言葉の力
- 公開日
- 2015/04/24
- 更新日
- 2015/04/24
校長室から
本校の読書活動の実践が評価され,ふたつも表彰されました。とても嬉しいことです。
その表彰式に,どちらも参加させていただき,谷川俊太郎さん・浅田次郎さんという,二人の著名な作家のお話を伺う機会に恵まれましたので,私の心に強く残ったことを中心にお伝えさせていただきます。
谷川俊太郎さんのお話の中では,「言葉は生きている」という言葉が心に残りました。「最近の若者は,言葉が乱れている」とよく言われますが,『言葉の乱れ』なんていうものは,大昔から言われていることで,エジプトのピラミッドの碑文(何千年も前のもの)にも『言葉の乱れ』を嘆く一文が入っているのだそうです。なぜか・・・。それは,言葉が生きていて,自然な形で常に変化する,多様性をもっているからだそうです。だから,初めのうちは仲間内でしか使わない(伝わらない)言葉も,たくさんの人が使うようになると“市民権”を得て認められ,辞書に掲載されたりもするようになるのです。ちなみに,谷川さんと中学生のトークの中で,『ガチ目』という言葉が出てきました。典型的な“若者言葉”だと思ったのですが,いずれ辞書にその意味が掲載されるかもしれません。それが言葉の面白さであり,力なのだということでした。
また,いくつかの詩の紹介もあり,詩は「理解しよう・させよう」としたのではだめ!言葉を,言葉の豊かさを「味わう」ものであるというお話もあり,小学校の授業風景が目に浮かび,反省させられました。詩は,時間軸をぶった切った断面,言わば“瞬間芸”みたいなものなので,「音韻」や「リズム」「ノンセンス」をあくまで『味わう』ことを楽しむように・・・というお話でした。
東京でお聞きした「読むこと書くこと」をテーマにした浅田次郎さんのお話も,大変興味深いものでした。
日本語の表現というのは,短歌や俳句でよく知られているように,「いかにして少ない言葉で,いかにして大きな世界を表現できるか」ということを大事にしてきたのだそうです。ところが,ワープロやパソコンなどが入ってきたことにより,やたら表現が冗長になってきているのだそうです。手書きの時代では,「長編」と言われるものでも400字×400枚ぐらいだったのが,最近では500枚・1000枚は当たり前になってきているのだそうです。だから,「言葉の力」を感じたいのであれば,手書き時分の作品を手にする方がよいとのことでした。
また,日本は,世界でも有数の「識字率の高い国」なのだそうです。幕末から明治にかけて一気に文明開化・改革が全国に行き渡ったのも,「書いてあること」が分かる人間が多かったからであろうと考えられているそうです。活字から得る情報量は,いくら映像が主となるデジタルな時代になったとはいえ,圧倒的に多いので,大切にしなければならないとのことでした。ちなみに,この春映画が公開となった「王妃の館」(水谷豊主演)は,2時間ほどの映画になっていますが,実は400字×1000枚の長編なのだそうです。だから,テレビやネットで映像だけを見て,「全てを知り得た」と思うのは間違いで,あくまでも「目次」を見たに過ぎないので,やはり文字(書物)でしっかり情報を得なければならないということでした。
最後に忠告されました。「読書をしなさい」が「勉強しなさい」みたいになっていると,子どもは絶対「読書好き」にはならない。読書は,あくまでも「娯楽」であるということを再認識してください,とのことでした。学校でも家庭でも,気をつけたいものですね。