学校日記

Global CitizenshipⅠ~地域巡検 第2回:物語の舞台に立ち、「自由」を確かめる~

公開日
2026/10/05
更新日
2026/10/01

学校の様子

 こんにちは、GC教育部です♪1年生の総合的な探究の時間「Global CitizenshipⅠ」では、「地域巡検」の単元に取り組んでいます。第1回では、紫野高校周辺にある今宮神社・大徳寺・船岡山を舞台に、「場所と人との関係」について考えました。


 登場したのは、新しい職場に戸惑う教員、進路に迷う中学3年生、人生を見つめ直すために京都を訪れた海外からの観光客という三人のペルソナです。

 「この人はいま、どんなことに困っているのだろう」

 「どんな気持ちでこの地域を歩いているのだろう」

 「この場所を訪れたら、何かが変わるだろうか」


 そんな問いをもとに、生徒たちは三人のうち一人を選び、今宮神社・大徳寺・船岡山のいずれかとの出会いによって、その人物が「自由に近づいていく物語」を想像しました。


 そして第2回。今回のテーマは、「物語の舞台に立ち、自由を確かめよう」です。前回教室の中で描いた物語は、あくまで「想像」です。

 「きっと静かで落ち着く場所だろう」

 「ここに来たら、少し気持ちが整理されるかもしれない」

 「この人物なら、この場所で前を向けるのではないか」


 では、実際にそこへ行ってみると、本当にそう感じるのでしょうか。今回は教室を飛び出し、班ごとに今宮神社・大徳寺・船岡山へ向かいました。今回の地域巡検で大切にしたのは、自分がその場所で何を感じたのかということです。


 「ここに立つと、なぜか少し落ち着く」

 「思っていたより人が多くて、静かな感じはしない」

 「この道は少し歩きにくい」

 「視界が開けた瞬間に、気持ちも少し軽くなった」


 同じ場所に立っていても、感じ方は人によって違います。その違いにこそ、今回の地域巡検のおもしろさがあります。また、巡検は目的地に到着してから始まるわけではありません。学校を出た瞬間から、すでに学びは始まっています。道の広さ、人の気配、聞こえてくる音、におい、坂道、木々の多さ、空の見え方。


 普段なら何気なく通り過ぎてしまうものも、「この場所は人の気持ちにどんな影響を与えるのだろう」という問いをもって歩いてみると、少し違って見えてきます。


 今回、生徒たちには特に「五感」を意識して地域を歩いてもらいました。写真やインターネットで場所について知ることはできます。しかし、その場所に立ったときの空気や音、距離感、身体の感覚までは、画面の中から完全に知ることはできません。だからこそ、実際に歩いてみることに意味があります。


 そして、もう一つ大切にしたのが、前回選んだペルソナの視点です。たとえば、自分自身なら何も感じない場所でも、進路に迷っている中学生なら違う見え方をするかもしれません。新しい職場で疲れている教員なら、木陰や静かな空間が少し特別に感じられるかもしれません。遠い国から京都を訪れた人なら、私たちにとって見慣れた風景の中に、まったく違う意味を見つけるかもしれません。


 そこで現地では、

 「この場所に立ったとき、この人の気持ちはどう変わりそうか」

 「ここで立ち止まったら、何を考えるだろう」

 「この場所は、この人にどんな『自由』を与えることができるだろう」

 という問いをもちながら歩きました。ここでいう「自由」は、「好きなことができる」といった大きなものだけではありません。


 たとえば、

 「少し立ち止まってもいいと思えること」

 「焦ってすぐに答えを出さなくてもいいと思えること」

 「自分の気持ちを整理する時間をもてること」


 そんな小さな変化も、その人にとっては大切な「自由」かもしれません。巡検後には、自分たちが実際に感じたことをもとに、ペルソナにどのような変化が起こりそうかを整理しました。その際には第1回と同じように、「権利」「状況」「感情」という視点から、人物が得られた自由と、その根拠を考えていきました。


 今回の授業で大切だったのは、想像と現実の「ずれ」も学びになるということです。事前に「ここなら落ち着けそう」と考えていたのに、実際には落ち着かなかったかもしれません。逆に、それほど期待していなかった場所で、不思議と長く立ち止まりたくなったかもしれません。それは、「事前の予想が間違っていた」ということではありません。


 むしろ、自分の頭の中だけで考えていた世界と、実際に身体で経験した世界には違いがある。そのことに気づくのも、探究の大切な一歩です。教室の中で考える。実際に外へ出て確かめる。そして、「思っていたこと」と「感じたこと」の違いから、もう一度考え直す。


 地域巡検は、地域について知るためだけの活動ではありません。場所に身を置き、自分の感覚を確かめ、さらに自分とは違う誰かの立場から世界を想像する活動でもあります。第1回では「想像」だった物語に、今回は実際の風景や音、空気、身体感覚が加わりました。では、その体験を言葉にすると、三人の物語はどのように変わるのでしょうか。


 次回はいよいよ地域巡検の最終回。今回歩いて感じたことをもとに、「自由に近づくとは、どういうことなのか」を、一人の人物の物語として表現していきます。