最新更新日:2024/09/26 | |
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平成23年度第5回卒業式式辞
式 辞
寒き日、温かき日を繰り返しながら三寒四温の名の通りに、下京の地にも新しい季節が訪れてまいりました。今日の佳き日に、保護者のご参列はじめ、ご来賓のご臨席を賜り、第5回卒業証書授与式を、ここに挙行出来ますことを、心より感謝しますとともに、教職員を代表し、厚く御礼申し上げます。 さて、卒業生の皆さん、卒業、おめでとうございます。 心よりお祝い申し上げます。 そして、保護者、ご家族の皆様方、本日は誠におめでとうございます。重ねてお祝い申し上げます。 今、卒業の時を迎えて、この3年間を皆さんはどのように感じているでしょうか。 春の木々の新芽のようにすがしい姿だった1年生の時、多くの仲間と夢や希望を膨らませ続け、天に向かって成長していく若葉と梢のような2年生の時、そして、身も心も大人に近づき、この世界の様々な現象に気づきはじめ、その問題と解決について真剣に考え、探りつづけようとした3年生の時。 その姿は、まさにまっすぐに伸びる凛々しい若木のようでありました。 その時々を皆さんはここにいる友と恩師と、この学舎で過ごしてきました。 本当に大きく成長しましたね。 とても嬉しく思います。 1年前の3月11日に起きた震災の10日後、被災地である気仙沼の階上中学校の卒業式で読まれた答辞は全国の多くの人々の胸を打ちました。その中から敢えて一節をお借りします。 「自然の猛威の前には、人間の力はあまりにも無力で、私たちから大切なものを容赦なく奪っていきました。天が与えた試練と言うにはむごすぎるものでした。つらくて悔しくてたまりません。」「時計の針は十四時四十六分を指したままです。でも時は確実に流れています。」「命の重さを知るには、大きすぎる代償でしたしかし。苦境にあっても、天を恨まず、運命に耐え、助けあって生きていくことが、これからの私たちの使命です。」 十五歳の旅立ちの言葉としてはあまりにも重すぎる試練を背にした決意でした。 しかし、その決意の言葉を生み出したものはその試練を同じように感じ、心を痛め、「今、何かをしなければともがくような気持ちに駆られた日本中の、いや、世界中の人々の心の力が後ろにあったからではないでしょうか。 皆さんは震災の3日後に卒業式の会場を準備した後の夕刻に、まさにちょうど1年前に義援金の募金をしようと100名以上が走って街に繰り出していきました。その行動は立派でした。下京中の精神“志 きらめく”そのものでありました。皆さんは私の生涯の誇りです。 そして、やはり時は確実に流れ、5日前の、この3月10日に階上中学校でも卒業式が行われ、58人が巣立って行かれました。3割の生徒が自宅を失ったままです。 この1年間での復旧作業がさらに加速され、一日も早く復興を成し遂げられるよう、私たちの心を一つにして努力を積み重ねていかなければなりません。 昨年の5月にかけがえのない2年生の命を失った私たちは、その重みと今、生かされていることへの感謝と生き抜く責任を学んだ1年でありました。 皆さん。この世界で何が起きているのかを考えてください。そして感じてください。おそらくこの現代社会とは、一つの確固とした正解のないジレンマの連続世界と言えるものかもしれません。問題に直面した時に、解決のよりよい答えを見つけるためには、幅広い知識や豊かな経験が必要です。その為には生涯にわたって学び続けようとする姿勢を大切にしてください。 仲間と多くを語り合ってください。先輩や師となる人の教えに謙虚になってください。「知」そのものへの尊敬の念を持ってください。何千年、何万年の人類の営みにより紡ぎ出されたものが今ある「知」や「知識」そのものです。そして、それらを生かし、深く考え、行動するために必要な気力や体力を自ら鍛え養ってください。 そして、人の痛みや悲しみを受け入れられる温かく柔らかい心を自分の中心に置いてください。世界と自分の関係性を知るためには多くの経験を積むことが大切です。時間は人に平等です。与えられた時間の長さが重要なのではなく、「いかに生きるのか」、その密度が重要なのです。 ヴィクトール・フランクが「夜と霧」の中で書いている言葉があります。「我々が人生の意味を問うのではなく、我々自身が人生の意味を問われているのであり、答える責任があるのだ」と。 私たちには人生の意味について答える責任と、新たなる人の生を保障するために、未来を作り続ける義務があります。 224名の卒業生の皆さん。皆さんのまわりには今日という同じ時代を生きる多くの、まだ出会わぬ仲間がいます。今日の友を大切にするとともに、これから出会う新しい仲間とも強くつながり、協働しながら、まさに一本の木が林となり、さらに深い森のように育っていくことを願ってやみません。 今日のこの式は別れを惜しむためのものではありません。「大義に依りて志を立てる」、立志式であります。 世界は広く未知なる経験が皆さんを待っています。互いの健闘を祈り、これからも変わらぬ友情を確かめ合いましょう。 いよいよ巣立ちの時です。良い風が吹いています。さあ、大きく羽を広げよう。勇気と誇りを持って今旅立つ時です。 私は皆さんとの出会いに感謝します。これからの世界を築いていく、皆さんの可能性に心の底からわくわくしています。 どうぞ、すばらしい人生を送ってください。 最後に、この下京中学校という場を通じて、保護者、地域の方々、またご来賓の皆様方もあわせて、人生のよき出会いを与えていただきましたことに教職員を代表して心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 それでは卒業生の皆さん、下京中学校の卒業生という誇りと、夢を持ち、志きらめいて、活躍されることをお祈りします。 今後のご健闘と前途を祝して式辞といたします。 平成24年3月15日 京都市立下京中学校 校長 村上 幸一 新年明けまして おめでとうございます。
