パンジーに毛虫が!
- 公開日
- 2012/11/08
- 更新日
- 2012/11/07
中川校の自然
職員室の教頭先生に,「来て下さい。」と子どもが呼びに来ました。何かと付いていくと,プランターに植えているパンジーの横を指さして,「これは何ですか?」と質問が来ました。上の写真がそうです。
3年生の子だったので育ててみるかと言いつつ,「ツマグロヒョウモンの幼虫だね。まだいたんだ。この大きさだから今からなら蛹で冬越しだな。」と答えました。残念ながら,育てる気はないようでしたが,チョウに育つように,そこに住まわせようと言ってくれました。
ツマグロヒョウモンというチョウの成虫については,写真がないので調べて下さい。幼虫はスミレ科の植物を食草として育ちます。ですから,パンジーにも当然つきますし,パンジーのおかげで,都市部でも見ることができるチョウです。年に4〜5世代の交代をしますが,他のタテハチョウ科ヒョウモンチョウの仲間が,年1世代交代しかしないことに比べるとかなりの回数といえます。広く長く食草が分布しているからということになりますね。元々南方系のチョウですが,温暖化に伴い関東にまで進出しているそうです。割と寒さに強いので越冬できるのですが,越冬態がないので,暖かくなると幼虫なら動き出したり,蛹なら羽化したりしてしまいます。
下の写真をご覧下さい。このチョウの体から刺のような突起が多数出ているのがお分かりいただけると思います。まさに,イラガの幼虫を連想させます。刺されれば痛いだろうなぁと思うのですが…。教頭先生は,ヒョイッと掴んで掌に乗せてかわいいかわいいとなでています。「刺されないの。」と聞きましたが,「刺さないよ。毒もないしね。」と答えられました。このチョウはイラガや毒虫を連想させる作戦なのです。食べようものなら毒があるぞと鳥たちに見せつけています。黒にオレンジの目立つ色を用い,刺を見せつけて食べたら大変なことになりますよとアピールしています。おもしろいですよね。毒もないのに毒のある虫のように見せている。以前紹介したベイツ型擬態の一つです。また,成虫のメスの前翅には,黒地に白帯模様が入っています。これも,有毒のチョウ,カバマダラに似せていると言われています。でも,日本にはカバマダラの仲間のスジグロカバマダラが沖縄にいるだけですので,中川で擬態しても余り意味がないようなのですが…。南方から来た渡り鳥には,効果があるかもしれませんね。
最後に名前の由来ですが,漢字で書くと『褄黒豹紋』です。豹紋とは,翅がヒョウのような柄模様になっていることからです。○○ヒョウモンと名の付くヒョウモンチョウの仲間はすべて豹柄です。では,褄黒とは。褄が着物の裾の両端であり,黒ですから,褄が黒くなっているという意味になります。後ろ翅の外縁が黒い帯状になっていることから褄黒と呼ばれているのです。