Global Citizenship2 人生の指針形成[第2回:心理学における幸福]」
- 公開日
- 2026/02/06
- 更新日
- 2026/02/06
学校の様子
こんにちは、GC教育部です♪
今回は、2年生の総合的な探究の時間(GC2)で行っている最後の単元「人生の指針を形成する(全5回)」の第2回、「心理学における幸福」の授業の様子をご紹介します。前回は脳科学の視点から、幸福を「達成・つながり・安心」という3つのタイプで捉え、「それは本当に幸福と言えるのか?」を具体例から考えました。今回はその続きとして、「幸福は“感じ方”としてどう成り立ち、どう育っていくのか」を幸福心理学の知見から探究しました。
授業のはじめに共有したのは、「誰もが納得できる幸福の本質はあるのか?」という問いです。幸福が“その人次第”だとしても、そこに何らかの共通項があるなら、それは人生の指針をつくる大きな手がかりになります。そこで今回は、幸福心理学に基づく幸福観として、幸福を支える4つの因子を手がかりにしました。生徒たちは、やりがい・成長・主体性に関わる「やってみよう因子」、つながり・感謝・利他性に関わる「ありがとう因子」、前向きさ・楽観性・受容に関わる「なんとかなる因子」、自己受容・自分らしさに関わる「ありのまま因子」という4つの観点から、自分の幸福を捉え直していきました。
今回も、LEGO® SERIOUS PLAY®(LSP)を活用しながら「手を動かして考える」ことを大切にしました。まずはウォームアップとして、袋の中から選んだ5つのブロックを適当に組み合わせ、できた作品だけを使って抽象的な言葉を説明するチャレンジから始めました。「政治」「結婚」「信頼」「月曜の朝」「馬」「メディア」「宇宙ステーション」など、一見つかみにくい言葉を“作品だけ”で説明し、聞き手は作品を見ながら質問するというルールの中で、教室には自然と笑いと集中が生まれました。言葉より先に形があり、形から意味が立ち上がってくる体験は、この後の「幸福」の探究にもつながっていきます。
ウォームアップの後は、改めてレゴ®ブロックをつかみ取りし、ここからは本題の探究に入りました。最初の問いは「あなたがやってみたいと思うこととは何ですか?」です。縛りから解放されたら、誰と一緒に、何をして、どこで暮らしたいのか。旅行でも趣味でも構わないという条件の中で、生徒たちは自分の内側にある「やってみたい」を作品で可視化し、1分で語り、質問を受けました。やりがい・成長・主体性に関わる因子が、単なる“夢”ではなく、その人が前に進むためのエネルギーとして立ち上がっていく瞬間が見られました。
次の問いは「あなたが最も感謝していることとは何ですか?」です。対人関係、居場所、食事、好きなことを好きな時にできる環境など、感謝の対象は人によって多様でしたが、作品として形になり、言葉として共有されることで、「自分が当たり前だと思っていたものが、実は支えになっていた」と気づく場面も多くありました。感謝は“気持ち”で終わるのではなく、つながりを再確認し、他者への向き合い方を変えていく力になり得ることを、LSPの対話が実感として教えてくれました。
休憩を挟んだ後は、「あなたが12歳までに経験したピンチは何で、どのように乗り越えたか」という問いに向き合いました。ここで扱ったのは、過去の困難そのものよりも、“それを越えてきた自分”の記憶です。誰かに助けられた経験、自分なりの工夫、投げ出さずに続けたこと。こうした語りには、ただの成功談ではない、受容や回復のプロセスが含まれており、「なんとかなる」という感覚の根っこを確かめる時間になりました。
さらに、幸福と「なんとかなる力」の関係を揺さぶる問いとして、年収の違いを例に「幸福度が高い順に並び替えると?」という投げかけも行いました。収入が上がれば自動的に幸福になるのか、それとも別の要因が強く働くのか。生徒たちは、自分の直感を言語化しながら、幸福を単一の尺度で決められないこと、そして“楽観”が単なる気分ではなく、現実との向き合い方として育つものだという視点を持ちはじめていました。
授業の終盤には、「人生を振り返ったとき、閻魔大王に『お前は何者だ?』と問われたら、作品でどう答えるか」という問いに挑みました。高校生としての自分、未来の自分、好きなものに象徴される自分、誰かとの関係の中で立ち上がる自分。ここで生徒たちは、“幸福”を語りながら、同時に“自分という存在”を語り直していきます。ありのままの自分を受け入れることは、甘えではなく、人生を長い時間軸で引き受けるための土台であることが、作品と対話の中で静かに伝わってきました。
最後は、幸福心理学に基づく4つの因子に対して「どの程度納得できたか」、そして「これ以外は幸福ではないと言われたらどう感じるか」「この4つは本当に“誰もが納得できる幸福の本質”なのか」を振り返り、ワークシートに納得度と理由を書いて授業を締めくくりました。前回の脳科学の視点と今回の心理学の視点がつながることで、生徒たちの中には「幸福は“種類”として理解するだけでなく、“自分の生活の中でどう育てるか”として考えるものだ」という感覚が生まれ始めています。
次回以降も「幸福とは何か」という問いを軸にしながら、生徒一人ひとりが自分の価値観を言葉と形にし、「人生の指針」として少しずつ編み上げていきます。今後の授業の展開も、ぜひ楽しみにしていてください。