学校日記

20年度 研究の概要

公開日
2009/03/19
更新日
2009/03/19

研究の概要

平成20年度                   京都市立修学院第二小学校
研究主題 確かに読む ゆたかに読む
—「つけたい力」から始まる国語学習—

目指す子ども像
育成部会・・・お気に入りの場面を選び,おはなし絵本に親しむ子
低学年部会・・書かれていることの大体をとらえ,場面の様子に気づきながら読
       める子
中学年部会・・・話の中心点がわかり,手がかりになる言葉を見つけて想像しな
        がら読むことができる子
高学年部会・・・ことばを大切にして,文章の内容を確かにとらえ,自分のおも
        いを広げたり深めたりできる子
    
1.主題設定の理由
 本校の児童は人懐こくて明るく,学校行事や課外活動に積極的に取り組むことができる。行事を企画したりパトロールを行ったりする地域・PTAの人達に見守られながら,子どもたちは素直に元気よく過ごしている。学習面でも,興味をもったことや目新しいことには,意欲的に取り組むことができる。その反面,人前できちんと話をしたり友達と意見を交流したりすることが十分できず,学習内容の習熟や定着に時間がかかるという課題もある。
そのため14年度から「進んで学習に取り組み,自分の思いや考えを表現できる子ども」という主題のもとに研究し,15年度から4年間は教科を算数科にしぼり「算数科における基礎基本の確かな定着を目指して」取り組んできた。その結果,授業改善も進み子どもたちも主体的に学習に取り組み「まじわる(集団解決)」場面でも意見交流ができ,基礎的な学力の伸びも見られるようになってきた。
しかしながら,表現力の弱さは依然としてあり「コミュニケーション能力の不足」「語彙量の少なさ」「表現の稚拙さ」があるので,昨年度から研究教科を国語科にした。表現するための基礎・基本の国語力としてまず「読解力」を伸ばしていこうと「たしかに読む,ゆたかに読む」という研究主題を設定した。書かれていることを正しく読み取ること(たしかに読む),また正しく読み取るに留まらず,自分の思いや考えをもつことやそれを表現すること(ゆたかに読む)の二点を目指して主題を設定した。しかし,具体的イメージを共有する場を十分もてなかったという反省もあり,授業研究の場で「確かに読む」と「ゆたかに読む」の具体的な姿を探りながら今年度も研究を進めていくことになった。「たしかに読む」は「叙述内容を確実に読み取る」という意味で「確かに」と漢字交じりに変え,「ゆたかに読む」は「想像を広げ,思いを深めて読む」「言葉からイメージを広げて読む」「自分の思いや考えや生き方を重ねて読む」などいろいろな意味を含むということで「ゆたかに読む」のままとした。また,「つけたい力を見据えること」や「ねらいをもつこと」の大切さも確認でき,つけたい力を明確にして主体的な学びを引き出すために,単元構想図を作成し学習の入り口・出口と過程を児童にも示していくことにした。更に読み取ったことを表現する手立ての一つである記述力をつけていくことも考えた。
以上のようなことから,本年度の研究主題を「確かに読む ゆたかに読む −『つけたい力』から始まる国語学習− 」と設定した。
2.研究仮説
 「つけたい力」から年間指導計画や単元構想を立てることで,毎時間の授業のねらいが明確になり,児童の確かに読む力やゆたかに読む力を育てることができるのではないか。
3.研究の進め方
 (1)授業研究に関して
    ○ 研究発表会前に全員が研究授業を行う。(全体会授業7回・部会授業
     6回)
    ○ 事前と事後の研究会を行う。
    ○ 全体会の授業では,発問・挙手人数・応答・時間配分の記録や写真
     撮影など研究委員で役割分担して,事後の話し合いに生かしていく。
    ○ 事後研究会では話し合いの視点を決めて行う。
