学校日記

「ふるさと」とは何か〜終業の日の話から〜

公開日
2011/12/28
更新日
2011/12/28

校長室から

 12月22日〈木〉に今年の授業は終了しました。その日の朝会の様子は,すでにこのホームページでお伝えした通りです。
 その時に,全校の子どもたちと一緒になって,授業の形式で,考えながら話し合ったことの概要を記します。

 明日からは冬休みです。今年ももう間もなく終わりますね。今年,校長先生が皆さんに話してきたことの中の一つに「本気になろう!」ということがあります。「これくらいでいいや。」とか,「もうこれで十分だ。」と決めつけて,そこで終えてしまうのではなく,「もう少し頑張れないか。」「もう一歩進めないか。」と,自分に問い直し,励まし,自分の力をさらに伸ばそうとする心です。いい加減に済まそうとしない「本気の心」です。皆さんは本気になることができたでしょうか。〈「本気になる!」と板書する。〉
 皆さんが「本気になる」ためには何が大切か。今日はそのことをみんなで考えていきましょう。私たちが「本気になって」頑張るために必要なのは何でしょうか。そのもとになるのは何でしょう。〈「ふるさと」と板書する。子どもたちは口々に「ふるさと」とつぶやく。〉そうですね。「ふるさと」が大切なのです。土台となるところに「ふるさと」がなければいけない。皆さんは「ふるさと」とは何かということが分かるでしょうか。
〈子どもからの発言を促す。「生まれたところ」「生まれて大きくなった場所」など,いくつかの意見が出る。3年生の子どもたちに国語辞典で調べてもらう。「ふるさと」という言葉としての意味を調べて,みんなの前で発表してもらう。〉
 なるほど,「ふるさと」とは「生まれ育った土地のこと」を言うのですね。皆さんはそれだけで分かりますか。まだ少し分かりにくいでしょう。ただ「生まれ育った土地」という意味だけでいいのかな。もう少し考えましょう。
 今,6年生の皆さんが音楽の授業で,「ふるさと」という曲を学習しています。合唱の練習もしています。これから,6年生の皆さんに,「ふるさと」を歌ってもらいましょう。この歌にどんな言葉が出てくるのか。そして,この歌を聞いてどんな気持ちになったかを後で聞きたいと思います。心を開いて聞いてくださいね。
〈ピアノ伴奏のもと,子どもたちが「ふるさと」を二部合唱で歌う。各学級で練習を重ねてきているので,とても美しい歌声を聴かせてくれた。他の学年の子どもたちや先生たちにも,心にひびく感動があったようだ。〉
〈美しい歌声。大きな拍手。まず1・2年生の子どもたちに尋ねた。〉「これが『ふるさと』という歌です。中にはどんな言葉がありましたか。」
〈子どもたちが順に発表していく。言葉の意味を確かめながら板書する。〉「うさぎ」「山」「川」「雨や風」「水」〈子どもたちから「自然」という声があった。『自然』という言葉でまとめる。〉「父母」「友がき」〈「友がき」とは「友だち」の意味であることを伝え,『人』という言葉でまとめる。〉「夢」「志」〈「志」は「心」と聞き間違えていた。よく似ている言葉であることを押さえ,その意味を説明した。どちらもボードの中心に板書する。〉
 「ふるさと」という言葉には,豊かな自然のこと,自分とかかわりのある人々のこと,さらには,自分の夢やこんな人になりたいという願いも込められているのですね。
〈次に,高学年の子どもたちに「この歌を聴いてどんな気持ちになりましたか。」と尋ねる。子どもたちが挙手をして発表する。〉「何か温かい気持ちになった。」「優しい気持ちがした。」「懐かしいような気持ちになった。」「何となく元気が出るように思えた。」…。
 この歌「ふるさと」は,さまざまな場面で歌われます。今年の春に東日本を襲った大震災や大津波,原発事故。多くの人々の命を奪い,家や学校,会社,商店や工場などの建物,豊かな自然など,ありとあらゆるものを破壊しました。つらく悲しい出来事でした。復興にはまだ長い時間がかかりそうです。
 そんな状況の中で,その土地に生きる人々は,支援する人々と共に,この「ふるさと」という歌を歌いました。皆さんが生まれる前に起こった阪神・淡路大震災の時にも,子どもたちが,若者が,お父さんやお母さんが,お年寄りが,多くの人々が一緒になって歌ったのもこの歌でした。
 私たちにとって「ふるさと」とは何でしょうか。ただ生まれ育った土地を示すだけではなくて,それだけではなくて,そこにある豊かな自然や,人と人との温もりのある関係はもちろん,多くの人が共有している思い出や,自分の心の内にある夢や願いなど,あらゆる大切なものが込められたもの,それが「ふるさと」なのではないでしょうか。
 私たちは,それぞれが「ふるさと」を心の内で大事に守りながら,そして時には,その「ふるさと」について共に語り合いながら歩んでいます。日々,一生懸命になって生きること,「本気になって」頑張れることができるのは,「ふるさと」があるからこそだと思うのです。「ふるさと」をそれぞれの心の内で確かめながら生きて行くことが,今,求められているのではないでしょうか。