学校日記

第39回入学式 式辞

公開日
2026/04/13
更新日
2026/04/13

校長室から

桜の花びらが新しい若葉へと姿を変える季節となりました。この春の良き日に、PTA会長様をはじめ、来賓の皆様のご臨席を賜り、京都市立西賀茂中学校第39回入学式を挙行できますことはこの上ない喜びであります。心より御礼申し上げます。

さて、新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。西賀茂中学校一同、皆さんの入学を心より歓迎いたします。

まず、この学校がある場所についてお話しします。西賀茂中学校は、「円峰(まるみね)」という山の中腹にあり、「蟹ケ坂(かにがさか)」という坂を登ったところにあります。今日この場所から、皆さん一人一人の「なりたい自分」を探す旅が始まります。

では、「なりたい自分」になるためには、どんなことが大切なのでしょうか。それは、「自分で考え、決めたことに挑戦し、うまくいかなくてもまた考えて続けていくこと」です。

小学校を卒業し、皆さんは一つの区切りを迎えました。すでに夢や目標がある人もいれば、これから見つけていく人もいるでしょう。でも、「どうせ無理だ」「自分にはできない」と思ってしまうと、その時点で前に進めなくなります。

一方、「どうすればできるかな」「今の自分に何が足りないだろう」と考え、小さな一歩を踏み出した人は、「なりたい自分」に少しずつ近づいていきます。途中で目標が変わっても、まったく問題ありません。それも成長の一つです。

ここで、皆さんに「なりたい自分になるための大切なヒント」を一つ伝えます。それは、「自分をよく知ること」です。

メジャーリーグで活躍し、二刀流として世界に知られるロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手は、高校1年生のとき、「プロ野球でドラフト1位になる」という目標を立てました。そして、「曼荼羅チャート」という表を使い、目標を達成するために必要なことを、細かく書き出しました。

その表には、大きな目標と、それを実現するためのたくさんの小さな目標が書かれています。たとえば、「心を鍛える」という目標に対して、「はっきりとした目的・目標を持つ」「頭は冷静に、心は熱く」「波を作らない」といった、具体的かつ同じようなことを言い換えて表現しています。大切なのは、「夢や目標を達成するためには、取り組むことを自分や他の人にとってわかりやすくする」ということです。

「やさしい人になりたい」と思ったら、「人の話をしっかり聞く」「相手の気持ちを考える」「自分にできることを手伝う」「困ったときは相談する」など、何をすればよいのかをはっきりさせてみましょう。「優しい人になりたい」と思ったなら、「相手の話を丁寧に聞く」「相手の立場に立って考える」「自分にできることを協力する」「自分だけで難しいときは、ほかの人に相談してみる」といった形で、目的を実現するために具体的に何をすればよいかを明らかにしてみましょう。なお、体育館の後ろをご覧ください。西賀茂中学校では、「30の目標」というものがあります。長きにわたり先輩たちから受け継がれるものです。なかでも、私は、一つ目にある「最高のエールをしよう」という目標が大好きです。

いま世界は、戦争に翻弄されています。世界中がその影響を受け、日本でも、モノの価格が上がるニュースや、自分の国さえよければよいというニュースが日々あふれています。そのなかで、困難な状況を抱えている人々が数多くいます。何も悪くないのに、命を落とす子どもたちがいます。この状況で、皆さんなら何ができますか?自分には関係ない、自分には無理だから自分さえよければよい。今の世の中はSNSや多くのネット情報があふれ、自分にとって都合の良い情報しか入らない「フィルターバブル」という仕組みが、私たちの見えないところで機能しています。このままで、私たちは本当に安心・安全に暮らせるのでしょうか?

だからこそ、当たり前だと思っていることを、一度立ち止まって考えてみてください。自分の幸せだけでなく、まわりの人や社会のことを考えられる人になってほしいと思います。ここ西賀茂中学校で、友だちや先輩、先生、地域の方々と学び合いながら、「なりたい自分」を見つけてください。

そのために、五つの大切なことを伝えます。

一つ目は、「自分から行動すること」です。待つのではなく、まず一歩踏み出してみましょう。

二つ目は、「あえて難しいことでも挑戦すること」です。楽な道と難しい道で迷ったときは、難しい方を選んでみてください。失敗も必ず力になります。ただし、無理はしないように。

三つ目は、「新たなことを創造する」創造とは、英語でクリエイティブと訳します。これまでの自分に無かった何かを学んだり生み出したりすることを考えてみれば、そのために何を学べばよいか、どのようなことに挑戦すればよいか、それを考えるだけでワクワクしてきます。

四つ目は、「相手の立場に立って考え、行動すること」です。これから一緒に暮らす仲間には、体に事情を抱えていたり、上手く思いを伝えられなかったりする人もいます。その人の安心・安全を守るためにはどうすればよいか、立場を変えて常に考え行動すれば、自分の困りにも寄り添ってくれる人が必ず現れます。

五つ目は、「感謝の気持ちを大切にすること」です。「ありがとう」という感謝の言葉は、人と人をつなぎます。

これらを心にとどめ、学び、考え、行動しながら、幸せな人生を歩んでください。この学び舎での三年間が、皆さんにとって大切な時間になることを願っています。

 

保護者の皆様に申し上げます。

この度は、お子様のご入学、誠におめでとうございます。本日より大切なお子様をお預かりし、学校としてできる限りの教育を行い、お子様の健やかな成長を支援してまいります。そこで、入学に当たり、学校として保護者の皆様に二つお願いがございます。

一つは、お子様が「中学生として必要かつ望ましい習慣」を身につけるよう、ご家庭でのご指導をお願いしたいということです。中学生の時期は、経験も判断力もまだまだ未熟です。また、昨今の子供たちを取り巻く環境は、決して安心できるものではありません。安心安全にそして、これからの人生に生きて働く良き習慣を身に付けるには、ご家庭でのご指導が是非とも必要です。朝起きる時間、夜寝る時間、家で勉強を始める時間を固定し、子たちが成長するために必要な睡眠時間をきちんと確保してあげてください。

もう一つは、本校の教育方針をご理解頂き、学校との連携をお願いしたいということです。本校の教育目標は、「心身ともに健康で、知・徳・体の調和のとれた生徒の育成」そして、小学校中学校一貫の教育目標として「自ら学び考え、仲間とともに自己を高めようとする子どもの育成」を掲げております。これは全ての西賀茂中学校生が対象です。そして、健康の基準は、それぞれのお子たちがもつ個性によって異なります。それぞれのお子たちがもつ個性を踏まえて、この目標の実現のため、ご家庭と学校が車の両輪となり、お子様の成長を支援していきたいと考えております。そのためにも、教職員が持つ力を発揮できるよう、本校の教育活動と教職員の働き方へのご理解ご協力を何卒、よろしくお願いいたします。

 ご来賓の皆様に申し上げます。皆様には、公私ご多用の中をご臨席頂きましたこと、高い所からではございますが、厚く御礼申し上げます。今後とも、本校教育の向上のため、ご理解ご協力賜りますよう、お願い申し上げます。

結びに、本日入学した173名の新入生の皆さんの充実した西賀茂中学校での生活と、健やかな成長を祈念し、式辞といたします。  

 

令和8年4月9日

京都市立西賀茂中学校長 上畑 直久