あとみよそわか
- 公開日
- 2020/05/11
- 更新日
- 2020/05/11
校長室から
皆さん,おはようございます。今日もいい天気,「五月晴れ」ですね。旧暦5月(今の6月)が梅雨のころにあたるところから,もともと「五月晴れ」は「梅雨の晴れ間」「梅雨の合間の晴天」を指していましたが,時がたつにつれ誤って「新暦の5月の晴れ」の意味でも使われるようになり,この誤用が定着しましたそうです。今日の言葉は,「あとみよそわか」です。明治時代の日本を代表する小説家の一人である,幸田露伴さんが娘の文(あや)さん(のちに随筆家,小説家となる)に教えた言葉です。幼いころ,母を亡くした文さんを,露伴さんは男手で育てながら,文さんを,どこに出しても恥ずかしくない女性にしようと,日常の立ち居振る舞いから家事万端まで厳しく教えたそうです。この父の熱心な指導は,子どもにとっては大変なことでしたが,それでも,「ありがとうございました」と素直に頭を下げる文さんでした。
掃除を終えると露伴さんは「あとみよそわか」と唱え,「もういいと思っても,もう一度よく,呪文を唱えて見なおしてみるんだよ」と教えたそうです。「あとみよそわか」の「あとみよ」は「跡を見て,もう一度確認しなさいよ」,「そわか」は成就を意味する梵語だといいます。露伴さんの教え方は,物事をやりながら,その意味を知っていくというものでした。掃除の仕方を教えるのではなく,一生懸命に掃除に取り組みことを通して,掃除の大切さや精一杯頑張ることの充実感や,部屋がきれいになった気持ちのよさなどを理解させようとしたそうです。
ただ,露伴さんが文さんに言った「あとみよ」は決して「あとを見て,もう一度確認せよ」と文さんに向かって言った言葉だけではなく,それはあくまでも自分自身の行ないに対して責任を最後まで全うするよう露伴さんが自分自身に向けて言いきかせた謙虚な言葉でもあったそうです。「目配り,気配り,心配りをしっかりできていましたか…」と自分自身に問いかけていたのかもしれません。「日常の些細なことにこそ気を抜かぬように…」という心がけだったのかもしれませんね。一瞬立ち止まって,丁寧な確認作業することは,のちのち大きな結果につながるような気がします。
自分を素直に振り返り,自分で自分を観察することで,今まで見えなかったことが見えてくることもあると思います。自分自身と向き合い,自分の考えや言動を振り返ることで気付くことがあります。人は,自分を振り返るときに成長するのかもしれません。自分を振り返り,さらなる向上のために「発見」があり「改善」をするのではないでしょうか。皆さん,いかがでしたでしょうか。私も「あとみよそわか」と,この記事を読み返してみました。