学校日記

『東山を西に見て』

公開日
2011/01/25
更新日
2011/01/25

校長室から

「厳しい状況でこそ」
 去年の暮に切った蝋梅の花が、約一月経った今も色々なところで咲いています。家の中では、玄関とLDKと私の書斎に、学校では玄関と校長室に飾りました。校長室では本棚の上と窓辺に置いたのですが、窓辺のそれが先にダメになりました。本棚の上のものも先週末から時折ポロっと花が落ち、その場に居合わせた人を驚かせています。家のLDKの蝋梅もとうとう元気がなくなってきました。ところがどうでしょう。私の書斎に置いたものが、部屋いっぱいに芳香を漂わせ、写真の通り今も満開なのです。
 学校が始まって以来、私は書斎を使っていません。家に帰ると、風呂と食事だけで“バタン、キュー”の状態だからです。(笑)
 私の書斎を訪問されたことのある人はご存じでしょうが、古い木造建築のため、冬場は暖房を入れないと外気と変わらないほどに寒いです。そこに置いた蝋梅が一番美しく咲いているのは一体どういうことでしょうか。冬の時期に咲く花は、寒い所でこそ、その美しさを発揮するのではないかと思います。
 今の子どもたちの生活を見ると、守られているというか、甘やかされているのではないかと思える部分が多いです。現状を受け入れられず、すぐに不平や不満を言う者が気になります。核家族化と少子化の影響もあって、私が子どもの頃と比べると、親や教師は格段に子どもへ関わるようにもなりました。皮肉にもこのことが悪影響を及ぼしているのかもしれません。生活レベルも随分豊かになりました。朝起きる頃にはエアコンが効いて部屋はすでに暖かいです。スウェトスーツだけで居られるほど暖かい部屋で勉強する子がいるようにも聞きます。そういえば、私は中学生の頃、「足温器」という足の裏の部分を電気で温め腰から下だけの寝袋のようなものに入り、毛糸のセーターの上に祖母に作ってもらった“どてら”を着て勉強しました。朝、部屋が寒くてなかなか布団から出られなかった経験もあります。みんながそうであったから、特に不満も不自由も感じませんでしたが…。
 一昨日、横綱白鵬が、見事に6場所連続優勝を果たしました。
「巨人・大鵬・卵焼きの、尊敬する大横綱大鵬関の記録に並んだことを誇りに思う。」とインタビューで語っていたましが、私はいつも白鵬の言葉に、どこかしら懐かしさを感じます。今のモンゴルの状況は、私の育った頃の日本と似ているのでしょうか。「運は、努力した人間にしか来ない。」「勝ちにはいかない。結果を求めない。」「勝てば勝つほど苦しくなる。」など、他にも昭和の時代を生きてきた者に心地よく響くコメントを残しています。その晩のスポーツニュースでも、「稀勢の里関に敗れたときに体調を崩していたとか?」と聞かれ、「そんなこと(を答えたら)、勝った人に失礼ですから…」と返していました。
 冬の花が寒い所でこそ美しく咲くように、厳しい環境の中で鍛えられたものは強いです。厳しい状況だからこそ学べることも少なくありません。目の前の子どもたちにこのことをしっかり伝え、そして、この心構えで子どもの指導に当たりたいものです。