学校日記

芥川賞

公開日
2016/01/22
更新日
2016/01/22

校長室から

 もうみなさんよくご存じでしょうが第153回芥川賞に関西の芸人の又吉直樹さんの「火花」が選ばれました。言うまでもなく芥川賞を取るというのは小説家として大作家という評価を受けたことになります。毎年芥川賞作家は選ばれますが芸人がとったということはありませんでした。もちろん石原慎太郎氏(元東京都知事)も「太陽の季節」でとってられますが,石原さんはもともと作家であった人が政治家になったのであって芸能界の人とは言えません。
 私は又吉さんが本を書いているということを最近まで知りませんでした。やはりお笑い芸人ピース綾部さんとピース又吉さんとして知っていました。どちらかというと綾部さんとデビ夫人や花田紀子さん云々のほうをよく知っていたぐらいです。もう一つ又吉さんのことで知っていたのはサッカー少年だったことです。大阪出身の彼は大阪サッカーの名門北陽高校(現関西大学北陽高)でレギュラーになっていました。北陽高校といえば個人的には非常に懐かしく,私が高校の頃北陽サッカー部には一度も負けたことはなかったのですが,北陽は全国大会で優勝してしまい,私たちは全国区にはなれませんでした。
 さてその又吉さんは大阪選抜の左のウイングバックをしていたそうですからサッカーでも相当の実力の持ち主です。高校の時に練習に向かうバスの中や合宿中の少しの休憩時間でも彼は本を読んでいたそうです。好きな作家は芥川龍之介や太宰治,京極夏彦さんたちだそうですから彼も相当なロマンチストだろうと想像がつきます。サッカーをする間も惜しんで読書をしていた彼。また読書を削ってでもサッカーに没頭した彼。・・・のようですが両立できたのは,サッカーと読書,そしてお笑いには何か通じるものがあったと思うのです。
 皆さんの中には推理小説が大好き…あるいは火曜サスペンスドラマが大好き…という方もいらっしゃるでしょう。犯人を想像して読む。展開を考えながら期待を裏切られてまた裏を考える…という読み方をされる人は多いと思います。推理小説を読んでいると先を読む力は必ず付いてきます。また純文学を読んでいると心の中の自分の力が必ず強くなっていきます。そしてエッセイや短編小説を読んでいると多くのアイデアを瞬時に生み出す力がついてきます。
 このような瞬時のアイデアや相手の裏を読む力,見通しを付けて行動する力,また強い心になることがサッカーと読書には共通するように思えます。このような力はゲームでもテレビでも共通するとも思いますが,決定的な大きな違いは想像する部分が大きければ大きいほど感覚を研ぎ澄ますのです。ゲームよりテレビ,テレビよりアニメ,アニメより読書,読書より作文…です。
 この夏休みには是非読書か作文をしてみませんか?サッカーや野球などスポーツで伸び悩んでいる子やダンスや音楽でどこかで躓いている子は読書のきっかけで殻を打ち破ることが実際にあるかもしれませんね。学力が伸びずに悩んでいる子には新たな学習法のアイデアが浮かぶこともありそうですよ。

校長 安田 曜