人権啓発懇談会での学校長の話
- 公開日
- 2011/01/27
- 更新日
- 2011/01/27
校長室から
本日の人権啓発懇談会での「学校長からの話」です。子どもたちに人権尊重の精神を育てるために,学校・家庭・地域で何ができるのかを一緒に考えていきましょう。
啓発参観・懇談会にご参加いただいた保護者の皆さん,こんにちは。本日は寒い中を本当にご苦労様です。
さて,皆さんは「人権・じんけん」あるいは「差別・さべつ」という言葉をお聞きになった時に,どんな印象や思いをもたれるのでしょうか。
「難しいなあ…。」と思わずつぶやかれる方。「自分にはあまり関係がないことだ。」と決めてしまわれる方。無意識のうちにも,少し距離を置きたいと考えてしまわれる方。いろいろとおられるのではないでしょうか。
先ほど,参観授業を通して,「人権学習」に取り組む子どもたちの姿をご覧頂きました。そして,これから各学級で懇談をして頂きます。今日のこの場で,保護者の皆さんが,「人権について考えること」は「自分や子どもたちのくらしや生き方と深い関係があるのだなあ。」と,まずそのように捉えて頂けたら,大変嬉しく思います。
そして,人権について「もう少し詳しく知りたい。」「さらに考えてみたいな。」と思いながら,この懇談会を終えられることを心から願っています。次につながるような終わり方ができれば,この懇談会は意義深いものとなることでしょう。
「人権」とは,例えてみれば「空気」や「水」のようなものかもしれません。「空気」や「水」が,もしもなければ,私たちは困ります。いや困るどころではなく,生きていくことすらできない訳です。ところが,(これはあくまでも「今の私たちのくらす社会では」ですが,)日常,「空気」や「水」について心配することは,そうありません。特に普段気にとめていなくても保障されているものだからです。しかし,この「空気」や「水」が私たちの知らないうちに汚染されていたとしたら,どうでしょうか。まさに生存にかかわる危機となります。「人権」もまた,これと似ています。日頃はかかわりがないものと思っていても,一旦,それが蔑ろにされるならば,その人の命につながる問題へと発展してしまうのです。そして,「空気」や「水」の汚染が瞬く間に他へ拡がるように,「人権」が守られない事例があれば,それらは次々と重なり,いずれは社会全体を殺伐としたものにすることでしょう。
私たちは,みんなで心豊かに生きたいと願う時に,子どもも大人も一緒になって,「人権」について考えることが求められているのではないかと思うのです。
さて,子どもたちに人権尊重の意識を育てるために,私たちが大切にしたいことは何でしょうか。
本校の研究の内容と方法には「対話」というキーワードが含まれています。授業やさまざまな活動を通して,「聞く(聴く)力」「話す力」を培い,子ども・教師・家族・地域の人など,かかわりあう人と人との間に「対話」がうまれることをめざしているのです。
お互いの人権を尊重しようとする時に,お互いの思いや考えを交流することが必要です。「人と人との関係を結び,話し合いをする。かかわりあう。そうしたことができる力」言わば「人間関係力」を育てなければなりません。
ですから,本日の参観授業においても,学習する内容が「人権尊重」をテーマにしているだけではなく,「人権尊重」の基となる「対話」が,学習の進め方にも含まれているかどうかを問うことになると思います。どうでしたでしょうか。授業の中に「対話」はあったでしょうか。まだまだ十分ではない部分もあるかもしれません。
「人権」について考えるということは,くらしや生き方について,自らに問いかけることです。私たち教職員もまた,授業やさまざまな活動をふり返りながら,自らの取組を問い直していかねばならないと思っています。
もう一つ大切にしたいことは,「事実を正しく知ること」です。
水を満たしたコップに,鉛筆を入れたら,その鉛筆は折れているように見えます。これは「現象」です。見た目には折れている。でも「事実」として鉛筆は折れてはいません。「現象」だけを見ていては,本質はつかめないのです。
人権問題というものは,そこに差別や偏見があるために,表面的な「現象」だけを見ていては,誤解してしまうことが多くあります。そして,それがさらに問題を深刻なものにしてしまう場合もあるのです。
だからこそ,こうして,鉛筆を水中から取り出してみせるかのように,「事実を正しく知ること」が大切なのです。これが学習です。
「事実を正しく知る」ために,子どもたちは,この学校で,本日の参観授業のような学習をします。「事実を正しく知ること」は「学ぶこと」の本質だと言ってもよいかもしれません。
どうぞ,保護者の皆さんも,そして私たち教職員も,子どもたちと共に学びましょう。心豊かに生きたいと願う人々が,温もりのある,お互いを認め合う社会をつくろうとすること,それは夢だと諦めることなく,共に話し合い行動していくこと,難しいことではありますが,「子どもたちと一緒になって」という気持ちがあれば,きっとできるのではないでしょうか。何とか実現したいものです。
この後の学級での話し合いが,どうか実りあるものとなりますようにと願いながら,私の話を終えさせて頂きます。有難うございました。