達成感をうばわないように 8月7日
- 公開日
- 2015/08/07
- 更新日
- 2015/08/07
校長室から
「学習をするのは子どもだ」というのは大人なら誰でも知っているはずですが,本当に子ども自身に学習させているかというと,かえってじゃまをしてやる気をうばっている場合があります。ときに教師は子どもに教えてあげようとして尊大にふるまって子どもが考えるところまで考えを押し付けてしまうことがあります。学習にとって何より重要なのは,達成感を味わうまでの努力です。それを得なければ子どもたちには学習は無味乾燥な作業でしかありません。
私たちは子どもたちから大事な達成感をうばわないように気をつけています。
20年ほど前のことですがこんなことがありました。授業中に問題を解こうとしてなかなか答えにたどり着けなくて,えんぴつでその問題を真っ黒に塗りつぶし,それでもおさまらないのかそのえんぴつを折ってしまった子がいました。まわりの子は驚いたり見て見ぬ振りしたりしていました。
私は「問題がわからないのか,かわいそうに」と思って,その子に近づいていき「いっしょに解こうか」と,消しゴムで真っ黒に塗りつぶしたところを消そうとしました。すると,その子は私の手を振り払い,「余計な事しないで」というような表情をしました。「真っ黒では問題が解けないやろ!」と,制止する手を無理やりほどくとその子は黙っていました。しかし,次に「この問題はな…」と,教えようとすると,今度は耳を手でふさいでしまいました。
この子は強い子で負けず嫌いで,「今,ぼくは,自分で問題と格闘しているのに,先生は間に入って来るな」と,言いたかったにちがいありません。私はおそらく,恩着せがましく「どうだわかったろう」と,やさしくしたかったのです。でも,この子にとって,それは不親切にしか思えなかったのでしょう。このおせっかいに教えられたら,自分は達成感が味わえないし自己実現できないと思ったのでしょう。
かと言えば,「やり方がどうしてもわかりません。教えてください」と,自ら聞いてくる子もいます。その子は,今は,素直に教えられたいのです。だから,分かったら「わかった」と言って,嬉しそうな表情をして自分の席に戻っていきます。
このように子どもたちの性格や行動は十人十色です。時によって千差万別です。教師は,型にはめて子どものやる気を崩して失敗してしまうことがあります。絵の指導などでは,黙々と描いているときが一番その子のよさが絵に現れようとするときです。そのときに先生がそばによっていき余計な指導をしてかえってその子の絵を壊してしまうことがあります。教えられるところと,教えられないところがあります。教えるべきところと自分で気づかせるべきところとあります。
一人一人の無限の可能性は,よさも,反応も,やり方も考え方も様々です。一人一人,自分の力を信じて,頑固に,素直に極めていってください。