学校日記

『東山を西に見て』

公開日
2011/01/19
更新日
2011/01/19

校長室から

「403人のきょうだい」
 自分の口から出た言葉にハッとさせられることがあります。先週の金曜日のこと、場所は校長室です。私はその日、全市校長会の新年会があったのでバスと地下鉄を乗り継いで出勤しました。私が歩いているのを見ていたのか、ある生徒が尋ねました。以下は、その時の会話です。
「先生、何で今日はバイクちゃうのん?」「今晩、校長先生の新年会があって、お酒を飲むしな。」「そーか。先生、飲酒運転したらアカンで!」「当たり前やん。それはないワ。だって、君らが他の学校の子らから『お前とこの校長、飲酒運転したんやてなあ』なんて、笑われたら絶対嫌やし。」「ふーん」「それは、うちの息子らが友達から『お前のお父さん、飲酒運転で…』て言われるのがカナンのとおんなじ気持ちや」その時部屋にいた子らの顔は、妙に納得したような、満足したような表情に思えました。普段からそんなことを考えていたわけではないのですが、上手く言ったものだと思います。
 さて、現在3年では面接試験の練習が行われています。3年生担当の教職員は評価を担当し、主に質問をするのは3年生以外の者です。本番さながらに行う面接に、子どもたちは緊張した面持ちで真剣に臨んでいます。私も行いました。普段はフランクに話す子どもたちがしっかりと敬語で話します。校長室に入る際に「失礼します」と言って深々と頭を下げます。質問に対して一生懸命に考えた答えを一生懸命に返します。30秒以上も答を考える者もいました。その間、私たちも無言でじっと待ちました。あの沈黙と緊張感がたまらなく心地よかったです。そして、そういう子どもたちの真摯な姿に感動すらしました。
「本校を志願した理由を述べてください。」「中学校時代の一番の思い出は何ですか。」お決まりの質問のほか、「本校は規則が厳しいです。守れますか。」「3年間、精一杯努力することを約束できますか。」など、生徒の覚悟を確認する質問もしました。この場面が有効な指導のときと考えるからです。そして、最後は全員に同じ質問をしました。
「これまでの人生で、一番大切にしてきたもの(こと)を教えてください。」
 私の受け持ったほぼ全員が、“家族”“友達”、あるいは、その両方を答えました。最近の中学生は真の友達を求めないと聞くことがあります。家族関係の不安定さが中学生の問題行動を生んでいるということが話題になったりもします。そんな時代にあって、本校の子どもたちが、人間関係を大切に思っていることに安心し、今後に期待もします。
 以前、校長は中学校全体の担任だと書いたことがありましたが、花山中学校が一つの大きな家族で、そこに403人の兄弟姉妹がいると考えるのは可笑しいでしょうか。どの家族にもトラブルが起こることはあります。しかし、兄弟げんかや親子げんかの度にその関係を強めていくものでもあります。冒頭の校長室での会話と、面接練習での子どもたちの答を思うとき、ふとそんな風に考えました。
 ところで、すべての面接練習は、次の同じ言葉で結びました。
「これまでの関係を大切にしつつ、高校でも新たな良い関係を結んでください。」