最新更新日:2024/09/18 | |
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木を植えて箪笥をつくる
−PTAだよりに寄せて−
木を植えて箪笥(たんす)をつくる 田舎では娘が嫁ぐ時に持たせる箪笥の材にするために、親はまだ自分自身が若い頃に桐の木を植えたと聞きます。男が生まれるのか、女が生まれるのかもわからず、そうなる時のことを思い描いて大切に木を育てる。そんなゆったりとした感覚が当たり前のように生き方の中に包み込まれている。早い結果や成果を求める時代が続く中、私達の人生観や価値観も知らず知らずのうちに変容していっているのかもしれません。 学校の営みには目の前の困りに対応する即応力が求められることもあれば、少し長い目で見ることのできる包容力も必要とします。そして何よりも、遠いと思える未来に夢を馳せる想像(創造)力とそれを実現に向かわせる、地道な学びと忍耐力がとても大切です。人がそもそも持っている生命力と成長の可能性を、私達大人が、家庭や学校、地域社会というさまざまな形でその力をひきだし、支援していくことが教育の本来的な意味だと考えます。 現代社会を「困難な時代」と呼ぶ人がいます。確かにそうなのかもしれません。しかし、だからこそ夢や希望が大切にされる時代であるとも言えます。そして下京中学校では「志」という言葉を大切にしています。豊かで平和な社会を創り上げていく人材の育成を願っています。そのために、今年度もまた「志 きらめく」を校是とし、あわせて「挑戦」という言葉を学校経営の中心に据えて教職員一同、心を一つにして頑張っていきます。どうぞ、ご支援ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 2013.5.31 校長 村上 幸一 爽春の風
作品第1023番 −宮沢賢治−
南から また東から ぬるんだ風が吹いてきて くるほしく春を妊(はら)んだ黒雲が いくつもの野ばらの藪(やぶ)を渉(わた)って行く ひばりと川と 台地の上には いっぱい種苗を積んだ汽車の音 仕事着はやぶけ いろいろな構図は消えたけれども 今年は おれは ちょうど去年の二倍はたしかにはたらける 昨日は「志の式」、今日は「第7回入学式」、今年もまた「志 風の学期」が動きだした。 爽春の風は気まぐれだ。疾風と春風駘蕩をくり返し、木々から花を強引にさらっていく。花を惜しむ心は皆一様である。しかし、いずれ山々の色がうすら白く新芽を生み出すころ、やはり皆一様に新しい希望を見いだすことになる。 「どんな風になりたいのか心に描き出そう」、「どんな場所でどんな風に吹かれたいのか、近い未来の絵を描こう」。そう話した自分はどんな風になれるのかと、雲の上から違う自分が問うている。 古い蔵書の中から、宮沢賢治という先人が、読んでごらんとページを開けてくれた。「今年は去年の二倍は働ける」と言えば笑われるだろうか。 2013.4.9 校長 村上 幸一 青雲の志 −挑戦−
新年度が始まりました。新しい仲間を迎えて、下京中学校は今年度も「志 きらめく」学校として保護者・地域の皆様はじめ、様々な方々からのご支援、お知恵をいただきながら頑張る所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
※以下は新年度、冒頭の職員会議で教職員に伝えた私の所信です。 経営のはじめに(本校教職員への言葉) − 志 きらめく − 唯一無二 心を一つに 未来を創る 開校7年目を迎えようとしている本校は,2つの大きな周期を終えて新たな一歩を踏み出しました。「5校統合」という言葉も過去のものになりつつあります。下京中学校としてのアイディンティティが形を見せ始めています。その中心にあるものは「挑戦」という言葉です。それは教育の可能性への挑戦であり時代への挑戦でもあります。さらに言い換えれば私達自身への「可能性の開花」に対する挑戦でもあります。私達はそのアイディンティティの遺伝子が広がりつつあることも実感しています。この学舎で果敢に挑戦してきた仲間が一つの役割と目的を果たし,他の地で新たな知恵と力に出会い奮闘しています。意識と無意識の両世界の中で使命を担い,私達は繋がっていきます。その繋がりは丁寧に大胆に育てていかなくてはなりません。 本校では,今年度も小さなチームがいくつも生まれつつあり,新しいリーダーもその存在を見せ始めています。しかし最も大切なことは一人一人が自分自身をマネジメントする力です。自分にとって最大のリーダーは自分であります。そのことを抜きにしてチーム力は語れません。 私達には新たな目標があります。具体として,全教科・領域を上げて取り組む,生き方を探究し続ける「キャリア教育」の構築であり,それに繋がる学力の向上です。しかし人は,積み重ねた知識と技術は無礼と不義により一瞬にして瓦解するのも良く理解しています。生徒の今と将来に渡り,身につけさせたい力とは,礼節はもとより,他を認め,よく理解しようとする“思いを遣る”力を併せ持った,他との関係性におけるより良い生き方を探究する「真の生きる力」であります。 私達は,“学ばない”と“学べない”の違いに敏感である教師であり続けなければなりません。「3月11日は被災した者とそうでない者との格差を強く感じる日です」と言った東北の若者の言葉は私達に大切な示唆を与えてくれています。それは,学校においては,子ども達にとって「“勉強が出来ない”ことが,どんなにつらいことか」と。「“勉強が出来ること”がどんなに幸せで楽しいことか」と。私達はそのことをいつも忘れてはなりません。私達は,未だ教育改革のまっただ中にあり,教育の構造と質において,その改革のために全力で取り組まなければなりません。そして,足下では学力(求められる力)の向上とあわせて,生徒指導や総合育成支援(特別支援)教育のあり方,小中一貫教育,家庭との連携の構築など,本校の課題は多様です。それらに果敢に取り組んでいく熱意とチームワークが大切です。 我々の仕事には俯瞰的視点を持つことも求められています。この世界を一つの流れの中に取り込んでしまおうとするグローバリゼーションの波の中,東アジアをはじめとした極度の緊張や,中東,アフリカ等,この地球上で,さまざまな地域・国家紛争が繰り広げられています。BRICSの発展はじめ,後発国といわれてきた国々が,かつての日本がそうであったように,目を見張る経済成長を遂げる中,極端な格差をはじめとした人権問題や一国の域を超えた環境問題など,発展の「光と陰」が同時に展開され増殖されているのも事実です。「この国の未来」は「この地球の未来」と同意語です。平和と持続する豊かさを伴う未来を創るために必要な力の育成が私達の使命です. 新しい仲間とともに,それぞれが教育の意味を深く考え,チームの一員として“何をすべきなのか”,“何ができるのか”を,自身に問い続け,それぞれが研鑽を深め,学び合い,助け合い,励まし合いながら日々歩んでいくことが大切です。良き未来の創造のために,さらに一層“志きらめく”学校にしていきましょう。 平成25年4月3日 校長 村上 幸一 |
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