学校日記

令和6年度 卒業式

公開日
2025/02/28
更新日
2025/02/28

校長室

< 式 辞 >

 週はじめまでの寒さが和らぎ、春の息吹が感じられる今日の佳き日に、京都市教育委員会、学校運営協議会、PTA本部役員、そして昨年新たに発足した京都工学院同窓会をはじめ、ご来賓の皆さま、保護者の皆さまをお迎えして、京都市立京都工学院高等学校 第7回卒業式を挙行できますことを、心より嬉しく思います。本日、ご臨席を賜りました皆さま方には、日頃から本校の教育に深いご理解と温かなご支援をいただき、さらには巣立ちゆく卒業生を祝福していただきますことに深く御礼申し上げます。

 ただ今、卒業証書を授与いたしました 218名の卒業生の皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。皆さんは、理工学系専門学科である本校所定の教育課程を修了され、日々の学習はもとより、ホームルーム活動や生徒会活動、部活動などを通して、人間力を磨き、かけがえのない青春の日々を過ごされ、本日、晴れて卒業の日を迎えられました。皆さんが本校で培ってこられた、弛まぬ努力と精進に対し、心から賛辞を贈ります。

 皆さんが入学された令和4年4月に策定した本校のスクール・ポリシーでは、「育成を目指す資質・能力に関する方針(グラデュエーション・ポリシー)」として「未来をつくり続けるホモ・ファーベル」を掲げています。<ホモ・ファーベル>とはヨーロッパの哲学者によるラテン語の造語で「工作人」と訳されます。昨年11月にお亡くなりになった詩人の谷川俊太郎先生からいただいた言葉です。好奇心旺盛なホモ・サピエンスとして入学した生徒が、本校で楽しく学び(ホモ・ルーデンス)、未来を創り続けるホモ・ファーベルとなって欲しいと願い、昨年度から本校が取り組むスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の研究テーマにも「世界で活躍するホモ・ファーベルを育成するための研究開発〜未来を切り拓くSTEAM人材の育成〜」として掲げています。STEAM教育を展開する本校にとって大きな目標です。

 今でこそ学校の指針となる重要な言葉ですが、開校前に谷川先生から校歌の中でいただいた際には、本校開設準備室として「一般的でないカタカナの言葉を校歌に入れるのはいかがなものか」と疑問を呈する形となりました。谷川先生からは「ホモ・サピエンスとの対比で、人間を他の動物と明確に区別する本質的規定を『道具を作り、使用する点』に求める人間観を要約したもので、工学を学ぶ高校生なら覚えておいてよい用語ではないか」とのご返答で、こだわられた言葉でありました。

 もう1か所こだわられたのが<せめぎあい>です。準備室は「前向きではない言葉」と考えましたが、谷川先生からは「いまの世界の現実を直視せずに、前向きな言葉ばかりを使っていては、歌は単なるきれいごとになってしまう」「校歌だからこそ<せめぎあい>という一語を意識して使っている」とのご返答でした。

 先ほど皆さんで歌った校歌の一つ一つの言葉には、こうした谷川先生の思いが込められています。皆さんにはぜひこの校歌をずっと大切に覚えておいて欲しいと願います。あらためて谷川先生に感謝申し上げますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 校歌に謳われている「問いが生む新たな答」。これが「未来へ」とつながる。皆さんは「アイディアをカタチに」を合言葉にプロジェクトゼミ等の専門科目で今までにない新たな価値の創造を実践してきました。「貢献・結集・連携・継続」本校の校訓にもあるとおり、独りよがりでモノをつくるのではなく、社会に貢献できるものを皆の力を結集し、外部と連携し、継続してつくり続ける。ここでの経験は本校卒業生の大きな強みです。高校時代に様々なことに取り組んできた経験が人としての幅を広げ、将来の自分をつくってくれることでしょう。

 さて、皆さんに質問です。少し考えてみてください。

 「現在の自分は、高校入学時にイメージしていた自分の未来像どおりになっていますか」
 「また、この3年間の高校生活を振り返って、高校時代に何ができるようになりましたか」

 質問を変えます。
 「皆さんが今『できたらいいな』と思うことは何ですか」

 今までにも「あんなことが、こんなことが、できたらいいな」と考えたことが、いっぱいあったことかと思います。しかし、それらが実現することは稀なのではないでしょうか。

 今年度のスクールメッセージで皆さんに投げかけたのは、「常にプラス思考で 〜『できたらいいな』を『できる』に変える〜」でした。「できたらいいな」と思うことは、誰しもが沢山持っているかと思いますが、それらは勝手に実現されることはありません。他人任せではなく、“変える”という自らの意思が入ってこそ「できる」になるのだと思います。先ほどの質問「何ができるようになったか」に即答できた人は、自らの強い意志で努力を重ねた成果が結実したからこそでしょう。

 これから皆さんは社会へと一歩を踏み出します。本日は高校卒業の日ですが、皆さんの新たなステージへの出発点でもあります。自分の未来を創り出すスタートです。将来なりたい自分を想定し、その目標に向かって努力する。「できたらいいな」と思うことを一つずつ「できる」に変えていってください。高校時代に様々なことに取り組んだ経験を生かし、将来、社会で活躍されることを願っています。

 最後になりましたが、保護者の皆さま、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。高校生活の様々な場面においてお子様は悩み、考え、決断してこられました。人は取組や経験を通して成長するものです。様々な困難を乗り越え成長し、本日晴れて高校卒業の日を迎えられました。教職員一同、心よりお慶びを申し上げます。また、これまでの本校の教育活動にご理解とご協力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。今後ともお子様が、自らの未来を切り拓いていけるよう、見守っていただきますようお願いいたします。

 結びに、皆さんの未来に幸多からんことを祈念し、式辞といたします。

 令和7年2月28日
                    校長 大窪 英行