学校日記

人とつながる音楽家シリーズ 小西潤子さんをお迎えして〜生きる力としての音楽〜

公開日
2025/12/14
更新日
2025/12/15

学校の様子

 12月9日(火)、今年度の人とつながる音楽家シリーズとして、沖縄県立芸術大学音楽部教授の小西潤子先生に講演とシンポジウムをお願いしました。小西先生は、主にミクロネシアなどの太平洋諸国や沖縄などの在来及び融合音楽文化を研究されている音楽学者です。

 今回の講演は、パラオで歌い継がれているある歌とその背景についてのお話でした。パラオは戦前から戦中にかけて日本の統治下におかれ、そして戦争の際には激戦地として知られており、様々な感情や思いが「パラオ」という場所にはあること、もともとパラオには文字ではなく音楽そのもので歴史を伝える文化があること、日本の統治時代、日本語の教育を受ける中で音楽の授業もあり、また日本の流行歌の影響を受けて、融合音楽様式の歌が創作され大ヒットし現在まで伝わっていること、そういった背景の中でフィールドワークで出会った2つの歌のことをお話しくださいました。

 その歌の一つは、パラオへの思いを抱きながら日本に帰還した日本人よる惜別の歌である「パラオの花々」、もう一つは無念のうちに亡くなった日本兵を鎮魂するためにパラオの人が作った「緑の島の墓」でした。

 どちらの曲も作られた方のみならず、当時歌っていた方々の思いと、それに加えて文化や歴史も内包されていて、その歌を紐解くことで、それらを私たちも知ることができる、そしてそれを歌い継いでいかないと、その歴史もなくなってしまう、その大切さがお話全体ににじんでいたように思います。

 講演の後は各学年1名ずつ登壇し、「音楽にどのような歴史や文化が刻まれているか」と「音楽は人間にどのような役割を果たすだろうか」というテーマで小西先生とディスカッションを行いました。

 生徒達からは「一つの国に焦点を当てて音楽と歴史の関係を深掘りできたのが良かった」「緑の島の墓は日本の童謡みたい。パラオの人たちが学習して作ってくれたのでは。心が通っているものがあるように思う」「戦争で世界の動きに巻き込まれた悔しさや悲しさを死んでからも伝えていくには音楽を通してしかないのでは」「歌だけでなくその人がどう考えたかを知ることでより深く理解できる」「音楽にメッセージがあることを体感した。パラオの人にとって音楽は財産だというのがとても印象的だった」といった声が聞かれました。

 ディスカッションの後、校歌の1番をみんなで歌い小西先生への感謝の気持ちを表して、小西先生との時間が終了しました。

 これまで表現者としての音楽家のお話は聞くことはありましたが、「音楽学者」というあまりなじみのないジャンルの方のお話を聞けたことは、生徒にたくさんの気付きを与えてくださったように思います。

 先生が言われた「音楽は生きた証。歌、音楽とエピソードをセットにして伝えていってほしい」という言葉がとても印象的でした。「人とつながる音楽家」そのもののように思いました。
 小西先生、素晴らしい時間を本当にありがとうございました。