地域の力
- 公開日
- 2016/03/14
- 更新日
- 2016/03/14
校長室から
「地域の子どもは地域で育てる」…この言葉がマスコミ等に登場してもう10年以上が経ちました。それまでにも教育は学校・地域・保護者の三者の総和で育てなければならない…ということは言われてきました。しかし実際にはなかなかそれをうまく実践するのはとても難しい事です。というのも学校での教育もよく見えますし,家庭でのしつけをはじめとする教育もよく分かります。でも地域がする教育…というものはどんなものか見えにくかったことは確かです。
ところがもともと京都はこの地域教育の力が飛びぬけて高い地域だったのです。
明治維新になって「ちょっと出かけてくる。」と言って天皇が東京に行かれた後,京都の人口は急激に少なくなりました。有名な企業も東京へと事業所を移しました。(東京で老舗と言われているお菓子屋さんや金融のお店や呉服屋さんももともと京都の店が多かったのです。)そのとき我々の地域の先輩方は何とか京都の復興をめざして作ったのが学校であったことは有名です。明治5年の学制が発布されることに先立って京都では番組小学校が設置されたことは良く知られるようになってきましたが,実はそれまでにも京都市には多くの地域が作っていた寺子屋や学習所が存在しており,就学率は50%を超えていたという記録があります。これは世界中を見てもあまり例を見ない高さです。学生が発布されてから20数年で小学校の就学率が90%を超えたのは,このような地域の教育に対する関心の高さが根付いていたことに間違いありません。
そのころ地域では何を教えていたかと言うと,学問の大切さ,人としての生き方,学び方を学んだり,学んだことをどう伝えるか…などです。もちろん耳学問や口学問も含まれますが,少なくとも学ぶことの大切さを地域ではコミュニティを通して子どもたちに伝えていったことは確かです。今新しい教育改革として見出しに並んだ言葉は昔から京都には根付いていたのです。それがいつの間にか教育機関は学校が主となっていき,家庭でも教育ではなく学習が大きな部分を占めるようになってきました。ご近所さんから教育情報の発信は避けなければならないような風潮を呼んだのです。良き京都の教育の伝統が見失われかけていたことも確かです。しかしそのため子育てがうまくいかなかったり,どう学ぶかを相談できにくかったり,学校教育があまりにも増長しすぎたための弊害が起きてきました。それにいち早く気付き,素晴らしい力である地域教育を取り戻すために京都市では様々な方策を取り入れてきました。それがPTA組織であり,地域の町内会であり,自治会であり,学校運営協議会でもあります。
4年前の着任当初に七条第三学区の地域力の高さに驚きました。例えばPTAの結束力や自立力そして子どもの育ちのためにできることをしていこうとしている企画実行力です。またPTAという組織を通さずにでも近所同士での情報交換から出た疑問や意見を学校に相談してみる…と言う姿勢。ともすれば文句となりかねないことが多い中で,自分たちにできることと学校ができることを峻別して話して下さることはとてもありがたいことです。また,学校運営協議会では親がすべきことや地域がすべきこと学校に頼みたい話題を同じテーブルの上でざっくばらんに話し合え,今後に向けての提言などもしてもらえることもありがたいです。もちろんそれを支えている自治会,支えるだけではなく見守り活動では地域教育活動の枠を超えてまで子どもたちの安全を守ってくださっていることや,地域団体の方がして下さる学校の清掃活動を子どもたちは見て感じて話してくれています。防災の備えだって子どもたちは今地域のために何をしておくかを考えてくれています。こんな子どもたちがまた将来の七三学区を作っていくかと思えばちょっとうれしい気持ちになるのは私だけでしょうか?これが地域の教育力だと思えるのです。2月28日のPTA・児童館共催のヤキイモ大会に参加してそんなことを考えていました。
校長 安田 曜