京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/07/04
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学校教育目標「将来の夢を実現するために,自らを磨き続けられる人間の育成」

「子どもを守る」

「子どもを守る」についてお話します。

 広い牧場の周りの柵を想像して下さい。これ以上外へ出ると危険であるという境界線が明確になっています。柵が無ければ,動物はどこでも自由に行けますが,危険な目に遭うことが予想できます。また,外部からの侵入に対して無防備な状態となります。柵は,牧場の内外を分けることで,牧場内の動物を守っているわけです。

 子どもにとっては,「これ以上はダメよ」「あかんもんは,あかんで」と言ってくれる親の存在が柵になります。柵が"しっかり"あることは,子どもにとって心理的に守られている状態と言えます。とりわけ,思春期の子どもたちの内面は非常に不安定です。自立するための葛藤は相当激しいものがあります。柵が弱いと葛藤が柵を跳び越えてしまい行動として外側に出てきます。さらに,弱い状態が続くと,行動はどんどんエスカレートしていきます。そして,社会のルールを超えるほどの衝動に駆られて実際に超えることもあるし,自身を深く傷つける行為に走ることもあります。柵が“しっかり”あれば,葛藤を自身の心の内で解決したり,親とのやりとり(ケンカも含めたコミュニケーション)で表現したりしながら成長していきます。子どもの健全な成長にとって,柵は必要な「守り」と言えます。

さて,昨今ケータイ・スマホの危険性や依存性の課題が浮かび上がり,家庭内のルール(柵)をつくることの重要性が指摘されています。そのルールを,子どもと話し合って決めることになれば,親は真剣に子どもに向き合わなければなりません。今どきの子どもたちは,情報社会の中で知識も知恵も豊富に持っていますので,半端な気持ちで向き合うと論破されてしまいます。よって,親が真剣な態度を示すためには,"心のエネルギー"が必要です。子どもは「私のことを大事にしてほしい」「大事ならば,それだけのエネルギーを使ってほしい」と期待しています。だから,日頃から様々な場面で子どもと向き合うときには,親がエネルギーをきちんと使って柵づくりをしていることがとても重要です。しかし,残念ながら,子どもが柵を大きく飛び超えることがあったならば,親は相当な"心のエネルギー"を持って対応しなければなりません。自らが柵そのものになるほどの覚悟がいります。心の底から「これ以上はダメだ!」「あかんもんは,あかん!」と声をあげるなど,体を張った毅然とした態度をとることでしか子どもの暴走を止めることはできません。

(※)柵を,心理学では「枠(わく)」という表現をします。

嘉楽中学校 校長 井上 浩史


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