学校日記

高機能自閉って言葉きいたことありますか

公開日
2012/06/04
更新日
2012/06/04

校長室から

最近になって「自閉症」という言葉が一般的に使われるようになってきました。でもこの漢字を読むと自らの殻に閉じこもって人との関係をシャットアウトしているような感じを受けます。
しかしこの障害は引きこもりのような様子ではありません。どちらかというと活発な人に多い障害です。一言で言うと人とのコミュニケーションを上手にとれない障害です。このなかで知能は正常な場合を「高機能自閉」と言います。そして「高機能自閉」は時々,コミュニケーションだけでなくほかの障害を併せもつことがあります。たとえば音に対して非常に敏感すぎたり,人から注意を受けることがたまらなく苦痛であったり,その他にもいろいろとあります。
 「わがまま」と混同されてしまうことがあるのですが,こんな事例を考えてみてください。
高い展望台から下を見ると,わぁ綺麗!と思う人もいれば,あぁ恐い,と思う人もいるでしょう。足がガクガクしちゃう人もいるでしょう。でも高所恐怖症の診断が出ている人はもう居ても立ってもいられなくなり,座り込もうが何をしようがとても怖くてそれこそ心臓に影響が出て意識を失ってしまうような結果になります。その場の状況を把握することはもうできずに異常な行動に出てしまうこともあります。
 このような「高機能自閉」は「アスペルガー症候群」と似た診断上のカテゴリーになります。これらを総称して「軽度発達障害」と言います。最近「ADHD」や「LD」という言葉もよく耳にしますが,「ADHD」はこのうち注意欠陥や多動性の割合が高い「軽度発達障害」で,「LD」といわれるものはある分野に限って発達障害のあるものをいいます。たとえば算数は得意なのに漢字を覚えることは極めて難しい。ほかの学習ではよくできるのに空間図形は頭にその形を思い浮かべられないなどです。
 高機能自閉はこだわりが非常に強かったり,聴覚で学習することは苦手だが視覚からなら優れた能力を有している場合も多かったりする特徴があります。逆に視覚は苦手だが聴覚には非常に優れている場合もあります。アメリカの俳優のトム=クルーズさんはセリフをすべて耳から聞いて覚えるそうです。情報王と呼ばれたビル=ゲイツさんやアインシュタインさん,エジソンさんたちもこの高機能自閉障害をもっていただろうといわれていますが,一昔は診断ができなかったので天才は変わっている・・・なんて言われたのでしょう。こだわりが強いため,あることに一途にのめりこむので有名人やスポーツ選手,研究者も高機能自閉やアスペルガー,ADHDの人が数多いとも聞きます。自分で言ってる日本の人には黒柳徹子さんやさかなくんがよく話題になりますが,もっと多くの人がこの障害をもっているだろうといわれています。ただ,これらの成功者の多くは周りの人たちのあたたかい支えや理解があったのでその才能を伸ばすことができたのでしょう。偏見やいじめで小さい時につぶされてしまって,その非凡な才能が開花できずに終わった人も大勢いることも事実でしょう。私の知り合いの知り合いで非常に嗅覚に優れていて香水の開発に携わっている者もいますが教室の匂いには我慢できずによく飛び出したそうです。
 いま統計では小学生の6人に一人がこのような障害をもっているという説もあれば,10%ぐらいという説もあります。私たち小学校の教師の長年の勘からやはりクラスの中に2〜3人はこのような特徴をもった子どもがいるように思います。「わがまま」ではなしに軽度な障害(特徴)でどうしても,ほかの子どもと同じことができない子どもへの働きかけの方法は今どんどんと研究が進んでいます。
見つけられた新しい手だては大胆に取り入れ,自分勝手なわがままでクラスのルールを守らないものは許さないことは頑固に守っていきたいと考えています。ご家庭でも一度考えてみてください。またお子さんと話してみてください。そういえば…と思い当たるふしはありませんか?

                                                   校 長   安田 曜