学校日記

ドングリの大作戦

公開日
2012/12/20
更新日
2012/12/20

中川校の自然

 上の写真は校区で見ることのできるドングリの内の2つです。共に殻斗(お椀あるいは帽子と呼ばれている)は鱗片状ですが,クヌギは鱗片一つ一つが細長い棒状に延びています。ドングリは,クヌギが球のように丸っこく,コナラが細長い楕円体のようになっています。
 さて,今日は10月29日付「以外と知らない栗のイガ」で先送りしましたドングリの大作戦のお話です。
 まず,下の写真について,左赤円内は渋皮を示しています。右黄円内は切断時に切れてしまったのですが,胚です。クリやシイと違って総苞が殻斗と呼ばれるようにドングリ(堅果)全体を覆い隠しません。このままでは,若いうちから食べられそうでが大丈夫です。防衛策は立てています。若い内は毒(渋い,腹痛を起こす)をたくさん持っていますので簡単には食べさせません。では,熟せばクリのお話のように食べてもらおうとするのでしょうか。その通りですが,子孫を残してくれるパートナーを選んで食べてもらおうとしています。
 その相手とは,すぐに食べずに運んでストックしてくれる生き物たち,つまり,リスやネズミです。リスやネズミは,一度に大量に食べず,冬の食料としてあちらこちらの土や巣穴の中にストックしておく習性があります。多くは食べられてしまいますが,一部が忘れ去られて生き残るわけです。しかし,リスやネズミだけが食べるのでしょうか。いえいえ,クマなどの大型動物も冬眠用の食料としてたくさん食べようとします。そんなにたくさん食べられたら無くなってしまうのではとの心配が起こります。そこで,ドングリは大量に食べられないように毒分を使う作戦を考え出したのです。
 でも,毒分を持っているなら,小動物は食べられないのでは,と次の心配が起こるでしょうね。大丈夫なのです。大量に食べる大型動物にのみ効くようになっているのです。意味が分かりますか?実は,一つ一つのドングリの毒は弱くしてあるのです。つまり,大量に食べないと毒が効かないように工夫してあるのです。クマは,たくさん食べますが,食あたりを起こす前にやめてしまうということになるわけです。
 さらにもう一工夫しています。胚の生長に必要な栄養です。当然ドングリの中にあるわけですが,なんと,胚が残っていれば,多くを食べられても発芽することができるのです。つまり,ドングリの先端部分を含む一部が残っていれば発芽できるのだそうです。驚きでしょう。ドングリは大量生産することで,生き残る必要数を確保する作戦を立てたのです。
 さらにさらにもう一工夫。ドングリの生産量を年毎に多くしたり少なくしたりと変化をさせています。何故か。一定量を毎年生産すると,捕食者も食料が豊かと判断して数を増やします。それでは,食べ尽くされてしまう危険があります。そこで,時には減らすことで,捕食者を飢えさせて減少させるということもしています。木本植物ですから長生きします。毎年,発芽させて子孫を増やす必要がないからできることなのです。