『東山を西に見て』〜Make legend〜
- 公開日
- 2011/05/11
- 更新日
- 2011/05/11
校長室から
「家庭訪問」
家庭訪問週間です。「行ってらっしゃい!」午後からスーツ姿で出ていく先生方を少々羨ましい気持ちで見送ります。そう言えば、家庭訪問をしなくなって随分経ちます。担任をしなくなっても、学習点検などで定期的に関わる家庭があり、教頭になって以来ですから、もう8年も行っていないことになります。
昨日たまたま、うちの若い先生と家庭訪問の話をしていたところ、若い頃に先輩の先生から聞いたことを思い出しました。
家庭訪問の問の字は「門」ではなくて「問」です。この意味は、玄関先(門の所)で話すだけでなく、家に上がり込んで保護者の方に色々な問い掛けをしなくてはならないということです。問い掛けの内容はもちろん子どものこと。家庭での様子や学校のことを家でどのように話しているかなどです。2校目の学校に異動した時には、「家庭訪問週間の訪問は、きっかけに過ぎない。その後度々訪問できるような雰囲気を保護者との間に作ることが主な目的だ。」と教わりました。
「生徒の背景にまで入り込んだ指導」という京都市教育の理念があります。背景とは生徒の家庭であり地域です。そこまで入り込まなければ子どもを変えることはできないという意味です。大きな課題がある生徒を担任していた頃、このことを痛切に感じました。定期テストの前や入試が近づいてくると、夜中まで学習につきあいました。遠足や修学旅行の前日には、持ち物の点検を手伝いました。「そんなことをすれば、子どもの自立を損ねるだけだ。」そんな声も聞こえてきそうです。分かってはいましたが、それをしなければ、勉強せずにテストを受けたり、忘れ物や違反物が一杯となって、自立どころかその瞬間に倒れてしまいそうな子どもがいたからでした。
家庭訪問で見えてきたこともあります。家庭学習の習慣が全くない生徒がいました。家庭訪問週間のときには気づかなかったのですが、(その時はしっかり片付けてあったので)訪問を重ねるうち、その子の家庭内には学習する場所も雰囲気もないことが分かってきました。その後は保護者にも働きかけ、共に学習する中でようやく高校入試に間に合いました。「先生、今日はうっとこが最後か?よかったら、ご飯食べて帰ってえな。もうお父さん帰ってくるし、晩酌の相手してくれたら喜ぶし…」そんな風に言われることも珍しくありませんでした。日に何度も夕食を食べることも少なくなかったです。本校の先生方にこういう家庭訪問を期待しているわけではありません。時代も違うし学校も異なります。こんな話をしてもピンとこない人が多いのかもしれません。しかし、こんな時代やこんな取組があったことを知っておいてはほしいと思います。私は、いや少なくとも私たちの世代の教師は、多かれ少なかれ「関係や取組の内容を積み上げていく家庭訪問」を大切にしてきました。そして、この時の経験が確実に今になって役立っていると感じています。
「家庭や地域から学ぶ」これもまた京都市教育の理念の一つです。一人の教師として、家庭訪問から学んだことは多く、そして大きいです。