春一番かと思った
- 公開日
- 2012/03/17
- 更新日
- 2012/03/17
校長室から
3月15日,卒業した11期生有志が大掃除にやってきました。
リーダーの指示のもと,あちらこちらを掃除して,最後は文化祭でパフォーマンスを演じたアトリウムの拭き掃除。並んで,ヨオイドン。楽しそうにがんばってくれていました。
最後に集合して解散。居合わせたのでお礼を言っておきました。その後も三々五々残っている生徒と話していたら,「大階段の手すりのところを掃除したいんです」と言う生徒がいて,家から歯ブラシを持ってきていました。生徒が「大階段」と呼んでいるのは,アトリウムにかかる階段のことです。
「歯ブラシですか。ハミガキを使うの?」
「ペーストは使いません」
「ペーストってなかなかしゃれていますね」
「家では歯磨き粉とかと言っています」
「ふうん。私が子どものころは柳の枝で塩を使っていました」
「えっ,ほんとですか!」
「うそ。そんなん江戸時代みたいやんか」
「えー。ウソついていいんですか」
「これから世の中に出て行ったらいろんなことがありますから注意しなさい」
「はい,気をつけます」
かつて4期生が,床に座り込んだり,はいつくばったりして,南館の4階から1階までの汚れを取ってくれたことを話しました。
「すごいですね」
「すごいでしょう。君たちもね」
15日にはとても強い風が吹いていました。春一番かなと思いましたが,そうではなかったようです。昼過ぎに,ヨーロッパ研修に行っていた13期生たちが帰ってきました。研修と時差で疲れ気味の生徒たちは,しかし,少しおとなの顔になっていました。かれらも私服。11期生たちも私服。ひとときアトリウムはいつもとは違った光景でした。
平成11(1999)年の新入生から,それまで私服だったのを制服に切り替えたのですが,私は私服に戻したらいいのではないかと思っています。以前にそう生徒たちに言ったら,「絶対制服ですよ」と返されました。それなら秋田高校のように,制服があって式や対外的な行事では着用するが普段は制服でも私服でもよい,というようにしたらどうかと思いますが,さてどんな返事が返ってくるでしょうか。
前回は「トミーの答辞」を紹介しました。今回は,私の式辞の最後の部分を紹介します。
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さて,最後に三つのことを言っておきたい。
多くの諸君の大学入試の結果は来週明らかになる。第一志望を叶えられる人もいるだろうし,そうでない人もいるかもしれない。いま,目の前にある大学入試は君たちにとってとても大きなことであるだろうけれど,これからの人生においては,いま以上にもっと大きなことと感じる課題や壁が多く待ち受けていることだろう。そのとき,君たちは何を選択するかを考え決断するわけだ。
そこで君たちに言っておきたいことは,「選んだものを好きになれ」ということだ。他にもいっぱい可能性はあっただろう。そちらを選択すればよかったと思うこともあるかもしれない。しかし,君たちはそれを選んだ。いい加減に選んだのなら別だが,迷いに迷って選んだ。それなら,その自分に対して誠実さや責任を持とう。「選んだものを好きになれ」。
次に,閉ざされた個人でなく,「開かれた個人として生きていけ」ということを言いたい。言うまでもないが,「自立する18歳」も,堀川高校憲章にある「ひとりになる」も,周りと切り離れて生きることを意味しない。
「開かれた個人として生きていけ」。
最後に,諸君,ありがとう。
君たちと一緒に時間を重ねることができて,感謝しています。
君たちは若く,可能性に満ちています。
苦しいことがあったとしても,必ず乗り越えられると,自分を信じてください。
おしまいに言いたい言葉は,「ぜひまた会おう」。
くれぐれも元気で。
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「また会おう」。これは3期生の卒業式で,代表生徒が仲間たちに語りかけた言葉です。8年前の卒業式を思い出します。校長になって初めての卒業式でした。2年生の時にクラスで取り組んだ文化祭の劇の,坂本龍馬の台詞を彼女は最後に告げたのです。壇上で泣きながら,「龍馬は言った。『また会おう』」。
多くの物語を紡いで時間が経ち,今年度もあと2週間で終わろうとしています。
19日月曜日には終業式を行いますが,午後には合格者が登校し,また新しい堀川高校の準備が始まります。
夕方,校長室に男子バレーボール部の顧問がやってきて,
「また花を植えたいんですが,玄関前に置いてもいいでしょうか」
「どうぞご自由に」
「今年は,生徒がトマトやモロヘイヤや,オクラも植えたいって言っています」
「いいですね。料理教室を開いたら」
「生徒が食べたことがないと言うので,モロヘイヤができたら素麺と一緒に食べさせてやろうと思っています」
モロヘイヤと素麺。私も食べたことがありません。
去年はあざやかに花が咲いていました。今年の夏には,にぎやかな家庭菜園ができあがることでしょう。
15日のことに戻りますが,残っていた11期生の何人かが靴箱の前に置いてあるスノコを磨いていました。そこまでするのか,感心だなあと思って声をかけたら,掃除ではなくて描いた絵を消しているとのこと。
動かしたとき元の位置がわかるように目印をつけたらどうかと考えて,生徒部の教員に尋ねたら「やっておいて」と言われたそうです。それで番号も書いたそうですが,それだけではなく,おひさま,すいか,おさかな,なすび……色とりどりの絵を描いた。それを報告に行ったら,「消しなさい」。ということで懸命に消している最中だったのです。
生徒に混じって,学年主任も作業をしていました。黙々とサンドペーパーでスノコの絵をこすり取っている様子は,なんだかうれしそうに見えました。
あとで聞いたら,絵の中には緑の「芽」もあったそうです。芽ぐむ11期生。ありがとう。
今夜9時ごろに,アメリカ研修組が帰ってきます。これで13期生が全員帰国します。
卒業していった生徒たちがそれぞれの堀川をつくっていったように,「根っこ」の12期生,「はがね」の13期生,そして新たに加わる14期生が,自分たちの堀川をいのちあるものにしていってほしいと願っています。
40号(2012.03.17)……荒瀬克己
上:「大階段」の手すりの接続部を歯ブラシで掃除する卒業生。
中:そのアップ(アップを撮ると言ったら身づくろいをしてくれたのですが,撮りたかったのは歯ブラシでした。ごめんなさい)。
下:玄関横の靴箱のスノコを掃除する卒業生たち。右上が学年主任です。