「かきつばた」
- 公開日
- 2010/05/12
- 更新日
- 2010/05/12
校長室から
北区上賀茂にある大田神社のカキツバタ(杜若)が見ごろを迎えたというので、行ってみました。大田神社のカキツバタは平安時代の歌人藤原俊成が「神山や大田の沢のかきつばたふかきたのみは色にみゆらむ」と和歌にも詠んでいるように、自生種として約1200年の歴史があり、国の天然記念物に指定されています。この大田の沢のカキツバタの特徴は、「花の色が濃すぎず上品で、背が高くしっかりと伸びた茎」で、切り花にない野生種の美しさだそうです。しかも、1つの株に3回花を咲かせるということで、5月20日ごろまで花が楽しめるそうです。
カキツバタと言えば、以前の教科書にも有名な和歌が載っていたことを思い出し、図書室で確認してみました。歌物語として有名な伊勢物語の第9段に、こんな一節がありました。
主人公たちが旅の途中、三河の国の八橋(今の愛知県東部)という所で、沢のほとりに腰を下ろして休んでいますと、目の前にカキツバタが大変美しく咲いていました。それを見てある人が、「かきつばたという5文字を句の頭に置いて、旅の心を詠みなさい。」と言ったので、その男はこう読んだ。
からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ
(大意)新しい着物を段々と着慣れたように、慣れ親しんだ妻を都に残してきたのだから、はるばるこんな遠くまで来てしまったものだなあ。
この歌を聞いて、一緒に旅をしていた人々も皆涙を流したというものです。
たくさんの物語や不思議な世界などに出会える『図書室』を大いに利用したいものです。