(アーカイブ2016年2月2日) ことば 〜とどく、とどける〜
- 公開日
- 2017/05/02
- 更新日
- 2017/05/02
校長室ウェブログ
4月に着任してから、様々な場面で挨拶をすることが格段に多くなりました。そして様々な印刷物に掲載する文章の依頼も相当ありました。何を話そうか、どのように話そうか、何を書こうか、何と書こうか、頭をぐるぐるさせる日常があります。やはり一番気がかりなのは、その話、その言葉が、相手に「とどく」のか、ということです。『図書館ニュース』に「ことばの力」という文章を書きました。言葉のもつ力を大切にするということを伝えたかったのですが、その私の文章で本当に読み手に「とどける」ことができたのか。
スマートフォンがごく身近にある社会になって、メールよりもLINEでつながるのが普通だそうです。大阪府立旭高校の生徒が、先生や保護者、大人にLINEを教え、LINEについて共に考えようと活動をし、その取り組みを本にまとめました。(『高校生が教える先生・保護者のためのLINE教室』学事出版)。その本によると高校生がLINEを使うのは「操作が簡単・早い、気軽に使える、履歴が見やすい、グループトークができる、既読機能が便利」などの理由だそうです。しかし、「既読」機能に振り回されたり、ブロック機能が排除やいじめにつながったりということも一方で起こっています。LINEは本当に伝えたいことを「とどける」ことができているのか。旭高校の生徒はこの活動を進める中で、1日の使用時間を決める、友達やグループ内でもルールをつくる、本当に伝えたいことは直接言う、返事が遅くても催促しない、というような「私たちのLINEルール」をまとめました。高校生自身の主体的な取り組みに敬服します。本校でも今年度、生徒会の中に「情報モラル特別委員会」という委員会を設置して生徒たち自身が取り組みを始めています。大いに期待しています。
「直接言う」ことは大切。では、先生と生徒、先生と保護者、生徒と生徒、生徒と保護者が直接向き合う場面で、発せられたことばはきちんと相手に「とどいている」のか、もう一度この点にこだわってみたいと思います。結果として自己の思いを説明しただけ、言いたいことを投げただけになっていないか、使う言葉や、語調、表情、タイミングによってことばは姿を変えます。ことばの「キャッチボール」ができるのが一番ですが、ことばの「打ちっぱなし」、時には、ことばの「ドッジボール」になっていないか。はたまた、ことばが「漂う音、通り過ぎる音」になってしまっていないか。気楽な会話、場を和ませることば遊びは人間関係の潤滑油として必要だと思います。しかし、伝えたいことがある時、わかってほしいことがある時は、話す内容、話し方、話す表情をよく工夫し、ことばの力を大事に使うことで、思いを確かに「とどける」ことができるのだと思います。以前、ろうあ者の人と手話でやり取りする際、「音がない」状況であっても指や手や表情で豊かに思いが相手に「とどく」ということを経験しました。
便利な機器の発達で、細切れの短い言葉を気軽に行き来させ、用を足せる時代ではありますが、日常の中で、ことばが「とどく」ということを、意識して考えていきたいと思います。
2016年2月2日
校長 吉田 功