最新更新日:2024/09/24 | |
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「泣いた赤鬼」
今日2月3日は節分です。みなさんのお家では豆まきをされることでしょう。そこで,鬼にまつわる話をしたいと思います。
山の中に一人の赤鬼が住んでいました。赤鬼は,人間たちとも仲良くしたいと考えて,自分の家の前に,「心の優しい鬼の家です。どなたでもおいで下さい。美味しいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます。」と書いた立て札を立てました。 けれども,人間は疑って誰一人遊びに来ませんでした。赤鬼は悲しみ,信用してもらえないことを悔しがり,おしまいには腹を立てて立て札を引き抜いてしまいました。そこへ,友達の青鬼が訪ねて来ました。青鬼は,理由を聞いて赤鬼のために次のようなことを考えてやりました。 青鬼が人間の村へ出かけて大暴れをする。そこへ赤鬼が出てきて、青鬼をこらしめる。そうすれば,人間たちにも赤鬼が優しい鬼だということがわかるだろうと言うのでした。しかし,それでは青鬼にすまないと渋る赤鬼を,青鬼は無理やり引っ張って村へ出かけて行きました。 計画は成功して,村の人たちは安心して赤鬼のところへ遊びに来るようになりました。毎日毎日,村から山へ三人五人と連れ立って出かけて来ました。こうして赤鬼には人間の友達ができました。赤鬼はとても喜びました。しかし,日がたつにつれて気になってくることがありました。それは,あの日から訪ねて来なくなった青鬼のことでした。 ある日,赤鬼は青鬼の家を訪ねてみました。青鬼の家は戸がかたく閉まっていました。ふと気がつくと,戸の脇には貼り紙がしてありました。そして,それに何か字が書かれていました。 「赤鬼くん,人間たちと仲良くして楽しく暮らしてください。もし,ぼくがこのまま君と付き合っていると,君も悪い鬼だと思われるかもしれません。それで,ぼくは旅に出るけれども,いつまでも君を忘れません。さようなら,体を大事にしてください。どこまでも君の友達,青鬼。」 赤鬼は,黙ってそれを読みました。二度も三度も読みました。戸に手をかけて顔を押し付け,しくしくと涙を流して泣きました。 (日本昔話 絵本「泣いた赤鬼」 浜田廣介 著) こんなに優しい鬼を知ると,豆まきで「福は内,鬼は外」とは言えなくなりますね。私の娘が小学生のときに,学芸会で学級劇「泣いた赤鬼」を見て感動したことをふと思い出しました。今日は「福は内,鬼は外(小声で)ばかりでない」と豆まきします(笑) 嘉楽中学校 校長 井上 浩史 |
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