学校日記

『東山を西に見て』

公開日
2010/04/21
更新日
2010/04/21

校長室から

「個から集団へ」
 職員朝礼が終って、教頭先生と簡単な打ち合わせをしてから校内を見て回るようにしています。私と同様、初めは緊張気味だった先生方や子どもたちも徐々に慣れてきて普通に振舞ってくれるようになりました。休み時間に入ると声をかけてくれる子どもたちが増えてきて、とっても幸せな気持ちになれます。
 遅刻してくる子、授業を抜け出して保健室等に行こうとする子もいます。学年の先生がすぐさま対応するのですが、時には私も話をします。「厳しく叱って、力づくで直ぐに教室に戻す」そんなやり方もあるのでしょうが、本校ではそうはしていません。遅刻してきた理由、授業がしんどい状況等、子どもたちの声をしっかりと聴き、話をして納得させた上で教室に返すようにしています。そのまま終業のチャイムが鳴ることもあるのですが、その時間はきっと意味のあるものになると信じています。
 2年生の時、よく問題行動を起こしたというA。テニス部に所属しているというので練習を見に行きました。天気も良いので思わず“ボール出し”をし、ついでに指導もしました。その間の彼の眼差しが忘れられません。指導に対して「ハイ」と言います。私がコートを去る時には大きな声で「ありがとうございました!」と言いました。廊下での彼との会話で、そのことが嬉しい驚きだったと伝えました。それに対しての答えは「教えてもろてんにゃし、当たり前やん」でした。
 肢体育成学級で学ぶ2年生のB。彼の自立活動の時間は、本校の長い廊下を何往復も、腕の力をいっぱいに使って這って歩く練習です。疲れてくると、力を入れるときの声が校長室や2Fのフロアにまで聞こえてきます。担任の先生だけでなく、そばを通る全ての教職員が彼に声援を贈ります。はじめて見た時は、その一生懸命な姿に心を動かされ目頭が熱くなりました。
 BのことをAと話しました。意図を見透かしたようにAが言います。「俺が勉強するようになる前に、Bは歩けるようになるんちゃうか」彼もBの頑張りを認めていたのです。「授業が分からんし、面白んない。どうせ、高校へは行かへんし勉強してもしゃーない。」と繰り返すAに対して、担任の先生はじめ学年の先生方は手を変え品を変えアプローチしています。コートでの眼差しと指導に対しての態度を思うとき、必ず進路を見つけて学習に真剣に取り組む日が来ると信じています。
 個人的な関わり方をせざるを得ない子どもたちは他にもいます。勿論、それでよしとしている訳ではありません。集団の中で育てることの必要性と重要性とは全員が十分理解しているつもりです。良くも悪くも子どもが子どもを変えます。マイナスの力が働くとき、教師の力の小ささを思い知らされることもありますが、それがプラスに働くときは、教職の魅力を存分に感じる瞬間です。
 3年生では、既に修学旅行の取り組みが始まっています。この中で子どもを集団にとり込み、育てていけることを願っています。