学校日記

「ありがとう」

公開日
2017/08/25
更新日
2017/08/25

校長室から

「ありがとう」
                      校 長 飛田 義和
 
ようやく暑さの峠を越え,少しずつ過ごしやすくなる季節がやってきました。二十四節気では,「処暑」。「処」は,止まるという意味があります。そろそろ市原野の地にも,朝晩の涼しさを感じるようになり,農作物の収穫期も始まって本格的な秋の気配が色濃くなってくる季節がやってきます。
さて,先日の朝会では,「『言葉の力』を感じるとき」という本の中から,「『ありがとう』の大切さ」という,小学校5年生のYさんの作文を紹介しました。以下のような内容です。
私のひいおばあさんは,97才です。一人ではトイレに行けず,簡易トイレを用意する必要があります。私はベッドのそばで,おしりをむずむずさせた「ひいばあ」が「おしっこ」をしたいことを確認して,介護士さんを呼びました。ところが介護士さんは,夕食の支度で忙しくしていて「ちょっと待っていてください」とぶっきらぼうに答えました。
しばらくして,エプロンをはずし,ゴム手袋を取りながら,介護士さんがやってきました。そしてにこりともしないで無言で,「ひいばあ」のおむつを取り替え始めました。何となく怒っているような気がしました。
その時,めったに言葉をしゃべらないひいばあが,「ありがとう」と言ったのです。とても小さな小さな声でしたが,確かに「ありがとう」と言いました。すると介護士さんの表情が急に穏やかになりました。パジャマのズボンを上げるとき,上着の前を合わせるときの様子がとても丁寧になった気がしました。「ありがとう」もう一度ひいばあが言いました。介護士さんは笑顔で「終わりましたよ」と言って,ひいばあの手を軽くぽんぽんとたたきました。二人ともにこにこ顔です。
介護士さんの忙しさを考えて,それでもお世話にならなければならない自分のことを考えて,心から自然に出たひいばあの「ありがとう」の気持ちが介護士さんに伝わって,介護士さんの心を和らげたのだと思います。普段ひいばあはめったに言葉をしゃべったことがありません。私たちが話しかけても,黙ってじっとこちらの顔をみているだけだったので,この日の出来事はとても印象に残っています。私はひいばあから「ありがとう」の力の大きさを学びました。
以上の作文を紹介してから,私自身がつけている「ありがとう日記」(毎日,○○さん△△をしてくれてありがとうと一文を書くだけ)を紹介しました。そして,夏休み明け久しぶりに会う友だちや先生にいっぱい素敵な声をかけて,前期の後半をスタートさせてくださいと結びました。