ロになっていくのです。と多くの方たちは言われますし,私もそう思います。
 下記の1〜4のエピソードを読んでいただき,「ありがとう」について考えていただけたら幸いです。そのうち,1,2は昨年度から載せているものです。3,4を新たに付け加えました。

エピソード1
 ある会社にAさんという社員がいました。特別な技術があるわけでも特別な才能があるわけでもない人だったそうですが,1つだけ心を込めて明るい挨拶や言葉掛けをする方だったそうです。「おはようございます」「こんにちは」「ありがとうございます」 誰かが出張と言えば「ありがとうございます。ご苦労さまです」「気をつけて行って来てください」帰ってきたら「ありがとうございました。」「お疲れ様でした。ごくろうさまでした」など,とにかく会社の上司や同僚だけではなく,当然お客様には率先して言っていたそうです。時には駅まで送って行ったり出迎えたりする心の優しい人だったそうです。  そうするうちに課長さんが一人必要になりました。「誰が次の課長さんにいいだろう」という会議が開かれました。「才能の有るB君は」「いや,技術の有るCさん」「いやいや上司の覚えのいいDさん」などともめていた時,「Aさんはどうでしょう。Aさんといっしょに仕事をするとやる気が出るとみんなが言っています」という声があがりました。
調べてみるとなるほどその通りです。「確かにその通りですね」「それはいい」と満場一致でAさんが課長さんになりました。その課長さんの下では,みんなが温かい「ありがとう。よくがんばっているね」と声をかけてもらい挨拶をしてもらいます。失敗しても「これをバネにしてまたがんばろう。ドンマイ」と言ってくれるので,「今度こそは」とみんなはやる気を出して頑張る課になったそうです。
 何年かして,次の部長さんはだれにしようという会議が持たれました。その時も「Aさんの課は明るく元気でみんなが成績がいいです」「Aさんを部長に推薦します」ということで,またAさんが部長さんに推薦されました。Aさんの部が成績がよくなったお蔭で会社も黒字になってきました。そして,とうとう最後には社長さんになったというのです。お寺さんの和尚さんが,本当の話ですよと話してくれました。「ありがとう」の威力はすごいものですね。

エピソード2
 あるおばあさんが語ってくれました。「私は冬になると足がガサガサになり霜焼けができて痒くて痛くて,毎年冬は難儀しています。だから冬は嫌いなんです」「お医者さんには行かないのですか?」「いえ,毎年行っていますが一向によくなりません。本当にどうしようもありませんわ,この足は。みんなの足が羨ましいです」という事でした。
 それから数年経ちある冬の日,おばあさんに会いました。「足はどうですか?」とたずねてみました。すると「どうもないです。もうどうもなくなったんです」ということです。「霜焼けはなくなったんですか」「そうなんです。実はね」と以下のような話をしてくれました。
 冬が近づいてきたある秋の日,自分の足を出して,今年もまた霜焼けになるのだろうなあ。この足本当に困るわと思って眺めていたのです。その時,気付いたのです。口には,グルメだと言って美味しいものを食べさせた。目には,旅先や四季の変化によい風景を見せてきた。でも足はどうだろう。生まれてからこの体を黙って支え続けてきてくれたこの足に感謝した事はあったのだろうか。「ありがとう」を言ったことはあったのだろうか。と気付いたのです。 それからです。「今日も重たい体を支えてくれてありがとう」「遠くまで歩いてくれてありがとう」と毎日寝る前に感謝して撫でたりマッサージをしたり,クリームを塗って大事にしたんです。すると,あれほど頑固でお医者さんも治せなかった霜焼けが,その冬は出ませんでした。それどころかガサガサ足がツルツル足になったのです。不思議な事です。その後は,冬になってももう霜焼けにはなりません。もう大丈夫,世界一の本当に有り難い足です。

