学校日記

入学式 式辞

公開日
2012/07/19
更新日
2012/07/19

校長室から

  昨春の東日本大震災から一年余り,復興は道半ばにも至らず,追い討ちをかけるかのように,//季節//の冬は,各地に豪雪の被害をもたらすなどの厳しさで,「冬来たりなば」とは,とても言い難い,あまりの春の遠さに,日本中が,将来への不安と危機感という,厚い雲におおわれていると言っても,過言ではありません。しかし,今だからこそ,豊かな未来を託された若者には,しっかりと前を向き,本質をわきまえ,この難局に立ち向かう,強い志と姿勢が求められていると思います。その背中を押すように,例年より少し遅れたとはいえ,今年もやはり確実に,//季節//の春は訪れ,桜の花も,この入学式を祝福するかのごとく,美しく見事に開花しました。
  本日は,京都市立京都堀川音楽高等学校,第三回入学式を挙行するにあたり,御来賓として,京都市教育委員会をはじめ,PTA音友会会長様,ならびに役員の皆様,本校京都・堀音同窓会会長様,ならびに役員の皆様,堀音父母の会会長様,城巽自治連合会会長様のご列席を賜りましたことに厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
  ただ今,平成二十四年度入学生として,四十名の入学を許可いたしました。 
新入生の皆さん,入学おめでとう。また,保護者の皆様,本日は誠におめでとうございます。新入生の皆さんは,難関を突破し,本日のこの晴れの日を迎えるために,確固たる意志を貫き,たゆまぬ努力を重ねてこられたことと思いますし,加えて,保護者の皆様におかれましても,並々ならぬ ご支援があったろうと拝察いたします。京都堀川音楽高等学校 教職員一同,そして在校生一同,新入生の皆さんのご入学を 心より歓迎いたします。
  さて,本校は,一九四八年(昭和二十三年)に ,「堀川高校音楽課程」として創設され,以後,出雲路学舎,岡崎学舎, 沓掛学舎を経て,一九九七年(平成九年)に,日本で唯一の公立の音楽高等学校として独立しました。そして,一昨年四月,その沓掛の地から,この城巽の地に移転し,新校舎とともに校名も,「京都市立京都堀川音楽高等学校」と 改称され, 新たな一歩を踏み出しました。  
  ご存じのように本校は,創設以来,音楽を専門とする公立の高等学校として,全国から高い評価を受けてきました。そして,その六十数年間の歴史の中で,国内のみならず,世界で活躍する音楽家を数多く輩出してきた,輝かしい,伝統のある音楽の名門校であります。したがって,新入生の皆さんは 本日から,この京都堀川音楽高等学校の一員としての,誇りと自覚を持ってほしいと思います。
  本校の教育目標は,「人権尊重の精神を基盤に,心豊かな人間を 育てるとともに,将来幅広く音楽専門家として活躍し,文化の発展に貢献する人材を育成すること」です。この大きな目標を達成するためには,まず,水準の高い,恵まれた環境と,熱意ある優秀な教授陣に囲まれた中で,思う存分,「音楽力」を身につけなければなりません。また,その基礎基本となる「確かな学力」を培うことも,けっして怠ってはなりません。なぜなら,皆さんの大きな夢は,その「音楽力」と「確かな学力」の両輪がそろってこそはじめて実現するものだからです。 
  今,皆さんは,「音楽」という,楽しいけれども厳しい道を志しました。 どうか日々,精進してください。「精進」とは, 精を出せば必ず進歩するという意味です。 自分が選ばれし者であるという,自信と誇りを持って,何事にも積極的に取り組んでください。高校時代は,そのためだけに与えられた,時間と空間を占有できる,貴重な日々の連続です。「学べる」という歓びをかみしめ,他者を慮りながら,自らを律し,たくましく,その貴重な日々を構築していく 「人間力」 を培ってほしいと思います。
  本校の校歌「海を遠く」の歌詞の中に,
「ゆらめき きらめくものを追いかけ手にすくおう」 
「こころを合わせ そよげば 歌がひろがる」 
「たたんだ翼をひろげ 恐れずにむかっていこう」 とあります。
音楽を通した学びの過程の中で,自らの個性を発見し,磨き,他者の思いに心をよせ, 自分に何ができるか思索し,与えられた環境の中から,思い切って飛び立っていく。 そんな人間,音楽専門家をめざし,悩み苦しみ,しかし楽しみ,有意義な三年間を送るのだという,ゆるぎない「覚悟」を 今日から持ちつづけてください。
  「今日よりは幼心をうちすてて,人となりにし道を踏めかし」 
吉田松陰が元服した従兄におくった歌,言葉です。
「今日よりは幼心をうちすてて,人となりにし道を踏めかし」
新入生四十名にこの言葉をおくり,式辞といたします。

平成24年4月9日 
      京都市立京都堀川音楽高等学校
            校 長  山 脇  護