    ○ 全体会授業の時には,学年の取組(児童の実態や成果と課題も含
     む)を発表して学年提案の文書も出す。
    ○ 単元構想図を作成して教室に掲示して,児童にも示す。
    ○ 単元終了後に授業者省察(単元構想・研究主題との関連・実践から
     の省察)
    ○ 国語科の基本単元で「つけたい力」の表を作成し,昨年度作成した
     指導計画に生かしていく。
 (2)児童の実態分析に関して
    ○ 児童の意識調査としてアンケートを実施して分析を行う。
    ○ 全国学力・学習状況調査の集計結果を分析し,本校児童の課題と今
     後の取組について共通理解していく。(6月と11月)
    ○ 京都市学力定着調査の集計結果を分析し,本校児童の課題と今後の
     取組について共通理解していく。(5月と9月)
 (3)言語文化活動に関して
    ○ 国語部の取組
    ・ 文集「修二の子」を年2回発行し,他学年の作文も読み自分の表現活
     動に生かしていく。
    ・ 年2回全校一斉読書を行い,全員の感想文を廊下の掲示板に貼り出し
     て交流する。
    ・ 「言葉の広場(低学年・高学年の二ヶ所)」で言語の学習に役立つ掲
     示をして,言葉の面白さ等に気付かせる。・・・二ヶ月に一回貼りか
     える。
    ・ たてわり集会の中で二ヶ月に一回ぐらいスピーチ集会を実施して,各
     学年の児童が全校児童の前で感動体験を発表したり作文を読んだりす
     る。
    ・ 「はりのある声作りのための発音発声練習」の研修会を実施して、
      日々の授業に生かしていく。
    ○ 図書部や研究委員会の取組
    ・ 年2回の読書週間の取組以外にも,読書ノートや左京図書館の貸出し
     を活用し,読書習慣の育成を目指す。
    ・ 教室や廊下などで本の紹介コーナーを設置し,多様な読書を促してい
     く。
    ・ 「詩の広場」で一ヶ月に一つ以上詩を紹介していく。
 (4)日常的な取組に関して 
    ○ 朝のスキルタイムで月・火・木・金曜日は,言語学習・読書・表現学
     習に取り組んでいく。
    ○ 朝や帰りの会で,早口言葉やことわざの紹介をしたり,スピーチタイ
     ムを設けたり,百人一首や詩の朗読をしたりして,口形を意識しては
     りのある声作りをしていく。
    ○ ひらがなや漢字のプリント・音読練習・日記・授業で分かったことの
     まとめ等の家庭学習を課すると共に,毎日点検をして忘れた児童への
     指導を徹底する。
    ○ 毎週水曜日の「ふれあい学びの日」・長期休業中の「ふれあい学びの
     週間」・月一回の「土曜学習」等を計画的に実施し,算数学習と共に
     国語学習を行い,学習内容の習熟と定着を図っていく。
    ○ 国語学習だけでなく他教科でも「書く学習」や「発表する学習」を
     意図的・計画的に進めていく。
4.本年度の研修計画
   略
5.成果と課題
 授業研究を行うなかで「確かに読む」と「ゆたかに読む」の具体的な姿が少しずつ明らかになってきた。「確かに読む」とは「叙述内容を確実に読み取る」ことだが,低学年では「文章を一字一句間違わずに正しく読む」ことや「基本文型を理解する」ことから始まり「言葉の意味の理解」を大切に学習してきた。学年が進むにつれて「接続語の理解」「段落意識」などを学びながら,物語文では「登場人物の心情・情景・表現のおもしろさ」を読み取ってきた。説明文では「筆者の考え・提示している問題・要旨」を捉えてきた。「ゆたかに読む」については「想像を広げ物語の面白さや読むことの楽しさに気づく」「自分なりの読みや世界観を持つ」「今まで気付かなかったことを知ったり,知っていたことを改めて考えたりする」「友だちと交流する中で読みを深める」「筆者の考えと比べて自分の思いや考えを絵や図や文にまとめる」「知的好奇心をもち読書の幅を広げていく」「自分の考えの根拠を明確にする」など様々な姿が見られた。それぞれの単元・教材で「どのように確かに読むのか」「どんなふうにゆたかに読むのか」ということを明確にしていくと,いかにすれば達成できるのかという具体的な手立てもはっきりしてきた。
