学校長祝辞
- 公開日
- 2013/03/22
- 更新日
- 2013/03/22
校長室から
卒業に寄せて
室町小学校創立143年目の卒業生として室町校を巣立っていく47名の皆さん,卒業おめでとう。心よりお祝いいたします。
室町小学校の歴史をひも解くとこの地は室町幕府が置かれた所であり,さらに遡ること千年,奈良時代には毎年優秀な官吏が登用されていた地でもありました。1300年来,学業中心の地として学問を大切にしてきたことがわかります。この教育精神は脈々と受け継がれ,室町校の伝統となって君たちへとつながっています。
君たちは室町時代の伝統文化を調べて相国寺を訪ねました。そこでは,座禅を組み心を無にすることが求められました。日本庭園に面した畳の上で座禅を組んだ君たちは,最初くすくすと笑っていましたが,やがてその神秘さに真剣に向かい合いました。1分1秒たりとも体を動かさず,心静かにしていると高僧の話が心にしみこむように聞こえてきます。伝統や文化を守るのは大変な努力が必要です。この寺は幾度となく戦火に遭いましたが,皆の祈りや願いで再建を重ねてきました。さらにその願いは,七重という日本一の高さの塔を作り上げる力となりました。人の話を聞くことから人を思いやるという気持ちが生まれることも座禅という体験で感じることができました。室町時代から受け継がれている「世のため人のため」という日本の心を,君たちが伝えていってほしいと思います。
また,君たちは世界の最先端技術に触れることがありました。ノーベル賞を受賞された山中教授のiPS細胞です。保護者である櫻井先生にその細胞のことや誕生秘話や山中教授の研究姿勢等も詳しく教えていただきました。山中教授はアメリカへ留学した際に2つの大きなことを学んだと言われています。1つは,世界中のいろんな人の話を聞くことの大切さです。そのために研究所の真ん中は吹き抜けでみんなが語り合えるスペースを設けられました。もう1つは,相手に自分の思いや意図を理解してもらうための熱意と工夫の大切さです。例えば発表の時にわかりやすくするためのイラストを入れられたそうです。そして,櫻井先生自身も病理解明のためにiPS細胞の研究をされています。「何かをやりたいと思ったら、臆することなく挑戦してほしい。」と言われました。
iPS細胞とは「いくらでも増え,どんなものにでもなれる」細胞です。君たち47人は「いくらでも成長し,どんなものにでもなれる」元気な卒業生です。10年後,20年後,世界中どこにいても室町校の卒業生として,一人一人が自信を持って輝いていることを願っています。
校長 吉見 薫