生きがい(学校支援ボランティア)
- 公開日
- 2010/12/01
- 更新日
- 2010/12/01
校長室から
中京中学校の体育館西側に立派な石庭園が出来ているのをご存じだろうか。以前は草木が生い茂り、ゴミが捨てられている、見るも無惨な一角であった。本来ならば学校の教職員や生徒が整備をしなくてはならないのであろうが、正直手が回らなかった場所であった。そうこう考えているところへ、昨年の秋、本校が『朝読書』を始める際、学級文庫を整備しようと、各教室に学級文庫用本箱を設置した。「設置した」といっても、どうしようかと思案しているとき、フッと思い出したのが、かつては中学校で保健体育を教え、その後、管理職になられ、2年前に退職されたM先生のことである。先生は嘱託で週4日ほどはお勤めをされているが、それ以外は趣味の木工を楽しんでおられることを風の噂にお聞きし、元上司であったよしみで、学級文庫の本箱づくりをお願いしてみた。生徒のためならと2つ返事で引き受けてくれた。その時は本当にうれしかった。会議で朝読書の取組を提案し、了解を得るにはやはり、その保障となるべき学級文庫の存在は欠く事のできない要素であった。本箱以後は、中庭のいす付きテーブル・木製いす・トンボ・掲示板と次々に「校内にあったらいいな。」と思われるものを作っていただいた。その間、1組と木工室で共に授業をしたり、木工の授業の遅れている生徒に助言したりと、目立たないながら、ずいぶんとお世話になった。そのような流れの中で、今年の春、M先生に「体育館西側の空き地に石庭を造ってください。必要なものは学校で準備します。あとは、先生の好きなようにお作りください。」とお願いしてみた。最後の勤務校で立派な石庭園をお作りになった事を思い出したからである。それからは、インターネットで調べて庭の構想図を描き、荒れ地を耕し、校内で使える石を移動させ、必要な材料を集め始めた。作業にはM先生だけでなく、学校支援ボランティアとして学校にお越しいただいているTさんのお力もお借りし、用務員さんもお手伝いいただいた。そのうち、地域の人も毎週火曜日に作業している姿に、だんだんとねぎらいの声をかけていただくようになり、中には夏の暑い日には冷たい飲み物の差し入れや、自宅のお庭にある草花や灯籠を持ってきていただくようにもなっていた。このようにして現在の石庭園が作られたのである。
「なにも好きこのんで退職してからそんなことをしなくても。」という声も聞くこともある。しかし、人間が損得考えず自分以外の人の役に立っているという自負心は、退職をされて社会との関係が希薄になれば余計、大切な心意気ではないだろうか。そしてなにより大切なことは、毎回、楽しんで庭造りをしていただいていることである。我が身を振り返れば、自分は退職後、人の役に立つ何かが出来るのかと不安になる。
また、本校には、ずいぶん前から押小路花壇に花を植え、水やりをしていただいているTさんもいる。本校は、そういった人達に支えられた学校である。