学校日記

『東山を西に見て』〜Make legend〜

公開日
2011/05/24
更新日
2011/05/24

校長室から

「当たり前が尊い」
 一昨日の夕刻、テレビの画面を見ていて思考と動作がストップした時間がありました。京都市内の中学生が鴨川で遊んでいて深みにはまって流され、尊い命を落としたという報道がされたからです。楽しく遊んでいた場面での一瞬の出来事。生徒の無念さ、子どもを失った親の悲しみはいかばかりでしょうか。亡くなった生徒のご冥福をお祈りするとともに、保護者の方が一日も早く立ち直られることを願わずにはおれません。昨日は職員朝礼でこのことを取り上げ、先生方に、命の尊さと事故から身を守る術について、子どもたちに指導してほしいと伝えました。保護者の皆様にもプリントを配布しました。この機会に本校生徒が“今、ここに居られること”の幸福を噛みしめてほしいと心から願います。
 先週末は、第1回定期テスト。そして昨日から3日間は、3年生が学習確認プログラムに取り組んでいます。3年生は、さぞしんどいのでしょうが、みな頑張って取り組んでいます。授業中には次々とテストが返却されています。満足げな顔、悔しげな顔、私がそばに寄ると点数を隠す生徒もいます。色々な思いがあるのでしょうが、こうして感じられること、行動できることがどれほど幸せなことか、そこに気づいてほしいです。
 昨日から7人の大学生を迎えて教育実習が始まりました。そして、今日は連合教職大学院の学生が30人ほど訪問してくれました。大学も専攻も年齢も性別も異なりますが、よい教師になりたいと思う気持ちは同じです。彼らに教育実習の心得や本校の生徒指導について講義をしました。学生たちが真剣な眼差しで聴いています。その眼差しが、私を更に真剣にさせました。
 先週末、「命の尊さ」を扱った道徳の学習指導案が職員室の机上に置かれてありました。授業の流れも「あなたはすごい力で生まれてきた」という資料もとてもよいです。「生まれる」ということを、親から与えられたことではなく自分の力だとする文章で、1年生にはやや難解かと思いつつ、その内容に強烈な印象をもちました。文章の結びはこうです。
 あなたは自分で生まれてきた。ひとに生んでもらっただけではない。あなた自身が自分で自分のいのちを支え、作り出してきた。それどころか、あなたは自分だけでなく、あなたを生みだしたお母さんのいのちをも支えたのだ。母親のお腹のなかで、赤ん坊が生まれようとする努力をやめてしまったら、母親のいのちは危なくなる。生まれ産み出すふたつの力を重ね合わせて、赤ん坊と母親はそれぞれのいのちを互いに支え合うのだ。そしてその姿が、いのちというものの、人が生きていくということの、原点を私たちに示していると思う。(小澤牧子 小峰書店刊「自分らしく生きる」より)
 しんどくてもテストに向き合うこと。その結果に一喜一憂すること。夢に向かって教育実習を始めること。様々な生徒を相手に不安を感じること。それら、当たり前のことが“今、ここに居られること”の証です。
 目の前のことに一生懸命に取り組むことが、“今、ここに生きている”ということです。そして、その当たり前のことこそが尊いのです。そう感じなければなりません。