学校日記

コミュニティカレッジ「『源氏物語』特別講座」

公開日
2026/03/16
更新日
2026/03/16

学校の様子

14日(土)は、午後からコミュニティカレッジとして、岸本久美子先生の「『源氏物語』特別講座」が開催されました。コミュニティカレッジとは、本校が主催する講演会で、広く市民の皆様にも公開しているものです。今回は、「紫式部のいぢわる」と題してお話しいただきました。

 『源氏物語』には、数多くの登場人物がいますが、紫式部は、その中でも二人の女性を笑われ者として描いています。

その一人は、源典侍(げんのないしのすけ)です。この女性は、高齢ですが、色恋沙汰で有名でした。光源氏は、そんな彼女にちょっかいを出したり、ちょっと引かれたりもしますが、結局は冷たい態度を取りました。それまでの文学にない老齢のリアルな描写は紫式部ならではだと、岸本先生はおっしゃいました。

 もう一人は、近江の君です。この女性は、頭中将(とうのちゅうじょう)から昇進した内大臣の娘です。内大臣は、光源氏の相手であった夕顔の残した娘、玉鬘(たまかずら)が源氏の下で周囲からちやほやされるのに対抗して、娘である近江の君を自分の屋敷に迎えたました。玉鬘が、実は自分と夕顔の子であることも知らずにです。けれども、近江の君は、おてんばな上に早口、内大臣も困ってしまいます。例えば、双六(すごろく)をするとき、彼女は周囲を困らせるくらいはしゃぐのでした。それでも、この君は、尚侍(ないしのかみ)という、女性たちが羨望する後宮の要職になりたがるのでした。

 この二人の共通点は、周囲の笑い者であるということです。このような女性たちを『源氏物語』に登場させた紫式部の真意について、岸本先生は鋭い見方をされています。確かに、彼女らは、当時の貴族の、こうなってはいけないという例だったかもしれません。けれども、紫式部は、二人の女性のありのままの人間像を肯定し、世間の目を気にしすぎるのは良くないと主張しているのかも知れないと、岸本先生はおっしゃいます。当時の貴族社会の対する反感が、紫式部のいぢわるの真意かもしれないと、先生は言われました。

 お話は、岸本先生の豊かな原文の朗読を交えて行われました。凛として、ときにはゆっくり、ときには急くように朗読されるそのお声と、また登場人物の本音トークのような訳は、物語の様子をリアルに伝えていました。講演会は、生徒からの感想と、花束贈呈をもって、盛況のうちに終わりました。今回のようなコミュニティカレッジが、生徒はもとより、市民の皆様におかれましても、文学を楽しみ、社会や人のあり方について考える機会となれば幸いです。