憲法講話と人権標語
- 公開日
- 2026/05/02
- 更新日
- 2026/05/02
校長室から
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5月1日(金)に憲法講話を行いました。体育館に集まってもらってお話しさせてもらいましたが、みんなこちらの質問にもちゃんと答えてくれて、とても話しやすかったです。憲法講話の後は、人権標語を考えました。憲法講話を参考にしてくれたり、自分が日頃感じている人権に関することについて考えてくれたり、様々なアイデアが出ていましたね。人権・平等、これはそれぞれに大切にすることを意識しなければ守られることはありません。言い換えれば、皆さんが人権・平等を大切にしようと考えることで、それぞれの人権が保障され、安心・安全な社会が形成されます。以下に、お話しさせてもらった内容について、原稿をアップします。生徒の皆さんにはTeamsへ、保護者の皆さんにはすぐーるで後ほどアップさせてもらいます。5月3日は憲法記念日です。もしよろしければ、おうちで憲法講話で採り上げた内容で、お話しいただけると幸いです。
皆さんこんにちは。
今日も憲法講話ということで「きまり」について考えたいと思います。この3年、私は毎年、この日本国憲法第14条の話をさせてもらっています。日本国憲法第14条では「すべて国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分、または門地により政治的、経済的または社会的関係において差別されない」とされています。そして、平等とは何か。平等とは、かたよりや差別が無く、みな等しいこと。また、そのさまを表します。
そこで、一昨年は、これらの図を見ながら、平等について考えました。左の図では、同じチャンスが与えられている「機会の平等」、でも野球の試合は見ることができない人がいます。それに対して、右の図では、それぞれが乗る木箱の数が異なりますが、結果として3人とも野球を見ることができているという平等、これを結果の平等といいます。この場合、皆さんはどちらの平等を選びますか?
本当は、壁ではなく、フェンスになっていれば、それぞれの条件に気にすることなく、だれもが野球の試合が見られるようになるわけで、これがまさに「バリアフリー」になったといえるでしょう。
ちなみに、昨年は道路交通法の変更についてお話ししました。この4月からスタートした改正道路交通法、自転車の反則行為に対して厳しく取締りが行われることになりましたね。皆さん、この1か月、大丈夫だったでしょうか?
では、なぜ、このようなきまりが作られるのでしょうか?
それは、自転車事故による死亡・重症事例に関わる運転者で、最も多い年代は19歳以下、そう、皆さんを含む若い世代の命を守るためだとお話ししていましたね。なぜ道路交通法が改正されたのか、その理由が、皆さんの安心・安全を守るためだとわかりました。
そこで今日の本題です。きまりから見えてくることって何、今日はこのことについて皆さんに考えてもらいたいと思います。
では問題、この人は誰ですか?