新年明けまして おめでとうございます。
苦難と激動の一年であった平成23年を、私たちはそれぞれの心の中に涙や汗、時には血をもって“耐える”という文字を書き綴ってきました。しかし、それらはいずれ姿を変え、“希望”という言葉に変わらなければなりません。暗く重く幾重にも重なる瓦礫の層のような心の大地の中から、決意とも言うべき思いが浮かび上がってきます。新年の祈りの中にその言葉や形は千差万別ではあるでしょうが、私たちの国とそこに生きるすべての人々の復興と幸せを、それぞれが合わせる手とともに深く願ったのではないでしょうか。 今こそ、唯一無二の心を一つにして、未来を創る“志 きらめく”人であらんことを心に刻みたいと思います。 この一年を皆さんとともに力を合わせて、夢や希望できらきらと光り輝くものにしていきましょう。 さあ、頑張りましょう。 校長 村上 幸一 ゆかた登校に寄せて
ゆかた登校に寄せて
今年もまた、下京中の学び舎に色とりどりの美しい花が咲きました。ゆかたの色や柄が着る人の心を映しているようで、まさに一つひとつの光を放っている花のように見えます。 生徒のゆかたは自前のものや、学校で用意したものなどさまざまですが、着付けの練習から、ゆかた選び、寸法直しなど、それは、それは大変な準備が必要です。保護者やボランティアの方(支え隊)、地域女性会の方など100名近くが毎年この“花の行事”を支えてくださっています。感謝以外の言葉が見つかりません。 今年のゆかた登校は私だけではなく、特別の思いを持たれた方が多かったことと思います。ご挨拶とお礼の場面でも話しましたが、肌に触れるゆかたの感触は、一つのすがしい日本の伝統。「あー、良いものだなあ」と着替えながらいつも感じることです。集会で、言わなくても正座をして座っている男子生徒たち。衿元をなおしながら、じっと前を見つめて話を聞く女子生徒。凛とした姿は手前味噌かもしれませんが、かっこいいです。生徒会も頑張って盛り上げてくれました。教職員も生徒も早朝よりお越しいただき支えてくださった方々も、体育館の中で一つになれました。 しかし、この同じ時間に、日本の同じ学校という場の体育館で、全く違った時間と空間を感じながら過ごされている人たちが大勢おられるということも事実です。みんなの笑顔を見ながら、日本人としてのアイディンティティを本当に大切にし、豊かな未来を創っていける人になっていってほしいと、心の中で静かに願っていました。 今年もこの行事を行えたことに感謝します。 校長 村上 幸一 校是〈最高経営理念〉・学校教育目標について
平成23年度の『校是〈最高経営理念〉・学校教育目標・めざす子ども像』については、こちらからご覧いただけます
春季総合体育大会にむけての激励の言葉
春季総合体育大会にむけての激励の言葉
長い冬の間に蓄えてきた力を発揮するとき 新チームとしてはじめての戦い 全員が惜しむことなく力を発揮しなさい あきらめることのない全力プレーで 声がかれるほどの心からの応援で 誠意と気配りで裏方の仕事を 勝利には“頑張ったね”というねぎらいの言葉を 負けには“次ぎを目指そう”という希望の言葉を そして、勝っても負けても、相手に“ありがとう”と言える感謝の心を すべての大会を支えてくださる人々の温かい心にお礼の言葉を 見る人に勇気を与えなさい 聞く人に希望を与えなさい それは精一杯のプレーでしか生まれない 努力しても必ず勝てるとは限らない しかし、勝利を手にする人は必ず努力をしている 現在(いま)と未来のたゆまぬ努力が明日の勝利を生み出す 皆さんの活躍を期待しています 下京中学校生としての誇りを持ってしっかり頑張りなさい 心から応援します H23.4.28 校長 村上 幸一 経営のはじめに
経営のはじめに
− 志 きらめく− 唯一無二 心を一つに 未来を創る 3月11日に我が国において未曾有の経験とも言うべき東北関東大震災が起きてしまいました。公教育の使命が人格の完成を目指すとともに、国家・国民形成であることを考えた時、国難とも言われるこの事態において、今まさに私たちの使命(教育)への強い自覚と教育への熱意が求められています。国家の再生とさらなる発展のために、これまで以上に力を合わせて“下京中学校教育”の向上を目指して頑張りましょう。 一年前に私は皆さんに、次のように述べました。『力を尽くして物事を始める前に、事に当たる人々の心が一致しなくては、一つとして魂のこもった仕事は成し得ないと考えます。私たちは“人を育てる”“国を創る”という使命のもとで、ひとり一人のまだ発揮し得ていない力も含めて、この下京中学校という一つ屋根のもとで、知恵と熱意と思いやる心を一つにしていかなければなりません。熟議と共に生じる熱は諍いではなく、前進のエネルギーに換えていき、行動と振り返りを繰り返しながら、上昇の螺旋に乗り、歩みは小さくとも確実な成長を遂げていきたいと考えます。...』 そして、今年度、新しい仲間とともに私たちはまた、新しい歩みを始めていきます。それぞれが教育の意味を深く考え、合わせてこの下京中学校の使命とは何か、また、チームの一員として“何をすべきなのか”、“何ができるのか”を、日々自身に問い続けることが大切であります。時代と世界の変化のスピードはこれまでにない圧倒的な力を持って私たちをその流れの中に取り込んでいきます。守らなければならないことと、柔軟な変化に対応するしなやかな力は今年度も変わらず要求されていきます。そのためには、今までにも増して、それぞれが研鑽を深め、学び合い、助け合い、励まし合いながら日々歩んでいくことが大切です。良き未来の創造のために、昨年度以上に、“志きらめく”学校にしていきましょう。 平成23年4月1日 校長 村上 幸一 |
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