新しい接着素材は私のおかげ
- 公開日
- 2012/12/18
- 更新日
- 2012/12/17
中川校の自然
上下の写真はニホンヤモリです。本校の3年生が,見つけて持ってきてくれました。早速写真に収めて,3年生に返してやりました。おそらく,彼女のことですから,そっと逃がしてやったことでしょう。
ニホンヤモリといえば,夜,外灯に照らされた窓に何やら怪しくうごめく生き物の影…,というのにふさわしい生き物です。夜行性で,外灯などに集まる虫や家の中の虫を餌としているため,有益動物なのですが,その色形や夜に姿をよく現すことから気味悪がられることが多く,不快生物として名を連ねています。元々は有益動物として,家守や守宮という漢字を当てはめていますのに,残念なことです。私も子どものころ,ヘビ,クモ,イモリなどとともにヤモリも家を外敵から守ってくれるので退治するなと言われていたことを思い出します。でも,皆さんも一緒に住んでいるかと思えば気味悪いですよね。有益動物には失礼ながら,そっと外へ追い出しています。
さて,このヤモリですが,なぜ,ガラスなどのつるつるした垂直な面や天井などの下面に張りついて動き回ることができるのでしょう。そんなの決まっているじゃない!足が吸盤になっているからじゃないですか,と言われそうです。確かに一昔前までは,そう思われていました。でも,じつは,吸い付いているのではなかったのです。足裏の写真を取り忘れたので有りませんが,縞模様がくっきりと見え,吸盤構造とはだいぶ違います。1本の足裏には,人の髪の毛の10分の1以下の細い毛が50万本生えているらしいのです。4足で200万本もの毛が生えており,さらにその1本1本の先端が,100〜1000本のさらに細い毛に分かれている,つまり,1匹に10億本程の毛が生えているそうです。先端の微細な毛は数百ナノメートル(1ナノメートルは,1mmの100万分の1)という細さになるそうです。ここまで細くなると,物質の分子レベルの力(ファンデルワールス力:簡単に言うと分子同士の引力のことであり,一つ一つの力そのものは非常に小さい)が働くそうで,本によっては10億本で800gぐらいの重さを支えられると書いてあります。つまりヤモリの体重を十分支えることができるということになります。
この事実が発見されたのは2000年頃と比較的新しく,その後の科学技術の進歩で,ファンデルワールス力を使った接着テープ「ヤモリテープ」も開発されているとか。早ければ,2015年に高値になるでしょうが市販されるかもしれません。また,吸盤と違って,大気圧と何ら関係がない分子同士の引き合う力ですから,空気のない宇宙での利用も大いに期待されるとか。