学校日記

Global CitizenshipⅠ~地域巡検 第1回:紫野高校周辺で、誰かが「自由に近づく物語」を描いてみよう~

公開日
2026/10/05
更新日
2026/10/01

学校の様子

 こんにちは、GC教育部です♪1年生の総合的な探究の時間「Global CitizenshipⅠ」では、校内巡検に続いて、新しい単元「地域巡検」が始まりました。


 これまでの授業では、自分自身や身近な人の「自由」について考え、校内巡検では、「この場所は誰にとって、どんな意味をもつのか」という視点から、普段過ごしている紫野高校を見つめ直してきました。今回から、その視点を学校の外へと広げます。


 第1回のテーマは、「紫野高校周辺で、誰かが『自由に近づく物語』を描いてみよう」です。今回の地域巡検では、紫野高校周辺にある今宮神社、大徳寺、船岡山を舞台に、「場所と人との関係」について考えていきます。


 普段何気なく通っている学校周辺の道や場所も、少し視点を変えると違って見えてきます。今宮神社は、長い歴史の中で、人々が不安や恐れを抱えながら祈ってきた場所。大徳寺は、禅の文化の中で、答えを急ぐのではなく、自分自身と向き合ってきた場所。そして船岡山は、少し高いところから京都の街を眺めることで、日常から距離をとり、自分の置かれている状況を見つめ直すことのできる場所です。三つの場所に共通しているのは、立ち止まり、少し考え、自分の心の動きを確かめるための「余白」がある場所なのかもしれません。


 そこで今回、生徒たちに考えてもらったのが、三人の「ペルソナ」です。


 一人目は、今年から紫野高校に転任してきた29歳の教員。前任校で3年間担任した生徒たちを卒業させ、新しい学校にやってきましたが、これまでのやり方が通用するのか、新しい生徒や同僚とうまく関係を築けるのか、不安や焦りを感じています。


 二人目は、進路選択に迷う15歳の中学3年生。「自由」を掲げる紫野高校に興味はあるけれど、「自由に選べる」ということは同時に自分で責任を負うことでもあるのではないか、と考えています。


 三人目は、イギリスから京都を訪れた52歳の観光客。30年間、洋服の仕立て屋として仕事中心の生活を続けてきましたが、「このまま人生を終わってよいのだろうか」と感じ、京都へ旅に出てきた人物です。


 立場も、年齢も、抱えているものもまったく違う三人。しかし、三人には、「このままでいいのだろうか」という、うまく言葉にはできない問いを抱え、人生の途中で少し立ち止まっているという共通点があります。


 まず生徒たちは、三人のうち一人を選び、その人物が「今、どんな状態にあるのか」を考えました。ここで使ったのが、「権利」「状況」「感度」という三つの視点です。「権利」は、その人にどのような選択の余地があるのか。「状況」は、その人がどのような環境や条件の中にいるのか。「感度」は、その人が今どのような気持ちを抱いているのか。


 大切なのは、その人物を評価したり、「この人の問題はこれだ」と決めつけたりすることではありません。


 「この人には、今、世界がどんなふうに見えているのだろう?」


 そうやって、少しだけ他者の側から世界を想像してみます。書き込むのは「答え」ではなく、あくまで自分たちなりの仮説です。


 その後、生徒たちは今宮神社・大徳寺・船岡山について事前調査を行いました。ただし、目的は歴史的な知識をたくさん集めることではありません。


「どんな場所なのか」

「どんな場面で人々に使われてきたのか」

「その場所と人の気持ちには、どんな関係がありそうか」

「もし自分がそこに立ったら、どう感じそうか」


 という四つの視点から、現地を訪れたときの「見え方」を豊かにしていきます。そして最後には、グループごとに「どの場所を見るのか」「誰の視点で見るのか」「現地で何を確かめたいのか」を考えました。


 地域巡検というと、地域の歴史や名所について調べる「地域学習」をイメージするかもしれません。しかし、今回大切にしたいのは、地域について詳しくなることだけではありません。一つの場所を通して、そこを訪れる「誰か」のことを想像すること。そして、その人にとって、その場所がどのような意味をもち得るのかを考えることです。


 誰かの立場から場所を見てみると、自分とは違う感じ方があることに気づきます。そして不思議なことに、他者について考えているはずなのに、「では、自分はどんな場所なら安心できるのだろう」「自分はどんなときに立ち止まる必要があるのだろう」と、少しずつ自分自身のことも見えてきます。


 地域を知ることは、自分を知ること。次回はいよいよ、実際に今宮神社・大徳寺・船岡山へ向かいます。教室で「きっとこう感じるだろう」と考えていたことは、本当にその通りなのでしょうか。それとも、実際に歩き、音を聞き、空気を感じることで、まったく違う景色が見えてくるのでしょうか。


 次回は、自分たちの身体で「場所と自由」の関係を確かめに行きます♪