エピソード3
 妙心寺派の第26代管長さまで,花園大学の学長さまもされていた山田無文(むもん)ご老師さま(1900年〜1988年)は,たくさんの著書も残されています。確か,そのご本の中に,次のようなお話があったと記憶しているのですが。山田ご老師が,インドを旅していた時のことを綴っているお話でした。
 早朝,茶色く濁ったガンジス川でみんなが沐浴(もくよく)をしています。歯を磨いて口をすすぎ,川に入って体や頭を洗い身を清めているおびただしい人がいます。上流でも下流でも同じガンジス川の水で体を洗い,またその水で炊事もしているのです。牛もその水を飲んでいるのです。何というエネルギーでしょうか。きれいとか汚いとかそんなことをいちいち気にすることなく,聖地であるガンジス川と共に毎日の習慣がある。人々の生と死もこの川と共にある。みんなが黙々と身を清めている姿を見ながら,そんなことを考えていると,ガンジス川の対岸から朝日が昇ってきました。
 すると,沐浴をしていた人々が岸辺にあがり,みんなが直立して太陽の方を向いて手を合わせているのです。本当にたくさんのおびただしい人たちが,太陽に合掌しているのです。その時,ご老師さまは何とも言われない深い感動を覚えました。貧富の差は激しく,カースト制度も残っていて混沌としているインドです。しかし,この計り知れない人々のエネルギーとたくましさ。太陽に感謝し,ガンジス川に感謝し合掌する,どっしりと大地に根ざしたその人々の厳粛で敬虔な心(けいけんなこころ・・深くうやまって態度をつつしむさまとその心)を見たのです。その時,ご老師さまは確信を持って思ったと言うのです。このインドという国は,今は雑然とし混沌としているが,近い将来きっとすごい国になるだろう。世界をリードする国になるだろうと。ご老師さまのお話は,このようなことであったと記憶しています。
 あれから三十年,もう少し経ったでしょうか。2011年の「現代ビジネス」というデーターの中に,アメリカの医師の38%,NASAの技術者の36%はインド人。また,世界最難関といわれるハーバード大学の学生の増加率は,過去十年間で190%で,中国の164%を超えるとあります。さらに,「学生だけでなく、教授陣にもインド系は多い。たとえば、ブラジル、ロシア、インド、中国、いわゆるBRICs諸国の中で、ノーベル経済学賞を受賞しているのは、インド人のアマルティア・セン、ハーバード大学教授だけ。ハーバードビジネススクールの学長は、インド生まれのニティン・ノーリア氏だ。」(同「現代ビジネス」とあります。 
 母国語のほかに英語をスムーズに使いこなし,2けた×2けたの九九を暗算できる数学を学ぶインドの人たち。そのような毎日の一所懸命な学びの土台に,さらにどっしりと大地に根ざした感謝する心を持ったインド人が,世界で活躍しリードしている姿を,ご老師さまは三十年前にすでに見えていたのです。人間の根っこの根本のところで,感謝する心がいかに大切なことなのかを物語っていると思います。

