学校日記

至誠を貫く

公開日
2014/10/14
更新日
2014/10/14

校長室から

 江戸時代末期、長州(現在の山口県)の萩で「松下村塾」という学校をつくった吉田松陰という人がいます。短い期間ではありましたが、多くの若者がそこで学びました。塾生には高杉晋作、桂小五郎をはじめ、のちに総理大臣を務めた伊藤博文もいます。松陰は、「あなたは何のために生まれてきたのか。」「あなたの生まれてきた役割は何か。」と塾生たちに問いかけたそうです。塾生が「私にはわかりません。」と答えると、松陰は「至誠を貫きなさい。至誠とは、普段やらなければならないことを、真剣に本気で、誠意をもってやることです。玄関の掃除、鳥のえさやり・・・そういうことを真剣にやりなさい。そうすればいつか、自分の役割、生まれてきた意味がわかるようになる。」と教えました。私たちの生活に置き換えると、「気持ちを込めてあいさつをする」「時間を守る」「人の話をしっかり聴く」などです。言い換えれば、「至誠を貫く」とは、その時、その時に与えられた仕事に本気で取り組むということです。それが当たり前になれば、だれの前であっても与えられた仕事に真剣に取り組む姿が本当の姿になるということなのでしょう。そのことが、周囲からの信頼を生み、そして周囲からの信頼が「自分の役割」に気づかせ、自分自身を征討させることにつながるということなのでしょう。
 今年度の始業式と入学式で、「至誠を貫く」と同じような意味の話をしました。それは、「今、目の前にあるすべてのことに全力を尽くして生きる。」そういう中学校生活を送ってほしいという話でした。中学生時代に自分の得意なこと好きなものを見つけることは、とても大切です。しかし、好きなことや得意なことだけを頑張るのではなく、また自分にとって損か得かとか、自分に必要であるとか、必要でないとかで行動を決めるのではなく、今、目の前にあるすべてのことに全力を注いでほしいのです。例えば、ある人が、英語を使った職業に就きたいと願ったとします。そのとき、多くの人は、その職業に就くには、何が最短ルートなのだろうか、どの道が近道だろうかとと考えがちです。でも最短のルートが最良のルートではないのです。その職業の専門的な知識や資格はもちろん必要です。しかし、その人が自分の好きな英語に対する情熱と同じぐらいの情熱をもって、目の前にあるすべてのものに全力を注ぐとどうでしょう。それが、あいさつであれ、数学の宿題であれ、苦手な社会のテスト勉強であれ、時には友達との遊びであれ、家のお手伝いであっても。そうした努力のすべてがその人の魅力や力となって、その人の夢を実現する手助けをしてくれるのです。桂川中学校のすべての子どもたちが、目の前にあるすべてのことに本気で取り組み、この学校で自分の夢の実現に向けての土台作りをしてほしいと願っています。そのために、私たち教職員が一丸となって、熱い気持ちで子どもたちに接していきたいと思っています。       (PTA広報誌 掲載)