最新更新日:2024/09/18 | |
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平成25年度 卒業証書授与式 式辞
式 辞
今年は例年にもまして春の訪れを遅く感じます。3日前に、私達は3年前のこの春に起きた出来事を思い返し、 心を込めて、東北の地で亡くなられた方々のご冥福をあらためてお祈りしました。 さらに、皆さんはこの中学校生活の中で、尊い仲間の命をなくすという悲しみにも出会いました。 季節はめぐり、歳月は確実に流れているのに、復興の遅れや悲しみの傷跡は心の春の訪れを妨げているようにも時に感じます。 しかし、あれから3年、そんな静止したような状況とは相反するように、世界は変動社会と呼ばれるように、めまぐるしい変化と変動を見せてきました。そして、私にとっては、時間の流れと共に最も著しく、その姿を変えたのは、ここにいる193名の卒業生の皆さんです。成長という見事な変容を見せてくれました。皆さんを通じて、人の存在や、生き抜くことの意味と価値をあらためて強くここに思います。 本当によく、成長しましたね。 卒業生の皆さん、卒業、おめでとうございます。 心よりお祝い申し上げます。 そして、保護者、ご家族の皆様方、本日は誠におめでとうございます。重ねてお祝い申し上げます。 あわせて、今日、ここに、ご来賓の皆様方のご臨席を賜り、第7回卒業証書授与式を、挙行出来ますことを、深く心より感謝しますとともに、教職員を代表し、厚く御礼申し上げます。 一昨日、この同じ場所で3年生を送る会が行われました。全校生徒と教職員が一堂に会する最後のひとときを過ごしました。1・2年生の合唱や群読、パフォーマンスの素晴らしさには、これからの下京中学校が、さらに発展していくことを予感させるものがありました。そして、卒業生の皆さんの立派な態度と合唱は、コンサートホールで聞いたあの大地讃頌と同じく圧巻でありました。最後まで、本当に良いものを後輩に託していってくれました。 心より感謝します。 校長として、卒業生の皆さんに、はなむけの言葉を贈ります。 青山北に横たわり 鴨の白水下京めぐる この地に育った 青雲の有志 手を揮(ふる)ってここより去れば 小さき鳥たちも寂しく鳴く されど時は流れ さらに時が流れ 再び遠方より友集い来れば その姿に喜び合おう 生きていくことの意味を問い続けよう めぐり会える奇跡に感謝しよう 夢見る心を大切にしよう 誇りを胸に生き抜こう どんな時代に生きようとも, “志 きらめく”自分であり続けよう。 目を閉じ、心を開き、静かに、思い浮かべてください。この学舎の下には、何千年の人の営みを飲み込んだ深く重い歴史の地層が広がっています。その土は眠るように寡黙にこの校舎を支え、皆さんの営みを支えてきました。そして、途切れることなくその地は広がり、大地となり、この国を支えています。そしてさらに異国まで広がりながら、世界を支え、そして、この小さな地球という惑星を形づくっています。今、下京の地では穏やかで温かい春の風が、長い冬の眠りを呼び覚ますようにここちよく吹いています。そして、その風は国を越え、時には熱風となり、さらに国を越え、時には凍えるような冷気へと姿を変えていきます。 私達は、同じ大地の続きに生き、同じ風の流れの元に呼吸し、世界は繋がっています。 国家や民族間の対立や諍(いさか)いをまるで何事もないかのように、この星は一つの命としてこの宇宙と時間という流れの中に、ただ静かに存在しています。 時間とは、たどり着く出口も岸もない大きな川の流れのようです。そして決してその流れを遡っていくこともできません。 私達はそのような中で、この星の片隅でめぐり会えた奇跡に感謝しましょう。 そして、これからの人生に、苦悩と絶望の日がもし訪れたら、大切な人と寄り添いあい、繋がりあいましょう。 生まれてきたことに感謝し、今日まで育てられてきたことの喜びを感じましょう。 いつか訪れるこの星との別れの時まで、大切な命を精一杯に、生き抜きましょう。 子(し)日(のたま)わく、性(せい)は相(あい)近(ちか)し、習えば相(あい)遠(とお)ざかる。 「性」とは人の天性のこと。「習」とは習慣の事。 人の資質は生まれた時にはそれほど変わりはありません。その違いが生じるのは、そのあとの「習い」の違いです。繰り返して習うことであり、学び続けることであります。その継続した学びが人の資質を成長させます。 皆さん。生涯に渡って、学び続け、友と語らい、人を愛し、人のために力を尽くす。そんな人になってほしいと思います。知識基盤社会とも言われる変動と混迷のこのグローバルな現代社会においては、現在と近い未来に多くの深刻な課題を抱えています。その課題の解決方法を、私達人類は、ほとんど持ち合わせていません。これからの未来が豊かで幸福に満ちたものであるのか、またその逆であるのか、さらにそのいずれでもないのか、答えが一つでない困難な課題に立ち向かって行かなくてはなりません。幅広い知識や教養を大切にし、思いをめぐらし、考え抜き、自分の考えを自分らしい方法で表現していく力を身につけていってください。 そして、時にはゆったりと楽観的に考える心の余裕も大切です。 193名の卒業生の皆さん。今日は立志式であります。仲間と共に、大義に依りて、志を立て、仲間と、互いの健闘を祈りましょう。そして、変わらぬ友情を確かめ合いましょう。 いよいよ旅立ちの時です。良い向かい風が吹いています。勇気と誇りを持って未来へと羽ばたいてください。 私は皆さんとの出会いに感謝します。これからの世界を築いていく、皆さんの可能性に心の底からわくわくしています。 どうぞ、すばらしい人生を送ってください。 最後に、この下京中学校という場を通じて、保護者、地域の方々、またご来賓の皆様方もあわせて、人生のよき出会いを与えていただきましたことに教職員を代表して心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 それでは卒業生の皆さん。 志きらめいて、これからの大きな世界で、一層の活躍をされることをお祈りします。 今後のご健闘と前途を祝して式辞といたします。 −いのちの歌より− 平成26年3月14日 京都市立下京中学校 校長 村上 幸一 |
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