学校日記

(アーカイブ2016年4月22日) 個と集団から生まれるもの

公開日
2017/05/02
更新日
2017/05/02

校長室ウェブログ

 
 新学期が始まって、約2週間が経ちました。新しい仲間、新しい先生との出会い、新しい科目、新しい授業を経験したところです。私は、機会を見つけて、できるだけ教室へ、グランドや体育館へ足を運び授業の様子を見に行っています。

 すでに学校のホームページでも紹介しましたが、4月14日、授業開始の初日、1年生は「美術入門研修」があり、午前中は京都国立近代美術館で、講義とグループごとの作品鑑賞、ディスカッションとまとめ、全体での発表と、スタートから盛りだくさんな内容でした。iPadも活用したこの学習では、一人一人の鑑賞を大切にしながらも仲間と言葉を交わし、気づきや意見を出し合うことで、自分の感じ方、考え方をより深めることができました。また、グループごとの発表を聴く中で、自分たちとは異なる作品に注目した発表、自分たちと同じ作品を取り上げても違う考えを述べた発表に触れ、より広がりをもった学びができました。

 1年生の専門科目「表現基礎1」では90名の生徒を3講座にし、3教室を割り当て各講座2名ずつの教員が担当します。学習内容を合わせつつ3講座3教室で並行して行うのはよくあるパターンですが、これまでの2回の授業は全員が体育館へ入って6人の教員が様々な役割をしながらチームで指導しました。1回目は「ひとを観察する〜身体に触れ、身体を感じて描くドローイング」、2回目は「ひかりを観察する〜光と影に触れ、光と影を感じて描くドローイング」でした。最初から各講座に分かれて授業をするのではなく、学年全員同じ場所で活動する学び。アイスブレイクを授業の導入に組み込み、教員から課題の提示があったあと90名の生徒が40数組のペアとなって進行します。対象を観察し紙に描くのはあくまで個人。しかし、学習する空間には、様々なポーズをとる生徒とそれを観察して描く生徒が40数組活動している。個別の教室の授業では経験できない、学びのエネルギーがあふれる、そんな授業でした。

 2年生の専門科目「表現基礎2」では、粘土を使った立体ワークショップが行われました。課題として出された言葉についての個々のイメージをグループ内で出し合い、1枚の紙に書き込んでいく。自分のイメージとは異なる仲間のイメージに触れることができる。続いて粘土を使って自分のイメージを立体表現。グループ内で個人が発表したのち、グループ協働で1つの立体表現をする。自分のイメージや表現と仲間のイメージや表現とを言葉を交わしながら、手や指を動かしながら融合させていく、この一連の学習の流れは、個人の観察と制作活動では経験できない深みと広がりを生み出します。そしてそれを講座全体に言葉で伝える、聴くという活動で、学びの質が高まります。今、普通科の科目でも、授業の様々な場面でペアワークやグループワークを積極的に取り入れています。

 Web上に様々な情報が溢れ、指先一つで情報を見聞きできる時代。画面で本を読むことも、大学の講義を聴くことも、絵を描くこともできる、「個」の単位で情報を入手したり、学習したり、「答え」を探したりすることに不自由のない時代になりました。だからこそ学校という場で、学習の中に「個」として取り組む活動と「集団」として取り組む活動を効果的に組み合わすこと、その相互作用から生れる発見や気づき、思考の深まり、あるいは他者への共感、信頼を経験することが大切なのだと思います。やはり学校での教育活動の要は、「個」と「集団」の相互行為であり、その相互作用で生徒が成長していくことではないか、「ICT教育」も「アクティブ・ラーニング」もその観点を外さないようにして授業づくりをしていくことが大切なのでしょう。教員どうし、そして私も一緒に、授業について考え、語り、チャレンジしながら、本校の教育活動を豊かにしていきたいと考えています。

 2016年4月22日
              校長  吉田 功