『東山を西に見て』
- 公開日
- 2011/04/09
- 更新日
- 2011/04/09
校長室から
「背中を押されて」
7日は、第四十九回入学式。元気一杯の新入生140名を迎えて、平成23年度が本格的に始まりました。一番に登校する生徒を写真に収めようと校門で待っていましたが、その子が来たのは集合時刻の30分以上も前で、まだ「入学式」の立て看板が出されていませんでした。そこで、3番目に登校した生徒とその保護者の方に「本校のホームページに載せますよ。」と断って上の写真を撮影しました。
式辞では、前日の始業式で2・3年生に述べたことを新入生に分かりやすく話したつもりです。前回のエッセイで、「京都で1番の学校を目指すことを口にするには、その決断に勇気が必要でした」と書きましたが、私にそれをさせてくれたのは一人の卒業生です。彼との思い出を一つ紹介しましょう。高校受験の前日、彼が校長室に来てこう言いました。「先生、俺な、学校でも50分の授業を5時間もまともに受けられへんのに、明日の試験に耐えられると思うか。」「それに耐えることが、君の試験やと思ったらええやん。」私はそう答えました。卒業式の式辞の中でも、担任の先生のことを、「本気で叱ってくれるからエエ先生や」と言った生徒として取り上げもしました。
彼が離任式にやってきた時のことです。照れ隠しなのでしょう、体育館の戸口を出たり入ったりしています。離任される教職員の方々とどんな別れをしたのか、おそらく極めてドライな声掛けをしたのだろうと想像します。そんな彼が帰り際に私に言いました。「先生、後輩のこと、頼んだで! また、ちょくちょく見に来るし!」
校長室で、彼が「もっと、ちゃんとやっといたら良かった…」「勉強が分からんようになったら教室に居られんようになる…」等と言ったことを思い出します。そして、それはそのまま「ちゃんとさせておいてやったら…」「勉強を分からんようにさせていなかったら…」という反省になります。「後輩のこと、頼んだで!」彼がどこまで考えて言ったのかは分かりませんが、この言葉に背中を押されて生徒や保護者、地域の皆様の前での重大発言ができたことは間違いありません。
入学式の式辞の最後には、次のようにも付け加えました。
君たちの友達の中には、花山中学校に進学しなかった人がいるかもしれません。3年後、その子たちが『花山へ行ったら良かった』と思うような学年・学校をつくってください。それをつくるのは皆さんで、私たちは全力で応援します。
その瞬間、全員の目が一気に私に注がれ、新入生の座るあたりの空気が一瞬で変化したように感じました。卒業生たちに背中を押されて、新たな一歩を確実に踏み出せた瞬間だったと思っています。
8日は高校の入学式。真新しい制服に身を包んだ卒業生がたくさんやってきました。新しい年度、新しい生活、そして其々の新たな人生が始まっています。先に書いた子が後輩を見に来た時、変化を感じてくれるような学校に、みんなでしていきたいです。