「ありがとうのシャワー」をあびることができたのだろうか?
- 公開日
- 2020/12/24
- 更新日
- 2020/12/24
校長室から
昨年度の冬休み前の学校だよりは,以下の話を掲載してていました。
1つ目は,少年院に訪問視察の話でした。その際に,副所長さんが,入所少年の課題の一つは,「自己肯定感・自己有用感が低い」ことであるとお話されました。入所少年は,育ちの中で,指導や叱責を受けることがあっても,感謝や賞賛を受ける場面が少なく,怒られ慣れをしている。だから,指導や叱責だけでは,自己改善はすすみにくい。逆に,感謝されることや役に立った経験,責任をもってやり遂げた経験が少ない。だからこそ,自己肯定感・自己有用感を高める場面を積極的に取りいれることが自己改善につながるとのことでした。
その事例として,職業指導の中で一人一人が責任をもって野菜を育てる「マイ畑」の取組と地域の幼稚園児との交流のお話をお聞きしました。入所少年が自分で育てた野菜について園児に語り,たくさんの「ありがとう」をもらう。責任をもってやりとげたことへの感謝の言葉は,入所少年たちを内面から変え,自己肯定感・自己有用感を高めることにつながるとしっかりとした口調で語られました。
2つ目は,市内の総合支援学校の話でした。総合支援学校の職業学科の生徒が,地域のお年寄りのリクエストに応えて野菜を栽培し,販売する取組が紹介されました。
なぜ,その取組を行うのか。もちろん職業学科の授業なので,「はたらくこと」について学ぶ実習なのですが,一番のねらいは「ありがとうのシャワーを浴びること」だと話されました。その理由は,『自己肯定感・自己有用感が低いまま,社会に出て仕事につくと,職場でうまくいかないと離職してしまうことが多い。総合支援学校の生徒は,これまでの育ちの中で自己肯定感・自己有用感を高められた場面が少ないのではないか,それらの心情を向上させるには「ありがとうのシャワーを浴びる」ことが最も大切です。』と語られました。
さらに,その「ありがとう」は礼節的なあいさつや単なるお礼ではなく,生徒自身が本当に相手(地域のお年寄り)のことを思って作業をし,それに応えることができたことへの心のこもった感謝の言葉をたくさん受け取る(ありがとうのシャワーを浴びる)ことが,自己肯定感と自己有用感を高めることにつながるのだと熱く語られました。
自己肯定感・自己有用感を高めるためには,「ありがとうのシャワーを浴びる」ことがとても大切です。自分のよさに気づいていないときの「ありがとう」は自己肯定感を高めることにつながります。役割を果たしたときの「ありがとう」は自己有用感を高めることにつながります。また,すすんで「ありがとう」の言葉を発することで,他者との関わりを肯定的にとらえる心情が育ちます。聞く方も言う方も「ありがとうのシャワー」が共感的な人間関係を形成し,よりよい社会をつくることにつながります。
との内容を掲載していました。2020年,新型コロナウイルス感染症の感染予防対策のために,社会全体が大きく変化し,学校も長期間の臨時休業を経てこれまでの学校生活を一変する状況となりました。学校再開後も学校行事が変わり,全校で集まる機会がなくなり,異学年との交流や地域・保護者の方と接する機会も激減しました。学校教育で一番大切にしなくてはならない「ありがとうのシャワー」を浴びる機会を失いかねない状況です。子供たちの様子を見ていると,少しずつの不安や不満が学校生活のプラスのエネルギーを消費しているように感じられる場面があります。一方,他校にない岩北小独自の学校行事である「イワオリ」や「イワフェス」で,よりよい学校生活や人間関係を築こうとする力強い姿を見ることもできました。本来の岩北小の子供たちの姿です。
3学期,少しずつの不満や不安を「何かのせい」や「誰かのせい」にしてプラスのエネルギーを消費するのではなく,学校全体で,一人一人がお互いを大切に思い,尊敬しあい,「ありがとうのシャワー」を浴びて「自己肯定感・自己有用感」を高める取組をすすめていきたいと思います。
今だからこそ,一人一人が「ありがとうのシャワー」を発し,浴びることができる学校をつくっていきたいと思います。
2021年,「ありがとう」で始めたいと思います。よいお年をお迎えください。
校 長 三浦 清孝