「モネ!」その一言から ~知識が鑑賞を豊かにする美術の授業~
- 公開日
- 2026/06/30
- 更新日
- 2026/06/30
学校の様子
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美術の授業では、歌川広重の代表作『名所江戸百景 亀戸天神境内』の鑑賞を行いました。生徒たちは、「何が描かれているのか」「どのような色が使われているのか」「描かれているものはどのような位置関係になっているのか」など、さまざまな視点から作品を見つめ、互いの気付きや考えを交流しました。
この作品は、江戸の名所として知られる亀戸天神を描いた浮世絵です。画面の手前には大きく藤の花と棚の柱が描かれ、その奥に太鼓橋、さらに遠くには藤棚の下で憩う人々の姿が見えます。近景・中景・遠景を巧みに配置した構図や、藤の紫、池の青、木々の緑などの鮮やかな色彩によって、見る人の視線が自然と作品の奥へと導かれます。また、「藤の花越しに風景を見る」という独特の構図も、この作品の大きな魅力です。授業の中で先生が、「この作品に影響を受けた外国の画家は誰でしょう」と問いかけました。すると真っ先に「ゴッホ!」という声が上がりました。先生の「惜しい!」という返しに、教室からは次々と画家の名前が飛び出します。そんな中、後ろの席から小さな声で「モネ」と発表した生徒の声を先生が拾い、「すごい! よく分かったね」と伝えると、その生徒の表情がぱっと明るくなりました。
実は、印象派の画家クロード・モネは大の浮世絵愛好家として知られ、300点近い浮世絵を収集していました。特に広重の作品から大きな影響を受けたとされ、『亀戸天神境内』に描かれた池や太鼓橋、藤棚といったモチーフは、モネが後に描いた「睡蓮の池」や日本風の橋を描いた作品にも通じるものがあります。モネだけでなく、ゴッホをはじめとする多くのヨーロッパの画家たちが『名所江戸百景』の大胆な構図や色彩表現から強い影響を受けました。
皆さんの知識が少しずつ増えてきていることを感じる場面でもありました。よく「水」を例にして次のような話がされます。数学に詳しい人は水の量や重さを考え、理科が好きな人はその性質に注目し、国語が好きな人は水にまつわる物語を想像します。社会が好きな人は水がどこから来るのかを考え、体育が好きな人は水の大切さを実感します。同じ「水」を見ても、知識があるほど多くのことに気付き、深く考えることができるのです。
今回の鑑賞が深まったのも、日頃から美術の授業に真摯に向き合い、知識や見方を積み重ねてきた皆さんだからこそです。これからも様々な作品に触れながら、「見る力」「感じる力」「考える力」をさらに豊かに育んでいってほしいと思います。