学校日記

【校長室】第8回卒業式 2/27挙行

公開日
2026/02/27
更新日
2026/02/27

校長室




















 <式辞>

 厳しい寒さも和らぎ、校庭の木々の芽にも、確かな春の息吹が感じられる今日、この佳き日に、京都市立京都工学院高等学校第8回卒業式を挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生、教職員にとりましても、大きな喜びでございます。ご来賓の皆さまにおかれましては、公私ともにご多用のところご臨席を賜り、高壇からではございますが、教職員を代表して厚くお礼申しあげます。

 保護者の皆さま、お子様のご卒業おめでとうございます。自立と依存とのバランスのはざまで揺れ動く多感な時期をじっと見守り、時に励まし、一番のよき理解者の支えがあればこそ、こうして晴れの門出を迎えられ、お喜びのことと存じます。頼もしく立派に成長されたお子様の姿を目にされ、感慨もひとしおのことでしょう。平素より保護者の皆さまのご支援に心から敬意を表します。また、これまで本校の教育活動並びにPTA活動にご理解とご協力を賜りましたことお礼申しあげます。ありがとうございました。 

 ただ今、卒業証書を授与いたしました215名の卒業生の皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。皆さんは、理工系専門学科である本校の教育課程を修了され、日々の学習はもとより、ホームルーム活動や生徒会活動、部活動などを通して、人間力を磨き、かけがえのない青春の日々を過ごされ、本日、卒業の日を迎えられました。皆さんが本校で培ってこられた、弛まぬ努力と精進に対し、敬意と心からの賛辞を贈ります。 

 さて、皆さんが活躍する2040年は、どんな時代であってほしいですか。私たちの働き方や社会がどう変化するかは、そう簡単に予測できるものではありませんが、AIが様々な情報を処理する時代において、覚えた知識がどれだけ多いか、それを速く正確に答えられることだけが評価されることはないでしょう。むしろ、多様な個性やスキルを生かして、「社会課題を自分事として捉える力」「他者と共に価値を創り出す力」といった感性が求められるのではないでしょうか。

 今、世界規模で人・モノ・情報がグローバルに流通し、産業構造や社会システムの非連続的な激しい変化やAIの実装など、技術革新が止まらない時代に突入しています。こうした趨勢(すうせい)において、我が国では、2040年には少子高齢化、生産年齢人口の減少、地方の過疎化について一層の深刻化が見込まれます。また、就業構造の推計によると、職種により余剰や不足が生じる労働力需給ギャップ、産業界のニーズに応じた、いわゆる理工系人材が100万人以上不足する可能性が指摘されています。 

 開校以来、本校ではSTEAM教育(Science[科学] Technology[技術] Engineering[工学] Arts[リベラルアーツ]Mathematics[数学]を関連付けて学ぶこと)による理論と実践を往還しながら物事を捉え、思考・行動できることを目標に学習活動を展開してきました。変化が激しい時代だからこそ、答えはひとつではなく、切り口を幾通りから考える思考力が問われる中で、新しいものを吸収する感性を磨き、課題が多岐にわたる中から「新しい解」を生み出せる、付加価値の高い理工系人材がクローズアップされる昨今、京都府下唯一である理工系専門学科の本校卒業生に大きな期待が寄せられています。

 振り返れば、この一年は『常にプラス思考で ~今できることを逆算して始めてみよう!~』をスクールメッセージとして皆さんに投げかけてきました。高校生活では時間といった大きな制約がある中、見通しを立てた目標設定からスケジュールを逆算して進めていくことが要求されました。例えば、その目的から三年間「朝活・朝練」を継続した人もいることでしょう。朝の目覚め時は、脳がもっともクリアな状態にあります。これは心理学や脳科学の分野でも裏付けられており、多くの研究で「午前中に最も生産的な意思決定ができる」とされています。大事なのは「朝活・朝練」自体が目的でなく、少し早く起きて自分が好きなことを習慣化する、毎日をご機嫌に過ごすための手段です。朝時間こそが「何を優先すべきか」「今日をどう過ごすのか」を冷静に判断しやすく、自ら意思決定できる唯一無二の時間となり得ます。

 アップル創業者のスティーブ・ジョブズや、スターバックス元CEOのハワード・シュルツなど、多くの著名人が朝時間を重視していたのは有名な話です。彼らは一様に、「朝の時間をどう使うか」が一日の結果を左右することを体感し、彼らが「忙しいから朝の時間を使っていた」ということです。今日やるべきこと、今できることを明確にする。朝に「自分時間がある」と思えることが、その日を自分のペースで始める合図になります。そしてその感覚は、一日のリズムを、さらには人生のリズムを整えることにつながります。大切なのは、今日の最初の時間を自分のために使ったという感覚だと思います。たった10分間でも自分時間から一日が始まれば、心の面持ちは変わっていきます。皆さんも4月から始めてみようではなく、今できる明日から実践してみてください。

 結びに、皆さんはこれから社会人・大学生として一歩を踏み出します。この卒業式は次のステージへの出発点でもあります。自分時間を創り出せるスタートです。将来ありたい自分に近づけるよう、卒業後も「今できること」一つずつ着実に、見通しをもって「始めてみる」チャレンジに変えていってください。皆さんのこの三年間の歩みが後輩たちの道しるべとなること、2040年の未来が幸多からんことを祈念し、式辞といたします。


令和8年2月27日

京都市立京都工学院高等学校

校長 谷口 正朋