第38回卒業証書授与式式辞 そして公立高校中期発表
- 公開日
- 2026/03/17
- 更新日
- 2026/03/17
校長室から
式辞
三寒四温の言葉のとおり、寒さと温かさが行き交うなかでも、確実に春が近づいてまいりました。円峰の緑も一気に芽吹こうとしています。まもなく、蟹ケ坂から仰ぎ見るこの学び舎を、鮮やかに彩ってくれることでしょう。
本日、PTA会長をはじめ、ご来賓の皆様、そして多くの保護者の皆様のご臨席を賜り、第38回京都市立西賀茂中学校卒業証書授与式を挙行できますこと、心よりお慶び申し上げます。また、ご臨席賜りました皆様に、教職員一同、厚く御礼申し上げます。
卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。152名の皆さんがこの学び舎を巣立っていくことに、心からのお祝いの気持ちとともに、「もう少し皆さんと一緒に過ごしたかった」という思いを抱いています。
皆さんとはこの2年間、共に育ち、学んできました。「校長先生が育ち、学ぶとはどういうことですか?」と思う人もいるかもしれません。しかし私は、3年生の皆さんから多くのことを学ばせてもらいました。
例えば、生徒会本部。生徒会目標「花様年華(かようねんか)」のことば通り、様々な取組を大きく花開かせてくれました。第38期の本部役員の皆さんには、「みんなが安心・安全に取り組めること」「みんなが納得して取り組めること」の二つを大切にしてほしいとお願いしてきました。授業体験に来た6年生へのオリエンテーションに始まり、3年生を送る会でのダンスは、体育館がライブ会場のように盛り上がる、まさに「みんな納得」のパフォーマンスでした。
また、校則の見直しの取組では、なぜ見直す必要があるのか、西賀茂の気温の変化を調べ、日々の学校生活の困りごとについてアンケートを行い、改正の根拠を明らかにしました。その後、期間を設けてベスト・セーターの着用を試し、ルールがきちんと守られているかを確認したうえで、生徒総会で提案をまとめ、私たち教職員に託してくれました。見事な取組でした。
第38期の本部がなぜこれほど力を発揮できたのか。それは、ある場面を見たときに確信しました。修学旅行2日目、ディズニーランドからホテルへ戻る際、JRが遅れ、舞浜駅で「これは間に合わない」と感じた人も多かったと思います。先生方も「慌てず無事に帰ってくれればよい」と声をかけていました。しかし皆さんは、時間に間に合わせようと懸命に、しかし決して慌てず状況を判断し、対応してくれました。大きな遅れもなく戻ってきた姿を見て、「この学年は、状況を見て判断し、今為すべきことを自ら考えて行動できる学年だ」と確信したのです。
修学旅行の学習発表会は、西賀茂中学校で初めて全校に向けて行われました。京都の課題をどう解決すべきか、東京と比較しながらわかりやすく伝える姿からは、相手を大切にする皆さんの心意気が伝わってきました。
その時から、「この仲間たちから選ばれた代表なら必ずやり遂げてくれる」と信じ、本部役員の皆さん、そして3年生の皆さんと共に学び、共に育っていこうと心に決めました。
合唱コンクールの全校合唱。2年続けて、指揮者の想いに応える全校生徒のハーモニーは忘れられません。体育大会では、新たに始まった応援団のエール交換が青空に映えて本当にかっこよかったです。部活動対抗リレー前の円陣についても議論を重ね、短い時間でやり切ってくれました。あのとき学年主任の先生は言いました。「この子たちは、私たちを超えてくれました」と。
さらに、「卒業探究、通称『そつたん』」。総合的な学習の時間の集大成として、自ら課題を設定し、仮説を立て、調査し、考察をまとめました。その成果はポスターとして3年生フロアに掲示されました。本来なら1・2年生にも見てもらいたいほどの素晴らしい内容でした。
こうした「ハレの日」に力を発揮できたのは、日々の学校生活の中で、つながり、助け合う関係を築いてきたからです。皆さんの授業や話し合いの様子からは、「相手に伝わる言葉を選ぶ姿勢」「相手の言葉を受け止める姿勢」が常に感じられました。だからこそ、「困ったときに相談できる関係」、「なりたい自分を探すために支え合う関係」、そして「助けてもらったら『ありがとう』と言える関係」が育まれてきたのだと思います。
在校生は、そんな皆さんの姿に学び、今、生徒会本部を中心に、「青雲の志」の目標のもと、よりよい西中を目指して日々取り組んでいます。改めて伝えます。在校生を導き、背中を見せてくれて、本当にありがとう。
しかし今、世界は「他者を受け入れることを困難に感じる、不寛容の時代」にあります。自分を優先するあまり、他者を傷つける出来事が後を絶たず、罪のない人々が命を落としています。昨年私は、作家・あさのあつこさんの「慣れてはならないもの」という言葉を式辞で紹介しました。しかし1年たった今も、世界の状況は厳しいままです。
ハレの日だからこそ、あえて繰り返します。遠い世界の出来事であっても、私たちは想像力や共感力を高めれば、社会をより良い方向に動かす一歩を踏み出すことができるはずです。私たちはなぜ歴史を学ぶのか。それは過去を知り、未来を見通し、今為すべきことを考え行動するためです。状況を打破しようとする強さ、時にこれまでの常識を覆す強さが必要だと私は信じています。
皆さんに次の言葉を送ります。GReeeeNの「遥か」の一説です。
「人の痛みに気づかず 情けない弱さを隠していた」
「気づけばいつも誰かに支えられ ここまで歩いた」
「だから今度は自分が 誰かを支えられるように」
「誰かにうそをつくような人になってくれるな 父の願いと」
「傷ついたって 笑い飛ばして 傷つけるより全然いいね 母の愛」
「まっすぐにやれ よそ見はするな へたくそでいい 父の笑顔と」
「信じることは簡単な事 疑うよりも気持ちがいいね 母の涙」
「本当の強さ 本当の自由 本当の愛と 本当の優しさ」
「わからないまま進めないから 自分探すと心に決めた」
義務教育の9年間を終えることは、社会へ踏み出す第一歩です。これから皆さんは、自ら選んだ道を歩み、日々いくつもの判断を重ねていくでしょう。へたくそでもかまいません。昨日より今日、今日より明日へと歩みを進めてください。そして、学び続けることで自分の判断に自信を持てるようになってください。私も学び続けます。悩んだときは、これまで培った「つながり」に癒されつつも、強がることも忘れないでください。そして、誰かに助けてもらったときは、必ず「ありがとう」を伝えてください。「なりたい自分になるために」。
最後になりましたが、保護者の皆様に心よりお祝い申し上げます。長いようで、振り返ればあっという間の義務教育9年間だったことと思います。お子様を大切に育ててこられたご努力に敬意を表するとともに、学校教育へのご理解とご協力に深く感謝申し上げます。我々教職員も全力を尽くしてまいりましたが、至らぬ点もあったかと存じます。何卒ご寛恕いただければ幸甚です。今後も地域の良き理解者として、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。また、ご来賓の皆様、地域の皆様には、生徒たちを温かく見守り支えていただいたことに改めて御礼申し上げます。彼らは必ず、この地域を支える人材へと成長してくれることと存じます。
それでは卒業生の皆さんのご多幸を祈念し、確かな一歩を踏み出してくれることを願い、式辞といたします。
令和8年3月13日
京都市立西賀茂中学校
校長 上畑 直久
最後に、いま、公立高校中期選抜結果の発表が行われました。受検した皆さん、みんな待っていますので、気を付けて来てくださいね。