学校日記

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

公開日
2017/03/01
更新日
2017/03/01

校長室から

「じっくりと子どもを見つめて」
 「1月は行く」「2月は逃げる」。まさに2月は逃げるようにして過ぎていきました。もう3月です。バイク通勤の者は季節の移り変わりに敏感です。手足の冷たさがマシになってきました。太陽光がオレンジを帯び穏やかで暖かい日差しになってきました。春はもうそこまで来ています。
 さて、26日(日)の午後、『オール1の落ちこぼれ、教師になる』の著者である宮本延春(みやもとまさはる)氏の講演を聴く機会を得ました。“ヤンキー先生”や“夜回り先生”に少し遅れて評判になった超有名人です。小学生の頃、「いじめ」がもとで学校が大嫌いになり、何事にもやる気をなくしてしまいます。『自分に出来ることなんて何もない』『自分なんて必要のない人間なんだ』と自殺を企てたりもします。当然勉強ができるはずもなく、“オール1”になりました。漢字は自分の名前、英単語はbookが書けるだけ、九九も2の段がやっとの状態で義務教育を終えて就職するも、生きる意味も目的もない若者には仕事が長続きしません。そんな折、両親が相次いで亡くなり18歳で天涯孤独の身になります。その日の食べ物にも困る生活をしていた時、ある工務店の社長に出会います。「晩御飯、食べていけ」「息子のお古があるからそれを着ろ」「銭湯に行くからついて来い」社長は彼が困っているのを観ては助けてくれます。
 丁度その頃、TVでアインシュタインの番組を観て物理学への興味をもちます。学習意欲が湧き上がり、23歳にして定時制高校へ入学。卒業後は名古屋大学へ合格。そのまま大学院へ進学し博士号を取得します。講演では、彼がどん底の生活から這い上がることのできた過程が理論的に話されました。以下に簡単に紹介します。
 アメリカの心理学者にアブラハム・マズローという人がいます。宮本氏は彼の「人間の欲求の階層」の理論を使って自分が変われたことを説明されました。
 第1段階—生理的欲求   第2段階—安全の欲求
 第3段階—所属と愛の欲求 第4段階—承認の欲求
 第5段階—自己実現の欲求 
 人が自己実現を果たすには1〜4までの段階の欲求がすべて満たされなければなりません。工務店の社長に出会ったことで一気にそれが実現したということでした。
 私たちの身の周りにも、もしかしたら宮本氏のような子どもが居るかもしれません。
 行政と連携して衣食住を保障し、学級や学年の中に『安心してここに居ていいんだ
よ』という居場所をつくり、その子の行動を認め励まし褒めることで、その子が自己を実現して救うことになるかもしれないのです。
 目の前の子どもの状況を見つめ、愛をもってすべき取組を実行することで、「先生のお蔭で今の私(僕)がある」と、そんな風に言ってもらえる可能性のある職業が教師だと思います。
 半月後に卒業していく3年生と、彼らに取り組む教職員の姿を観ながら、教師という職業のやりがいと厳しさを改めて感じています。