以外と知らない栗のイガ
- 公開日
- 2012/10/29
- 更新日
- 2012/10/29
中川校の自然
上の写真は皆さんご存じの栗のイガです。このイガは小さなイガですので,実りは小さなシバグリが1個だけでした。今日の注目はこのイガの刺です。過去に開いた自然観察会においてこの刺がイガからどのように延びているかを描いてもらいましたが,未だに正解は0人です。ほとんどの方が放射状に刺が延びている図を描かれます。
やはり,栗の実には注目するが,イガに関してはじゃまな存在として取り去られるだけのようです。昔は天井裏に捲いて,ネズミの侵入を防いだりもしていたそうですが…。
先に進みます。刺ですが,本が太くて先が細いのは当たり前ですよね。では,放射状に刺が延びているとすると,刺の先ほど隣との間隔が拡がり栗を覆っているイガの本来の形(総苞片)がしっかりと見えるはずです。さらに,刺の間隔が荒くなるのでさほどきつく痛みを感じないはずです。しかし現実には,触れると一定方向からでなく,あちらこちらから刺されます。もう一度上の写真をよく見てください。総苞がほとんど見えませんし,刺の先端が中心からというよりあちらこちらから密に延びていることに気付かれるでしょう。このあちらこちらから延びていることがより痛みを与えやすくさせているのです。
さて,下の写真を見て下さい。総苞から1本の刺を抜いてみました。お分かりになられたですね。先へ行くほど枝が分かれるがごとく刺がふえているのです。このためにあちらこちらから刺の先端が延びてきていることになるのです。また,刺の先が密に絡まりますから総苞が見えにくくなっているのです。
なぜこのような仕組みになったのでしょうね。一つは,実りの直前までに大型動物等に食べられないようにするため,もう一つは,虫などを刺に絡めて内部に入りにくくするためが考えられます。見事な防御作戦です。
では,実るとはじけて栗の実を出すのはどうしてなのでしょうね。イガに守ってもらう方が食べられる心配が少なくなるのに不思議ですね。実は,持っていってもらうことをねらっているのです。ネズミやリスなどの小動物に運んでもらうためです。大型動物は運んでくれず,その場で食べてしまいますので,たくさん食べられない工夫をしているのです。
機会があれば,この素晴らしい作戦をご紹介します。