Global Citizenship2 人生の指針形成[第3回:あなたの幸せとは?]
- 公開日
- 2026/02/12
- 更新日
- 2026/02/10
学校の様子
こんにちは、GC教育部です♪
今回は、2年生の総合的な探究の時間(GCⅡ)で行っている最後の単元「人生の指針を形成する(全5回)」の第3回、「あなたの幸せは?―幸福の本質とは?―」の授業の様子をご紹介します。第1回では脳科学の観点から幸福を「達成・つながり・安心」の3つのタイプで捉え、第2回では心理学の観点から幸福を支える「4つの因子」を手がかりにして、自分の幸福を見つめ直してきました。今回はさらに一歩進めて、「幸福には“誰もが共通して感じ取れる要素”がある一方で、“何を幸福だと捉えるかという基準”は人によって異なる」という二重構造に迫りながら、「あなたにとっての幸福とは何か」を言葉と形にしていきました。
授業は、LEGO® SERIOUS PLAY®(LSP)らしいウォームアップから始まりました。2次元の図から、見えない角度の形を想像して描く「2D-3Dチャレンジ」です。形が目の前にあればイメージしやすい一方、形がないと途端に想像が難しくなる。生徒たちはこの体験を通して、「形があるからこそ考えられることがある」という感覚を共有し、これから扱う“幸福”のような抽象概念も、いったん形にすることで見えてくるものがあることを確かめていきました。
本題ではまず、「誰もが納得できる幸福の本質は実在するのか?」という問いを立て、複数の“物語(ストーリー)”を読みながら、登場人物(主人公)をレゴ®ブロックで表現しました。ポイントは、主人公の特徴だけでなく、その人が置かれている環境や心境にも目を向けることです。さらに、物語から読み取れることだけでなく、「本人は気づいていないけれど自分には見える良さ」や、「本人にしか分からないネガティブな側面」まで想像し、主人公を立体的に捉え直していきました。これは心理学の「開放の窓(ジョハリの窓)」の考え方ともつながり、他者理解には“読み取れる情報”と“想像による補助線”の両方が必要であることを体験的に学ぶ時間になりました。
次に生徒たちは、「その主人公はどの程度幸福と言えるのか」を考え、教室の空間を使って“幸福度の配置”を行いました。作品を置く場所を決め、その理由を説明するのですが、ここで面白かったのは、同じ物語を読んでも幸福度の判断が分かれることです。誰かは「つながりがあるから幸福度は高い」と捉え、別の誰かは「安心が欠けているから幸福度は低い」と捉える。さらに別の生徒は「達成があるかどうか」を重視する。判断が割れること自体が学びとなり、「私たちは幸福を考えるとき、何を重要視しているのか」が逆に浮かび上がっていきました。
ここで授業は、「幸福の正体」を整理する段階へ進みます。生徒たちはグループで、「これがあれば幸福」「これがなければ幸福ではない」と感じるキーワードを、主人公をめぐる議論から抽出しました。そして見えてきたのが、幸福は「要素」と「基準」の2つで構成されている、という考え方です。つまり、安らぎや達成、つながりといった“幸福を形づくる要素”は多くの人が認識できる一方で、それらをどの程度重視するか(量・質・バランス)は人それぞれで、その違いが「幸福の感じ方」の違いを生むということです。ここまでの議論は、前2回で扱った「幸福の種類」や「4つの因子」とも自然につながり、幸福理解が一段と立体的になっていきました。
この「要素」と「基準」の違いを実感として掴むために、授業では有名な錯視写真「The Dress(青黒/白金に見えるドレス)」の例も扱いました。同じものを見ていても、光の捉え方によって世界の見え方が変わるように、幸福もまた「何があるか」だけでなく、「それをどう捉えるか」によって違って見える。生徒たちはこの比喩を手がかりに、「自分の幸福の基準(捉え方)は何だろう」と、自分自身へ問いを戻していきました。
授業の終盤には、いよいよ「あなたにとっての幸福とは何か」を作品で表現し、1分で語り、質問を受ける対話を行いました。「何があれば幸福なのか」という“要素”としての幸福と、「どんな質・量・バランスを幸福だと感じるのか」という“基準”としての幸福の両方を意識しながら語ることで、生徒の言葉は前2回よりも具体性と輪郭を増していきました。自分の幸福を言葉にすることは、同時に「自分がこれから何を大切にして生きたいのか」を定めていくことでもあります。ここで交わされた質問は、「それはなぜ大事なの?」「それがあると、あなたはどんな状態になるの?」といった、人生の指針に直結するものが多く、生徒同士の対話が互いの価値観を照らし合う時間になっていました。
最後に授業全体を振り返り、「幸福の要素や種類を知ることで感情のモヤモヤが整理されること」「自分の幸福の基準(捉え方)を知ることで、幸福になるための“術”が見えてくること」「相手にも相手の基準があると認識できれば、他者を尊重する姿勢が生まれること」が確認されました。生徒たちはワークシートに「幸福とは何か」「幸福になるために何が必要なのか」を記入し、作品を写真に残して提出しました。ここまでの3回の積み重ねは、幸福を“気分”として扱うのではなく、“人生を支える構造”として捉え直す学びへと確かにつながっています。
次回からは、ここまでに見えてきた「わたしの幸福」をさらに深めながら、それを「人生の指針」としてどう言葉にし、どんな選択や行動につなげていくのかを探究していきます。生徒一人ひとりが自分の価値観を更新しながら、自分らしい一歩を踏み出していく姿を、引き続き見守っていただければ幸いです。