エピソード4
 最後のエピソードです。
 「ありがとうは魔法力」(佳川奈未 よしかわなみ著)と言う本に書かれていることです。大雑把な内容は,「自分にありがとうと言います。自分の手にも足にも頭にも,目にも耳にも体の全部に,心にもありがとうと言います。体を支えてくれて足さんありがとう。聞いてくれて耳さんありがとう。悩んだり苦しんだりしているのに踏ん張ってくれている心さんありがとう・・」と言う具合です。また「今日もお家さんありがとう。安全に乗せてくれて車さんありがとう。入らしてくれて部屋さんありがとう。・・」と言う具合です。だから,始める前には「今日は出かけてきます。お家さん留守番をどうぞお願いします。車で××に行かせてもらいます。安全をどうぞよろしくお願いします。・・」とお願いをするのだと言うのです。
 この筆者は,実母にかわいがられたことがなく何も感謝できませんでしたと始めています。自殺をしようと思いつめて自分の体を傷つけていた時に,あるお寺の尼僧さんに「とにかく出会う物事すべてに声に出して,出ない時には心でありがとうを言いなさい。必ず奇跡が起きます」と教えられて,始めたのだということでした。これを始めてから「お母さん,私を生んでくれてありがとう。・・してくれてありがとう」と心から感謝できるようになった,奇跡が起きたということです。また,経済的にも裕福になってきたのだそうです。財布にもお金にも「財布さん,お金さん××してくれてありがとう」と感謝するわけですから,そうなるのだろうなあと思います。その筆者さんが,自分に感謝できると他人にも感謝できる,自分に感謝すると他人にも感謝するということも書かれています。
 私もこの本を読んで思いました。他人に感謝できにくい人は,先ず自分に感謝する言葉「ありがとう」を手や足や心や胃や心臓や脳や・・に言ったらいいと思います。宇宙の始まりから138億年の歴史を持っているこの身体です。この自然です。それだけで,そこに自分が在るだけで「ありがとうございます」と言えると思います。その次に,家とか自分の服や靴や持ち物に・・,すると,他人にも必ず感謝できるようになると思います。すると,些細なことにでも「ありがとう」と声に出して他人にもいうになります。その時には,本にも書かれていますが,自分の身の回りに奇跡と思えるような大きな良い変化が起き始めている,あるいは起きているはずだろうと思うのです。
 話は変わります。私の尊敬している和尚さんから聞いた話です。ある息子さんのところにお嫁さんが来ました。息子さんのお母さん,お嫁さんから見たら義母,つまり姑さんですが,息子を盗られたような気がして全く面白くありません。お嫁さんが来る前の息子なら,「お母さん,今日のご飯美味しかった」「お母さん,今日はうれしいことがあって,お土産を買ってきたよ」「お母さん,お母さん」だったのに,お嫁さんが来てからはそうはいきません。
 2人が仲よくしていると腹が立って腹が立ってたまりません。ストレスを全部お嫁さんにぶつけます。「こんな水臭い味噌汁,誰が飲めるの?」「これで片付けたといえるの?埃だらけごみ屋敷じゃないですか!」と人差し指でなでた指のわずかな埃を見てののしります。お嫁さんが,近所のどこよりもきれいに竹ぼうきで外掃除しても,一枚の枯葉を見つけて,「あなたは何度言ったら分かるのですか!掃除の仕方も知らないの。情けない,どんな教育を受けたの。やり直しなさい!」それでも,お嫁さんはどんなに言われても,反抗するどころか「すみませんでした。教えていただきありがとうございます」と,また用事や家事をがんばるのです
 近所でも評判になりました。「あのお嫁さん,もう直ぐ実家へ帰るで」「鬼みたいな姑さんやなあ」「よう辛抱してはるわ」 近所の少し意地悪さんが,お嫁さんの本音を引き出してやろうと考えました。「そうだ,これがいい」そして,ある日お嫁さんに会いました。近所の少し意地悪さんが言いました。「しゅうとめを おにばばあと ひとはいうなり,と近所のみんながあなたのお義母さんのことを言っていますよ。この上の句に続けて,下の句を完成させてください」少し意地悪さんは,さあ,お嫁さんは何と答えるかな,本音が出るだろうと心の中でニヤニヤしていました。
 すると,少し意地悪さんには予想もしない驚くべき下の句を,お嫁さんは答えました。お嫁さんは即座に「ほとけのこころをしらずして」と答えたのでした。「しゅうとめを おにばばあと ひとはいうなり ほとけのこころを しらずして」 近所の人は,お義母さんの本当の仏の心を知らないで鬼ばばあと言っている,という意味です。さらに言えば,仏さまの心のお義母さんが,あえて鬼に姿を変えてお嫁さんのために一所懸命に教えようとしているのに,近所ではおにばばあと言われている,という意味になります。これがまた近所の評判になりました。
 そして,姑さんの耳にも入りました。この句を聞いて,姑さんはボロボロ涙を流しました。「ごめんなさい。ごめんなさい。ひどいことを言ってきたこの姑を許しておくれ」とお嫁さんに心から謝ったそうです。が,お嫁さんは,「お義母さん,何をおっしゃっているのですか。謝ることなどありません。いつも教えていただき本当にありがたいと思っています。ありがとうございます」
 2人は近所でも評判な仲の良い嫁と姑になったというのです。
   
 四つのエピソードに共通しているのは,「ありがとう」の心の底に感謝の気持ちがあるということです。私のような者に「そんなにしていただいて,ありがとうございます」という心からの気持ちがあるということです。人間は,根っこのところで感謝する心があり,ありがとうと言葉にして感謝の心を相手に伝えていたら,必ずや道が開けていくということを,この4つのエピソードは教えてくれます。その時,新たな学びを実践もしています。実践者になって,さらに自分を豊かに成長させているという事実があうということです。そうすると,人は益々謙虚になっていきます。そして,いつの間にか「ありがとう」と言われるようになるそうです。(「ありがとうは魔法力」より)
 「ありがとう」=感謝の言葉 は,ものすごい威力のある言葉で,魔法の言葉だということです。
 最後まで読んでいただき,一緒に考えていただきました。このように長い話を最後まで読み,共に考えていただけるのは本当に有り難いこと(めったにないうれしいこと)です。どうもありがとうございました。
「園長室から」をどうぞまたのぞいてください。

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