そう、聖徳太子、と呼ばれている人ですね。飛鳥時代に活躍した、推古天皇の摂政です。厩戸皇子が本名ですが、本当にこの顔で合っているかはわかりません。
では、次、この文を読んで、何と呼ばれる決まりか知っている人!そう、17条の憲法ですね。聖徳太子が作ったといわれています。
【条文を読む】では、聖徳太子は、なぜこの憲法を作ったのでしょうか?その思いを読み取ってみてください。ヒントは条文の「ウラ」にある思いを読んでみてください。
【みんなから意見を聞く】仏教を信仰していない。天皇の命令に従っていない。仲良くしていない。戦争ばかりしている。
その通り、皆さん、この飛鳥時代は、戦いが繰り広げられていた時代でした。対立する豪族を倒し、天皇すら殺害して権力を握ろうとする豪族がいたからこそ、聖徳太子は、戦争をやめよ、と17条の憲法で訴えていたのですね。すなわち、きまりとは、その時その状況が問題だからこそ、それらを解決するためにきまりが作られる、というわけなんですね。戦争、これは今も世界で起こっていることは、皆さんよく理解していると思います。
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの侵攻は、すでに4年もの間続き、今もなおその犠牲は増え続けるばかりです。ウクライナとロシアが停戦し、ウクライナに平和を取り戻すためには、ウクライナはロシアに領土を奪われることを認めねばならないのでしょうか?アメリカやヨーロッパの国々は、ロシアに経済的な圧力をかけて、戦争をやめさせようとしました。
しかし、2023年10月、イスラエルがパレスチナの人々が住むガザという街に侵攻し、多くのパレスチナの人々が命を落としています。侵攻から2年間で、約7万人もの人々が命を失いました。2025年11月29日、パレスチナ人の2人の兄弟が、イスラエル軍の攻撃で命を落としました。その理由は、イスラム組織によってけがを負わされた父に代わって、生活に必要な薪を取りに行った先で、イスラエル軍のドローンに攻撃された、とのことでした。
さらには、2026年2月28日、アメリカが突如としてイランを攻撃し、イスラエルとともに中東の国々を巻き込む戦争が始まりました。イランの小学校にミサイル攻撃が行われ小学生が148名命を落としました。そのミサイル攻撃は、アメリカ軍によるものとみられています。今この瞬間も、戦火は広がり、今この時も、人々の命が失われています。なぜ、戦争は起こるのでしょうか?
実は、3年生の社会科歴史分野の学習で、ちょうどこれから学ぶところに「二度の世界大戦と日本」という単元があります。二度の世界大戦とは、第一次世界大戦と第二次世界大戦です。これは、皆さんに授業を行うための指導内容について決めている学習指導要領の一節ですが、なぜにどの世界大戦について学ぶのか、が定められています。それは、二度の世界大戦が、人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解すること、惨禍とは、「戦争や天災などによって引き起こされる、見るに耐えないほど悲惨で、むごたらしい災難や損害を指す言葉」です。なぜそれを理解する必要があるのか、それはこの参加を二度と起こさないために、国際協調と国際平和の実現に努めることが大切であることに、皆さんに気付いてもらえるようにするためです。世界の中で、戦争の惨禍を繰り返すことは、多くの人々の命と未来を奪うことに他なりません。
なぜ戦争が起こるのか。意見や思想を極端化させた人々は考えが異なる他者を受け入れられず、話し合うことすら拒否してしまいます。フィルターバブルやエコーチェンバーによるインターネット上の意見・思想の偏りを増幅させ、社会を分断し、お互いへの非難、さらには暴力へとつながり、一人ひとりの声を社会に反映する仕組みであるための民主主義そのものをぶち壊しかねない世の中に変えてしまうかもしれない状況が、いま世界を覆っています。
改めて問います。なぜきまりはあるのでしょうか?法の下の平等、それはきまりに書かなければ、もろくも崩れ去ってしまうものです。そして、今まさに、世界の国々が、多くの人々の命が失われていく状況を、黙って見過ごしてしまうような状況。それは、私たち自身が命を平等に扱っていないという点で、大きな差別をこの瞬間も犯しているといえるかもしれません。平等とは、みんなできまりに定め、守るための努力を続けることから生まれるものなのです。
今求められる平等を考え、解決するのは私たち自身です。
そして、今この時全ての人々が、安心して暮らせているのか、様々な立場を換えて考え、行動することが、私たちに求められています。
そのためにも、つながり、そして助け合うことを常に心に留めて、行動していきませんか?つながり、助け合うためには、対話を重ね、互いの思いをくみ取りながら、納得できるところを探していくことが大切です。きまりとは、個人個人の意見や利害の違いを調整し、共に生きていくためのものです。だからこそ、状況に応じて最適な形を追い求めていくと共に、絶対に外してはならない、だれが見ても公平だと思えるものを追究することが大切です。
みんなが「なりたい自分になるために」、皆さんにとっての幸せにつながることを心から願うと共に、一緒に取り組んでいきましょう。ご清聴ありがとうございました。