 「確かに読む ゆたかに読む」ために,様々な形態の音読に始まり,本文に線を引いたり挿絵や写真・ビデオを手がかりにしたり動作化・劇化をしたりしながら,そのつど本文に立ち返り読み進めてきた。吹き出しや穴埋め式や表など工夫されたワークシートを用い,キーワードに着目しながら読み取ったことをまとめてきた。また,中高学年からは一人読み学習も進め,分かったことを絵や図で表したり文章にまとめたりしてきた。文章でまとめる時は,字数制限などの条件を設け,大事な言葉や内容を選んで書くようにしてきた。読み取ったことを表現する力を育てるために,キーワードや文型・モデル文を提示したり,文章構成メモやヒントカードを用いたりしてきた。また,お互いの読みを深めるために,二人組やグループで交流し,「話し合いカード」や「司会カード」なども使ってきた。読み取ったことをワークシートや一人読みノートにまとめていくうちに,児童は自分の読みが明確になってきた。また,グループや学級で交流する中で自分の読みや考えが変わったり深まったりしてきた。指導助言の福永先生からは「一問一答方式からの脱却」「子ども同士が響き合い,乱反射するシステム作り」と常に言われており,まだまだそこまで達していない面もあるが今後も共同学習力を育てていきたい。
 「つけたい力から始まる国語学習」という副題でその単元・教材で「つけたい力」を明確にして,「単元構想図」を作成し児童にも提示してきた。その結果,単元の出口が分かり子ども達は主体的に学習を進めることができた。一時間毎の授業の流れを提示することにより,見通しをもって学習することもできた。また,学習課題もはっきりし,めあてをもって活動することもできた。「つけたい力」を明確にして取り組むことは,教師にとっても児童にとっても有意義であった。
 国語科の研究を始めて二年になるが,国語部など他の分掌と連携をとりながら「全校一斉読書」「言葉の広場」「詩の広場」の他に今年度は「修二の子」の発行やスピーチ集会も,行ってきた。朝のスキルタイムで読書や言語・表現学習に取り組み,朝や帰りの会でもスピーチや朗読の時間を設けてきた。口形を意識した発声練習を大切にしながら,日々の学習の中で,はりのある声作りも進めてきた。国語学習の時だけでなく,算数科や理科でも「解き方の説明」「観察・実験の考察」「学習して分かったこと」など文章にまとめる経験を多く持たせてきた。その結果,国語の力も少しずつ伸び,学力定着調査や全国学力・学習状況調査の通過率も上がってきた。特に記述式の問題の無解答率が減ってきた。意識調査でも国語の勉強が好きと答えている児童が75%以上いる。しかし,得意かどうか尋ねると70%に減ってしまう。(国語の勉強が「とても好き」と答える児童は40%近くいるのに「とても得意」と答える児童は26%になる。)特に,学年が進むにつれて「好き」とか「得意」とか答える児童の割合が減っていく。学力・学習状況調査でも「自分には良いところがある」と答える児童の割合が全国平均より低く,「難しいことでも失敗を恐れずに挑戦する」「分からない問題もあきらめずに最後まで取り組む」と答える児童の割合も低いという結果が出ていた。このような学力定着調査や意識調査の結果は学力向上チームや4部会で分析した後,成果や課題について共通理解を図ってきた。特に全国学力・学習状況調査については,5月中に本校独自の分析を終え,指導に生かすための研修会をもった。本校児童の課題として「習熟や定着に時間がかかるということ」と「低学年から中学年のつなぎ」に課題があるが,中学年・高学年と進んでも自信を持って学習に取り組めるように今後も研究を進めていきたい。